文法:その他

「Tout」と「Tous」の使い分け方【フランス語の文法】

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さて、久しぶりにフランス語文法の話である。ここ2年間くらいさぼりまくっていたので、徐々に復活させていこうと思う。

今日はフランス語でよく用いられる Tout/TouteTous/Toutes の使い方について解説していこう。

https://onsenpeggy.com/grammaire-francaise-avec-peggy/

Tout/Toute/Tous/Toutesとは

1. Toutの意味

まず、そもそもToutとは何か?名詞なのか?形容詞なのか?

実は、これらの単語は状況によって形容詞(adjectif)にもなり得るし、副詞(adverbe)にもなり得るし、はたまた代名詞(pronom)にもなり得る便利な言葉なのだ。決して厄介と思わないように、飽くまで「便利」な言葉として考えよう。。。

そして、その意味は「すべて」とか「全部」という意味を持つのである。英語に置き換えるとAllEverything と似たよう感じである。

形容詞のTout:Peggy était réveillé toute la nuit. (ぺぎぃは一晩中起きていた)⇒ 英語に直すと:Peggy has been awoken all night.

副詞のTout:Peggy est tout content! (ぺぎぃは非常に喜んでいる)⇒ 英語に直すと:Peggy is really pleased!

代名詞のTout:Merci pour tout!(何から何までありがとう) ⇒ 英語に直すと:Thank you for everything!

2. Tout から Toute/Tous/Toutes への変換

では、シンプルなTout と、TouteTous、Toutes の違いは何だろうか?まぁ、皆さんおおよその想像はすでにおつきかと思うが、その通り。これらはTout女性系複数形のバリエーションなのである。

表にすると以下の通り:

 単数形複数形
男性系ToutTous
女性系TouteToutes

でも、なぜ英語ではAll単数形でも複数形でもAllのままなのに、わざわざフランス語では単数形複数形を分けて、しかも男性系女性系まで区別するのかって?

…知らん。

基本的にフランス人はイギリス人より難しく考えるのが好きなので、自分たちのほうが頭の良さが優れていることをアピールしたくてやったのではないかと思われる。(← 適当)

まぁ、あとはフランス人は合理的な考え方が好きな種族なので(たまに感情的になって、まったく合理的ではなくなるが)、例えば形容詞のToutの場合、一緒に使う名詞と同じ性別と数になる

Peggy va au sport tous les vendredis. (ぺぎぃは毎週金曜日にスポーツにでかける = すべての金曜日という意味)

Peggy va au sport tout le vendredi. (ぺぎぃは金曜日には丸一日スポーツにでかけている = 金曜日中すべてという意味、先ほどのToute la nuit と同じ使い方)

では、合理的な種族なら、なんでわざわざ無音の”t”や”s”をTout やTous の語尾につけるのかって?しかもなぜTouts ではなく、Tous になるのかって?

…知らん。

ぺぎこ
ぺぎこ
ちなみに複数形のTousは、文章の末端にある場合はトゥス。後に別な単語が続く場合は、トゥと読むみたいですね。
ぺぎぃ
ぺぎぃ
まったく、ややこしい言語だ、フランス語というものは。あとは、Tous ensemble のように「皆」という意味でのTous もトゥスと読むよ。

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Tout/Toute/Tous/Toutesの使い方

では、いよいよ、Tout Toute/Tous/Toutes の使い方を学んでいこう。

1. 副詞のTout

これは一番簡単である。基本的に副詞(Adverbe)Toutは男性系の単数形のみでしか用いられない。ちょっとした例外が存在したりするが、大抵「Tout ○○ment」「C’est tout ○○(形容詞)」の言い回しの場合には、Toute/Tous/Toutesは忘れてよい。

Le sol est tout propre. (床がピカピカだ)

C’est tout simple!(本当に簡単だよ!)

Peggy adore la nourriture japonaise, tout particulièrement le poisson cru. (ぺぎぃは日本食が大好きだ、特に魚の刺身。)

ね?簡単でしょう?

