フランス語でフォーマルな手紙を書くときや、メールを書くときには、いくつかのルールが存在する。
詳しいことは「フランス語の手紙の書き方」という記事や「フランス語の手紙やメールで役立つ結びの言葉」という記事に書いた通りだが、特に「書き出しの言葉」や「結びの言葉」に関しては、取り扱いが中々難しい。
フランス人であるぺぎぃでさえも、めったに書かないフォーマルな手紙では、言葉を間違えてしまったり、使ってはいけないフレーズを用いてしまったりすることが稀にある。
そのため、この記事ではフランス語でフォーマルな手紙を書く際に、使うべき言葉と使うべきではない言葉について復習しておこう。
- 書き出しの言葉:フォーマルな手紙でよくある間違い
- 結びの言葉:フォーマルな手紙でよくある間違い
目次
書き出しの言葉:フランス語のフォーマルな手紙でよくある間違い
まずは、フランス語の手紙やメールの冒頭に使われる「書き出しの言葉」によくある間違いを一緒に見ていこう。
1-1. 「A l’intention de ○○」は間違い
口頭で発音するときの響きが似ているからだろうか?
これはフランス人でもよく間違えることだが、手紙の受け取り手の名前を書くときに「A l’intention de ○○」とするのは間違いである。
「Une intention」という言葉は「意思」や「意向」を表す言葉なので、これをこのまま用いてしまうと、「○○様の意思や意向のため」もしくは「○○様に敬意を表して」という意味になってしまう。
ただしくは「A l’intention de ○○」ではなく、「A l’attention de ○○」。
これは会社などの中の個人にあてるとき、手紙の右上端に添えるか、メールの冒頭に使われるフレーズである。
A l’intention de ○○
(○○様に敬意を表して)
A l’attention de ○○
(○○様宛)
1-2. 「Cher Monsieur」や「Chère Madame」は間違い
もう一つ、よくある間違いが、「Cher Monsieur」や「Chère Madame」で手紙を書き始めることである。
「フランス語の手紙の書き方」でも紹介したが、基本的に相手の名前がわからないときには:
- Monsieur ⇒ 受け取り手が男性の場合
- Madame ⇒ 受け取り手が女性の場合
- Madame, Monsieur ⇒ 受け取り手の性別が不明、若しくは受け取り手がはっきりしない場合
が正しい書き方である。
他にも、相手の役職がわかっているときには「Monsieur le Ministre」や「Madame la Juge」などの様に付け足すこともある。
しかし、「Cher Monsieur」や「Cher Madame」という書き方は、実は少し馴れ馴れしい言い方で、まるでスーパーやデパートの「Cher clients」のような広告文句の様に聞こえてしまう。
よほど相手と仲が良いとき以外は使わない方が良いだろう。
Cher Monsieur
Chère Madame
Monsieur
Madame
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結びの言葉:フランス語のフォーマルな手紙でよくある間違い
続いて、フランス語の手紙やメールの終わりに使われる「結びの言葉」によくある間違いを一緒に見ていこう。
1-1. 「Je vous prie de croire en ○○」は間違い
「フランス語の手紙やメールで役立つ結びの言葉」という記事でも色々と便利な結びの言葉を紹介したが、中でもフランス人が良く間違えがちなのが「Je vous prie de croire en ○○」というフレーズである。
これは文法的な観点から見てみると分かることだが、
- 「Croire en quelqu’un」は「誰かを信じる」
- 「Croire à quelque chose」は「何かを信じる」
なので、例えば
Je vous prie de croire, Madame, Monsieur, en l’expression de mes sentiments distinguées.
というフレーズは間違い。
正しくは、
Je vous prie de croire, Madame, Monsieur, à l’expression de mes sentiments distinguées.
と書くべきなのである。
Je vous prie de croire, Madame, Monsieur, en ma considération distinguée.
Veuillez croire, Madame, Monsieur, en l’expression de mes sentiments les meilleurs.
Je vous prie de croire, Madame, Monsieur, à ma considération distinguée.
Veuillez croire, Madame, Monsieur, à l’expression de mes sentiments les meilleurs.
1-2. 「L’expression de mes salutations」は間違い
続いて、これもまた複雑で、ぺぎぃもうっかりミスをしがちだが、「L’expression de mes salutations」という表現は間違いである。
基本的に「Exprimer」という動詞は「表現する」という意味なので、「Salutations(挨拶)をExprimer(表現する)」というのは些か不自然な感じがする。
どちらかというと「L’expression de mes sentiments」とした方が響きも良いし、「気持ちを表現する」という意味でしっくりとくる。
Je vous prie de recevoir, Madame, Monsieur, l’expression de mes salutations les meilleurs.
Je vous prie de recevoir, Madame, Monsieur, l’expression de mes sentiments les meilleurs.
1-3. 「Cordialement」は間違い
そして最後に、これは文法的な間違いというよりは使い方の間違いの話であるが、フォーマルな手紙やメールでは「Cordialement」という結びの言葉は避けるべきである。
「Cordialement」や「Bien cordialement」は「A plus」や「A bientôt」と比較すると、丁寧な言い回しには違いないものの、基本的には同僚や知っている人の間で使われる表現である。
より丁寧なメールや、フォーマルな手紙では「フランス語の手紙やメールで役立つ結びの言葉」で紹介したように、より長い定型文を用いるか、せめて「Sincères salutations」や「Avec mes remerciements les plus sincères」とした方が良い。
Cordialement.
Bien cordialement.
Sincères salutations.
Avec mes remerciements les plus sincères.
Veuillez agréer, Madame, Monsieur, l’expression de mes sentiments les plus distinguées.
など。
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