フランス語で手紙を書くとき、
- どこに宛先を書くべきなのか?
- どのような表現を用いるのが丁寧なのか?
など、迷ったことはないだろうか?
単なる友人宛の絵葉書やメールならそこまで深く考える必要はないだろうが、企業にカバーレターを送るときや、県庁に問い合わせの手紙を送るときなど、フォーマルな手紙を書くときには散々頭を悩まされるものである。
そこで、この記事ではフランス語で手紙の書き方や、相手に合わせた挨拶や結びの言葉を一緒に見ていこう。
- フランス語で手紙の書き方
- フランス語で封筒の書き方
日本とは異なり、フランスで仕事を探すときなどは、メールではなく手紙形式のカバーレターを書かなければいけないことが多い。
これはWordで書いてメールに添付しても良いし、プリントして手紙で送付しても良いが、いずれにせよ「フランス語形式の手紙の書き方」を知る必要が出てくる。
ぺぎぃも幾度かフォーマルな手紙をフランス語で書いたことがあるので、今回は一緒にその書き方を見ていくとしよう。
ちなみに、フランス語で用いられる書き出しや結びの言葉だけが知りたいという方は、以下の記事もおすすめ:
目次
フランス語で手紙の書き方
これは日本語の手紙にも当てはまることだが、手紙が効果的に自分の意思を相手に伝えるためには、読み手側が全ての情報を簡単に識別できるよう、一貫した構造にする必要がある。
一般的なフランス語の手紙の場合には:
- レターヘッド
- 書き出しの言葉
- 本文
- 結びの言葉
の4部構成で書くことが多い。
1-1. レターヘッド
レターヘッドというのは、手紙の冒頭に書かれている情報の集まりのことであり、基本的に:
- 筆者(書き手)に関する情報(必須)
- 宛先(読み手)に関する情報(任意)
- 場所と日付(必須)
- 件名(任意)
で構成される。
筆者(書き手)に関する情報
まずは手紙の左上に、筆者(つまり手紙を送る側の人間)の情報を以下の順番で書く:
- 名前と苗字(必須)
- 立場(会社の名前や、地位など)(任意)
- 住所(必須)
- 電話番号(任意)
- メールアドレス(任意)
Peggy Onsen
Auteur du blog “Onsen Penguin no Tashinami”
7, avenue de la Tulipe
75000 Paris, France
Tel: 0123456789
Courriel: peggy_daisuki@gmail.com
自分の会社の名前や電話番号、メールアドレスは「任意」としたが、企業への応募で送るカバーレターなどの場合には電話番号とメールアドレスがないと相手からの返信や連絡が来なかったりするので、状況に応じて書いておく必要がある。
宛先(読み手)に関する情報
続いて手紙の右上に、宛先(つまり手紙を受け取る側の人間)の情報を先ほどと同じ順番で書く。この場合、メールアドレスと電話番号は不要。
- 名前と苗字(必須)
- 立場(会社の名前や、地位など)(任意)
- 住所(必須)
Madame Pegiko Onsen
Directrice des Ressources Humaines
18, rue des Sources thermales
78000 Versailles, France
この「読み手側の情報」は書かなくても良いという人もいるが、ぺぎぃは書いた方がよりフォーマルな感じがして好きである。
また、想定された宛先がよりはっきりとするため便利でもある。
場所と日付
次に、宛先の情報の真下に手紙が書かれた場所と日付を書いておく。
Paris, le 05 mai 2021
件名
そして最後に、手紙の目的や意図を相手に知らせるために、件名を書いておく。
これは特に書かなくても問題はないが、企業や機関にフォーマルな手紙を送る場合には、一目で内容がわかるため、非常におすすめである。
書き方としては「Objet:」と簡単に記してから、手紙の目的を伝えればよい。
1. Objet: Lettre de candidature
2. Objet: Candidature au poste de Responsable Commercial
3. Objet: Demande d’indemnisation
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1-2. 書き出しの言葉
フランス語の手紙やメールの冒頭には、必ず「書き出しの言葉」なるものが置かれる。
フォーマルな手紙の「書き出し」
実際に用いられる表現は手紙の受け取り手によって異なるが、一般的には「Monsieur」や「Madame」、もしくは相手の性別や人数が不明な場合には「Madame, Monsieur」が使われることが多い。
相手の名前や苗字を知っている場合には「Monsieur Peggy」や「Madame Pegiko」と書くこともできるが、人によっては少し馴れ馴れしく感じたり、長く感じたりする人もいるため、フォーマルな手紙では避けたほうが良いとされている。
また、受け取り手が正式な地位を持っているときには、「Monsieur」や「Madame」に続けてその地位を書いたり、代わりに地位を書き出しの言葉として用いることもある。