では、一応例外も少しだけ紹介しておこう。。。

例外女性系で且つ子音から始まる形容詞の前では、TouteToutes を用いる。男性系の場合はTout のままである。

Ils sont tout élégants.(彼らはとても優雅である)

Il est tout mignon.(彼はとてもかわいい)

Ils sont tout mignons.(彼らはとてもかわいい)

Elles sont tout élégantes.(彼女らはとても優雅である)

Elle est toute mignonne.(彼女はとてもかわいい)

Elles sont toutes mignonnes.(彼女らはとてもかわいい)

ぺぎこ
ぺぎこ
本当にフランス語って例外が多くて面倒くさいわね。
ぺぎぃ
ぺぎぃ
まぁ、これはフランス人でもよくわかっていない人が多いから覚えなくても問題ないよ。

2. 形容詞のTout

次に形容詞(Adjectif)Toutについて解説していこう。これも基本的な流れとしては、続く名詞と同じ性別と数になると考えてもらえばよい

Tout le jour (一日中 = 一日すべてという意味)

Toute la nuit (一晩中 = 一晩すべてという意味)

Tous les jours (毎日 = 例外なくすべての日という意味)

Toutes les nuits (毎晩 = 例外なくすべての夜という意味)

2.1. Tous les deux、Tous les trois

ちなみにフランス語の言い回しに、Tous les deux Tous les trois など「二人で」や「三人で」というものがある。

これは、人にしか使うことができないため、物について話すときには、Tout を省く必要がある

Vous allez au ski à combien? (何人でスキーへ行かれるのですか?)
On y va tous les deux. (二人で行きます。)

Préférez-vous un verre d’eau ou un verre de vin? (水とワイン、どちらがよろしいですか?)
– × Je voudrais bien tous les deux s’il vous plait.
=> 〇 Je voudrais bien les deux s’il vous plaît. (両方ともお願いします。)

2.2 Tout le monde

他にも、人について話すときにTout le monde(みんな、例外なくすべての人々)という言い回しがある。このフレーズは基本的にToutes les personnesTous les gens の代わりに用いるものである。そしていつも単数形である。

Le bus va bientôt partir. On attend encore quelqu’un? (バスがもうすぐ出発してしまうわよ。まだ誰か待っているの?)
Non, tout le monde est là! (いいえ、もうみんな揃っています。)

A qui appartient la machine à café dans le couloir? (廊下にあるコーヒーマシーンは誰のものですか?)
Elle n’appartient à personne. Elle est à tout le monde. (あれは誰のものでもないですよ。みんなのものです。)

ぺぎこ
ぺぎこ
じゃあ、例1で「Toutes les personnes sont là」というのは間違いなの?
ぺぎぃ
ぺぎぃ
正確にはね。でもフランス人でも「Toutes les personnes」と言う人はいるし、意味は伝わると思うよ。
ぺぎこ
ぺぎこ
随分と適当なのね。
ぺぎぃ
ぺぎぃ
まぁ、そういう人種だからね。

例外関係代名詞 qui の前では、Tout le monde という言い方はしない。

× Tout le monde qui connait Peggy l’aime bien.
Toutes les personnes qui connaissent Peggy l’aiment bien.
Tous les gens qui connaissent Peggy l’aiment bien.
Tous ceux qui connaissent Peggy l’aiment bien.
(ぺぎぃを知っている人はみな、彼のことが好きである。)

また、この場合、Tous だけを単独で用いることもしない。

× Tous qui connaissent Peggy l’aiment bien.

3. 代名詞のTout

最後に、代名詞(Pronom)Tout について解説していこう。

こちらも大して難しいことはない。基本的に、「すべて」を意味する場合は単数形のTout を用い、特定された団体や物事について話すときには、その性別と数を考慮にいれ、Tous/Toutes を用いるのである。

Merci pour tout! (何から何までありがとう! = 特に物事を特定せずに、すべてに対しありがとうという意味)

Merci à tous! (皆さん、ありがとう! = 男性を含む場合)

Merci à toutes! (皆さん、ありがとう! = 女性のみの場合)

Merci à toutes et à tous! (皆さん、ありがとう! = 女性と男性を分けた、より丁寧な言い回し)

ここで、一番難しいと思われるのは、文章内におけるTout位置である。基本的に、活用された最初の動詞のすぐ後に置くものだと覚えておけばよい。

Peggy mange tout. (ぺぎぃは何でも食べる。)

Peggy ne mange pas tout. (ぺぎぃは何でも食べるわけではない。)

× Peggy a mangé tout.
Peggy a tout mangé. (ぺぎぃは全部食べた。)

× Peggy va manger tout.
Peggy va tout manger. (ぺぎぃは全部食べる。(未来形))

ぺぎこ
ぺぎこ
よく間違えてしまうのよね。。。

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練習問題

1. 穴を埋めよ

Quand il était _____ petit, Peggy aimait bien lire _____ type de livres. Lorsqu’il finissait de lire _____ une histoire, il allait la raconter à _____ ses amis en leur disant: “Venez _____ , je vais vous raconter une nouvelle histoire que j’ai lue _____ à l’heure!”.