1. Monsieur ⇒ 相手が男性一人の場合
2. Madame ⇒ 相手が女性一人の場合
3. Madame, Monsieur ⇒ 相手の性別、人数がわからない場合
4. Monsieur le Député ⇒ 相手が議員の場合
5. Madame la Présidente ⇒ 相手が大統領や会長、議長、裁判長などの場合
6. Maître ⇒ 相手が法律家の「先生」の場合(弁護士など)
7. Docteur ⇒ 相手が医者や博士の場合
尚、相手が男性か女性かによって「Président(e)」や「Député(e)」と名詞を女性形にすることが必要だが、稀に「Docteur(e?)」などの様に女性形が難しい単語もあるので注意が必要。
カジュアルな手紙の「書き出し」
カジュアルな手紙を書くときには、友人や家族など、親しい人に対して書くことが多いため、そこまで「書き出し」の表現について気にする必要はない。
一般的には「Cher Peggy」や「Très chère Pegiko」などのように「親愛なる」という意味で「Cher(e)」という言葉と名前が用いられる。
また、若干カジュアル寄りなフォーマルな手紙(例えば友人宛のフォーマルな手紙など)の場合にも、「Cher ami(e)」や「Cher collègue」などの言い回しが使えたりもする。
1. Cher ami ⇒ 「親愛なる友へ」
2. Ma très chère sœur ⇒ 「とても親愛なる妹へ」
3. Chers Pegiko et Peggy ⇒ 「親愛なるぺぎことぺぎぃへ」
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1-3. 手紙の本文
書き出しの言葉を添えたら、いよいよ手紙の本文を書き始めよう。
これは、手紙の目的や内容によるため、この記事で具体的に書く意味はないと思うが、一応簡単に流れについてだけ書いておくとしよう。
前書き
前書きでは、手紙の趣旨を相手にやんわりと伝える必要がある。
ただし、遠回りすぎるを羅列させても無駄に相手の時間を奪うだけだし、逆にダイレクトすぎる表現を用いてもあまりエレガントではないのが難しいところ。
一番良いのが、過去に相手と話したことがあったり、メッセージのやり取りをしたことがある場合に、それを「Suite à ○○」や「Je vous remercie pour ○○」などの表現を用いてリンクさせることである。
以下に、簡単に使うことができる出だし文句について紹介しておこう:
Suite à notre conversation téléphonique du ○○ (○○にお電話(させて)いただいた件について)
⇒ 「この手紙は前回の電話の続きですよ~」とやんわりと相手に伝える表現であるため、個人的にはかなり好きな表現。「○○」の部分には日付を入れるのが良いだろう。
Je vous remercie de votre courrier/message du ○○ (○○のお手紙ありがとうございます)
⇒ この表現も、「相手の連絡に対する返事を書いているんですよ~」ということを、お礼と共に述べることができるため、かなりエレガントな前書きの言葉。ここでも「○○」の部分には日付を入れるか、「à propos de ○○」と趣旨を述べるのが良いだろう。
Le but de cette lettre est ○○ (この手紙の趣旨は○○です)
⇒ 単刀直入に手紙の目的を伝えるには良い表現だと思えるが、直球すぎるため、些か冷たい雰囲気やガツガツしているイメージを相手に与えてしまう可能性がある。
Je vous contacte pour ○○ (○○のためにご連絡いたします)
⇒ いきなりこれでは直球すぎる表現。せめて「Je me permets de vous contacter」にしたほうが良いが、それでもまずは「Suite à ○○」とワンクッション入れたほうがやんわりとした表現になる。(なお、「Je me permets de vous contacter」はぺぎぃも会社の同僚間ではよく用いている表現である)
Je vous informe par la présente que ○○ (本手紙により○○についてご連絡いたします)
⇒ もっともらしい言い回しであるが、これも結局は「この手紙は○○を伝えるのが目的です」と言っているのと同じである。少し冷ややかでダイレクトすぎるイメージ。
本文
前書きが終わったら、いよいよ本文へ突入である。
まぁ、この部分に関しては手紙やメールの内容によってかなり変わってくると思うため、ぺぎぃとしてはあまり書けることがないが、ビジネスレターとかなら「なるべく簡潔に相手に手紙の趣旨を伝える」のが必要となる。
例えば、企業へ応募するときのカバーレターや、県庁やお店などへの問い合わせの手紙などは、大抵はA4用紙の表一枚だけで完結するのが好ましい。
それ以上長くなってしまうと、ちゃんとした内容が相手に伝わらなかったり、そもそも読まれずにゴミ箱に捨てられてしまうこともあるからだ。
では、どうすれば簡潔にまとめることができるのか?
そのためには、段落と繋ぎの言葉や副詞を駆使することをおすすめする。
繋ぎの言葉の例:
- D’abord
- Ensuite
- Puis
- Enfin
繋ぎの副詞の例:
- Cependant
- Néanmoins
- Par ailleurs
- D’ailleurs
結論
そして、手紙の最後には、結論を述べるのが好ましい。
とはいえ、これは学校の作文の様に、必ずしも手紙で書いた内容を一文でまとめるとか、そういう意味ではない。
例えば、企業へのカバーレターや問い合わせの手紙などの場合には:
1. Je me tiens à votre disposition pour tout renseignement complémentaire ou pour un rendez-vous.
2. Dans l’attente d’une réponse de votre part, je me tiens à votre entière disposition pour tout complément d’information.
などの決まり文句で、「追加情報が必要でしたらいつでもご連絡ください」や「お返事をお待ちしております」などを伝えることができる。
他にも、何かしらの催促の手紙や、苦情の手紙などの場合には:
1. En conclusion, je propose que …
2. Pour les motifs exposés ci-dessus, je souhaiterais que …
ともう少し簡単に、わかりやすく結論を述べることもできる。
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1-4. 結びの言葉
手紙の本文を書き終わり、結論もしっかりと書いた。
すると、いよいよ「結びの言葉」で締めくくる必要が出てくる。
この「結びの言葉」は、基本的には相手に対する礼儀の言葉として用いられるため、手紙の相手が誰なのか、自分と比較して階級が上なのか下なのか、知っている人なのか、知らない人なのか、敬意を示す必要があるのか、ないのか、などによって色々と変わってくる難しい言葉である。
フォーマルな手紙の「結びの言葉」
フォーマルな手紙の場合、「結びの言葉」は基本的に3つに分割される:
- 出だし部分:「Je vous prie de recevoir」など。
- 相手の肩書:「Madame」や「Monsieur」など。
- 締めの部分:「l’expression de ma considération distinguée」など。
1.の出だし部分に関しては、基本的に「Je vous prie de recevoir」よりも「Je vous prie de croire」の方が丁寧で、更にそれよりも「Je vous prie d’agréer」の方が丁寧なイメージである。
相手によって使い分けると良いだろう。
続いて2.の肩書の部分であるが、これも手紙の冒頭に書いた1-2.の「書き出しの言葉」と同じものを用いると良い。
そして3.の「締めの部分」がなかなか複雑な表現となっているが、通常は「l’expression」の方が「l’assurance」よりも丁寧で、「salutations」よりも「considération」や「sentiments」の方が丁寧、そして「dévoué(es)」の方が「distingué(es)」よりも丁寧だと覚えておけばよい。
例えば、会社の同僚などには:
Je vous prie de recevoir, Monsieur, l’expression de mes sentiments distinguées.
Veuillez recevoir, Madame, l’assurance de ma considération distinguée.
と表現し、上司や目上の人には:
Veuillez croire, Monsieur, à l’assurance de ma haute considération.
Je vous prie de croire, Madame, à l’assurance de ma considération distinguée.
Veuillez agréer, Monsieur le Directeur, l’expression de mes sentiments dévoués.
そして更に階級が上の人(大臣や高官)には:
Je vous prie d’agréer, Monsieur, l’assurance de ma plus haute considération.