2. Toutの活用を用いてフランス語で答えよ

1. Qu’est-ce que tu aimes manger? (何を食べるのが好きですか?)
=> ____________________________(私は何でも食べるのが好きです。)

2. Qu’est-ce tu as fait hier à part dormir? (昨日は寝る以外に何をしましたか?)
=> ____________________________ (それしかしていません。)

3. Est-ce que tout le monde est là? (皆さん揃いましたか?)
=> ____________________________(はい、揃いました。)

4. Combien de temps as-tu étudié le français? (フランス語をどのくらい勉強しましたか?)
=> ____________________________ (高校時代ずっとフランス語を勉強していました。)

5. Veux-tu du ketchup ou de la moutarde sur tes frites?(ポテトフライにケチャップとマヨネーズのどちらをかけたい?)
=> ____________________________ (両方お願いします。)

3. 「トゥ」か「トゥス」か?

 「トゥ」「トゥス」
1. Venez tous par ici!  
2. J’ai mangé tous les légumes.  
3. Peggy est le plus fort de tous.  
4. Un pour tous et tous pour un!  
5. Tous à terre!  

解答&解説

1. 穴を埋めよ

Quand il était tout petit, Peggy aimait bien lire tout type de livres. Lorsqu’il finissait de lire toute une histoire, il allait la raconter à tous ses amis en leur disant: “Venez tous , je vais vous raconter une nouvelle histoire que j’ai lue tout à l’heure!”.

tout petit => 副詞のtout の男性系/単数形

tout type de livres => 形容詞のtout は、特定する名詞 typeと同じ性別と数をとる
toute une histoire => 形容詞のtout、特定する名詞 histoire と同じ性別と数をとる
tous ses amis => 形容詞のtout、特定する名詞 amis と同じ性別と数をとる

Venez tous => 代名詞のtout動詞 venez の活用から複数形だと推定できる。また、ses amis“e” が付いていないことから、女性だけではなく男性も入っていることが推定できる。女性のみの場合は、Venez toutes になる。

tout à l’heure => tout le monde と同じように、フレーズとして覚えておくとよい。「さっき」「先ほど」という意味。

2. Toutの活用を用いてフランス語で答えよ

1. Qu’est-ce que tu aimes manger? (何を食べるのが好きですか?)
=> J’aime tout. 若しくは J’aime tout manger.(私は何でも食べるのが好きです。)

2. Qu’est-ce tu as fait hier à part dormir? (昨日は寝る以外に何をしましたか?)
=> C’est tout ce que j’ai fait. (それしかしていません。)

3. Est-ce que tout le monde est là? (皆さん揃いましたか?)
=> Oui, tout le monde est là. 若しくは Oui, nous sommes tous là.(はい、揃いました。)

4. Combien de temps as-tu étudié le français? (フランス語をどのくらい勉強しましたか?)
=> J’ai étudié le français pendant tout le lycée.(高校時代ずっとフランス語を勉強していました。)

5. Veux-tu du ketchup ou de la moutarde sur tes frites?(ポテトフライにケチャップとマヨネーズのどちらをかけたい?)
=> Les deux s’il vous plaît. (両方お願いします。)

1. J’aime tout. => 食べ物を特に特定せずに、例外なくすべて好きであるという意味。

2. C’est tout ce que j’ai fait. => 「それがやったことすべてである」「それ以外何もしていない」という意味。また、C’est tout que j’ai fait ではなく、C’est tout ce que j’ai fait ということに注意しておこう。

3. Oui, tout le monde est là. でも Oui, nous sommes tous là. でも、どちらでもよい。Oui, tous sont là. というのも文法的には正しいのだが、あまり使わない。ただし、Oui, tout le monde sommes là. とは絶対に言わないので気を付けよう。

4. 少しトリッキーな言い回し。pendant tout le lycée というのは「高校時代ずっと」という意味。他にも、pendant toute ma scolarité au lycée という言い方があるが、ぺぎぃとしては少し重く感じる。

5. これも意地悪なひっかけ問題である。人ではないので、Tous les deux とは言わない。

3. 「トゥ」か「トゥス」か?

 「トゥ」「トゥス」
1. Venez tous par ici! 
2. J’ai mangé tous les légumes. 
3. Peggy est le plus fort de tous. 
4. Un pour tous et tous pour un! 
5. Tous à terre! 