Veuillez agréer, Madame, l’expression de mes sentiments les plus distingués.
Je vous prie d’agréer, Madame la Ministre, l’expression de mes sentiments très respectueux.
などの表現を用いることができる。コンビネーションは星の数ほど存在する。
カジュアルな手紙の「結びの言葉」
友人同士のやりとりや、単なる会社の同僚とメールを交わすときなど、そこまでガチガチのフォーマルな表現が必要ない時には、もっと単純な結びの言葉を用いることができる。
有名な言葉では「Cordialement」や「Sincères salutations」、「Amicalement」などがある。学生時代の友達にメールを書くときには、そもそも結びの言葉を入れないこともある。
ただし、やはりこれらの表現は形式的ではない結びの言葉であるため、公共機関や行政機関に手紙を送る際には必ずしも適切ではないということを覚えておこう。
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1-5. 署名
手紙を全て書き終わった、締めの言葉もしっかりと書いた。
それでは、最後に「署名」を書いて終わりにしよう。いわゆる「サイン」のことである。
通常、フランス語の手紙では、署名は手紙の一番下の右端に配置され、その下に名前と苗字も書かれる。
まぁ、今までの内容と比べれば、大して難しい話ではないだろう。
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フランス語で手紙のテンプレート(ダウンロード用)
第1章で書いた内容をまとめてテンプレートにしてみたので、興味がある方はご活用ください。
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封筒の書き方
ここでは、おまけとして、フランスで手紙を送ったり、日本からフランスへ手紙を送る際の宛先や住所の書き方について記しておく。
3-1. 宛先と住所の書き方(le destinataire)
まずは相手先の名前と住所を封筒に書いておこう。
フランス語では宛先のことを「le destinataire」と言う。
宛先
基本的にフランスで手紙を送る際には、日本と同じように、封用の表部分に大きく相手の宛名を書くことになる。
日本で言う「○○様」に当てはまる部分を、フランス語では「Monsieur ○○」や「Madame ○○」と記す。
住所
日本と少し異なるところは、おそらく住所を書く順番である。
基本的にフランスでは、以下の順番で住所を書く:
- 部屋番号(例:「Appartement 10」や「Chambre 10」)
- 建物の名前(例:「Résidence de l’étang」」
- 通りの番号(例:「7」)
- 通りの名前(例:「Avenue de la Tulipe」)
- 企業の場合は郵便ボックスの番号など(例:「BP 123」)
- 郵便番号(例:「75000」)
- 町の名前(例:「Paris」)
- 企業の場合には「CEDEX」と書くこともある
なお、本記事の1-1.のレターヘッドでは、「通りの番号と通りの名前の間に読点「,」を打つ」と書いていたが、封筒の場合には逆に読点は打たない方が良い。
また、フランスの郵便局のサイトでは、できれば最後の3行は大文字で書いてほしいとあるので、ぺぎぃのおすすめは、とりあえず全てを大文字で書いておくことである。
3-2. 自分の住所の書き方(l’expéditeur)
続いて自分の住所を封筒に書いておこう。
フランス語では手紙の送り手のことを「l’expéditeur」と言う。
住所と名前を封筒の裏に
これは特に難しいことではないが、基本的に自分の名前と住所を封筒の裏の折り曲げる部分に書いておこう。
順番としては:
- 自分の名前(例:「M. Peggy ONSEN」)
- 住所(例:「7 avenue de la Tulipe 75000 Paris」」
のように書いておけば、問題ないだろう。
3-3. 切手の貼り方
最後に、La poste へ行って、切手を購入し、封筒の表側の右上に貼っておけばよい。
【合わせて読みたい】フランス語のフォーマルな手紙で使ってはいけないフレーズ
以下の記事に、企業へのカバーレターなど、フォーマルな手紙でしがちな間違いについてまとめておくので、気になる方は是非どうぞ!
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詳しくありがとうございます。しかし紙の中での位置関係を確認したかったので、例としての図が無いのが残念です。他のサイトを探します。
Melody94800さん、コメントありがとうございます!
おっしゃる通りです。手紙のテンプレートを付け足しておきましたので、ご活用ください。
貴重なご意見ありがとうございます!(*^▽^*)
ぺぎぃ