基本的には、文末に設けられたTous はほぼ間違いなく「トゥス」と発音する。そのため、3. Peggy est le plus fort de tous.(べぎぃは誰よりも強い)は簡単である。

1. Venez tous par ici!(皆さん、ここに集まってください!)と4. Un pour tous et tous pour un!(一人はみんなのために、みんなは一人のために)、5. Tous à terre!(みんな、伏せろ!)では、Tous は「皆」という意味で使われているため、「トゥス」と読む。

2. J’ai mangé tous les légumes.(野菜を全部食べたよ。)の場合のTous は「皆」という意味の代名詞ではなく、ただの形容詞なので「トゥ」と発音する。

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POSTED COMMENT

  1. とんぼ娘 より:

    早速の返信、ありがとうございます。わかりやすい例文を示してくださり、本当にありがたいです。自分としては理解できたと思いますが、念のため、駄目押しで確認させてください。
    示してくださった例文の場合には、たまたまtout(副詞)でもtous(代名詞)でも文として成り立ってしまうけれども、私のほうの文では、意味を考えると結果的に代名詞でなければならない、ということだと理解しました。合っていますか?

    悩んでいる最中にピンポイントで質問して、間をおかず答えていただけるのは、本当に助かります。感謝、感謝です!
    ちなみに、今習っている先生は日本語ができないので、質問はフランス語か、最低でも英語です。それ以前に、質問するために自分の頭を整理するのに時間がかかるので、即座に質問できない場合があります。今回のがそれです。なので、このサイトは私にとって大変貴重なのです!ぺぎぃさん、いや、ぺぎぃ先生、ありがとうございます!!

  2. とんぼ娘 より:

    自主グループでフランス語を学んでいます。分からない時や、新しく知りたいと思うとよくこのサイトを利用しています。わかりやすくて助かっています。ありがとうございます。
    さて、toutについて今学んでいます。
    Ils sont tout contents.
    この文は正しいと習いました。この場合のtoutは副詞なので、変化せずtoutだと納得しました。contentが形容詞だから、副詞であるのだと理解しています。
    そこで練習問題をやったのですが、以下の問題で間違えました。私はこれら全てが副詞のtoutだと考えたのですが、違うのでしょうか。一言で言えば、私はこれら過去分詞を形容詞と同じように考えているということだと思います。それは間違いなのでしょうか。
    私の答えは、1. tout, 2. toutes, 3. toutです。
    正解として示されたのは、1. tous, 2. toutes, 3. tous です。

    1. Mes fils sont ___ mariés.
    2. Mes filles sont ___ mariées.
    3. Ils sont ___ venus.

    よろしくお願いします。

    • onsenpeggy より:

      とんぼ娘さん、コメントありがとうございます!
      それは、大変嬉しいです!是非ともこれからもぺぎぃのサイトをご活用ください。°˖☆◝(⁰▿⁰)◜☆˖°

      なるほど、「tout」は難しいですね。特にとんぼ娘さんが書かれているような文だと、どこからどこまでが繋がっているのか判断が難しいです。
      ここは「副詞のtout」と「代名詞のtout」の違いからくるものだと思います。

      確かに、過去分詞は形容詞と同じように考えることができます。
      しかし、toutの後ろに形容詞が続くからといって、必ずしも「tout = 副詞」となるわけではありません。
      例えば:
      ① Les élèves de Peggy sont tout contents.
      ② Les élèves de Peggy sont tous contents.
      この二つの文の違いは何かと言いますと、①のほうは「ぺぎぃの生徒たちはとても喜んでいる(tout contents = とても喜んでいる)」という意味なのに対し、②のほうは「ぺぎぃの生徒たちは全員( = tous)喜んでいる( = contents)」という意味です。
      つまり①では「tout = 副詞」ですが、②では「tous = 代名詞」という扱いになっています。

      同じように考えますと、とんぼ娘さんが書かれている文章の「tout/tous」の部分は「marié(es)」や「venus」に紐づいているのではなく、飽くまで「全員」という意味の「tout/tous」なので、副詞ではなく、代名詞扱いになります。(*^▽^*)

      つまり、正解は:
      1. Mes fils sont tous mariés.(息子は全員が結婚しています。)
      2. Mes filles sont toutes mariées.(娘は全員が結婚しています。)
      3. Ils sont tous venus.(彼らは全員来ました。)
      ということになります。

      ぺぎぃ

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