本記事の内容
・フランス語で「どういたしまして」と言うためのフレーズを紹介【8種類】
フランス語には、日本の「どういたしまして」に該当する言葉やフレーズがいくつか存在する。
今回の記事では、今までぺぎぃが30年間フランスで暮らしてきた中で出会ったフレーズ8種類とその微妙なニュアンスを紹介していこう。
最後まで読んでいけば、フランス語で「Merci(ありがとう)」とお礼を言われたときに、余裕で「どういたしまして」と返すことができるようになるだろう。そうすれば、より一層フランス語生活が楽しくなることである。
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目次
フランス語で「どういたしまして」と言う様々な方法【8種類】
では、これからフランス語で使える「どういたしまして」の様々な表現方法を見ていこう。
1-1. 一番シンプル:「De rien」や「Il n’y a pas de quoi」
まずは、一番シンプルなフレーズから紹介していこう。フランス語を勉強された方や勉強中の皆さんは既にお馴染みかと思われる「de rien(いいえ)」と「il n’y a pas de quoi(礼は不要です)」というフレーズである。
「De rien(いいえ)」
「De rien(いいえ)」というのは一番シンプルな「どういたしまして」の表現方法である。日常でも非常によく用いられる。
– Merci d’avoir fait la vaisselle Peggy!(食器を洗ってくれてありがとうね、ぺぎぃ!)
– De rien!(いいえ)
これは、日本語に訳すと普通に「いいえ」という意味である。
何故かというと、実はこれは相手の「Merci(ありがとう)」というフレーズにかぶせて言うことで、「Merci … de rien(何についてありがとうも言っていない)」ということになるのである。
つまり、「特に何もしていない(=rien)ので、お礼(=merci)なんか言わなくてもよいですよ」という意味なのだ。
「Il n’y a pas de quoi(礼は不要です)」
「de rien(いいえ)」と似たような表現に、「il n’y a pas de quoi(礼は不要です)」というフレーズも存在する。
これも、先ほどと全く同じで、「お礼を言われるほどのことはしていませんよ」という意味である。
– Merci de m’avoir aidé à faire les courses, Peggy!(買い物を手伝ってくれてありがとうね、ぺぎぃ!)
– Il n’y a pas de quoi!(いいえ、大したことはありませんよ。)
使い方は、基本的に「de rien」と全く同じと捉えてよいが、本当に微妙なニュアンスを言えば、
・「de rien」⇒ 本当に些細なことに対して、「Merci(ありがとう)」と言われた場合に用いる。
・「il n’y a pas de quoi」⇒ 実際に行動を起こしたり、時間を費やしたりはしているのだが、「大したことはないよ、気にしないで」と言いたいときに用いる。
と、ぺぎぃは捉えている。
「C’est ○○(○○です)」
最後に、もう一つシンプルな「どういたしまして」の例を挙げると、「c’est ○○(○○です)」という表現の仕方がある。
「○○」の部分には、先ほど見た「rien(何も)」や、「normal(当然)」や「naturel(自然)」と言った形容詞を入れることができる。
– Merci de m’avoir aidé à faire les devoirs, Peggy!(宿題を手伝ってくれてありがとうね、ぺぎぃ!)
– Pas de problème. C’est normal!(問題ないよ。当然さ!)
– Merci de m’avoir accompagné à la poste, Peggy!(郵便局についてきてくれてありがとうね、ぺぎぃ!)
– Ce n’est rien!(何でもないよ!)
また、上の例のように「Pas de problème(問題ありません)」を付け加える人もいたりする。
一つだけ注意点として挙げておくと、今回紹介した「de rien」、「il n’y a pas de quoi」、「c’est ○○」というフレーズは、基本的にカジュアルな場面で用いることが多く、あまりかしこまった場で用いるのには適していない。
例えば、友達同士や、同僚と話すときに「de rien」や「pas de quoi!」を用いるのは正解だが、上司や偉い方に対して用いるのは不適切である。
理由としては、相手がお礼を言ってきたことに対し、「いいえ、全然大したことではありませんよ」と言っているので、偉い人に使ってしまうと、「あれ?こいつ、俺のことを見下していないか?」と捉えられる危険性がある。
そこで、かしこまった場で「どういたしまして」と言いたい場合は、これから紹介する他のフレーズを用いることをおすすめする。
1-2. 気持ちを伝える:「Avec plaisir / Le plaisir est pour moi」
もう一つ、フランスで「Merci(ありがとう)」と言われたときに、「どういたしまして」のような返しフレーズとして使えるものに、「Avec plaisir(喜んで)」や「Le plaisir est pour moi(喜びはこちらに)」というものがある。
「Avec plaisir(喜んで)」
「Avec plaisir(喜んで)」は、先ほどの「de rien(いいえ)」や「il n’y a pas de quoi(礼は不要です)」とは異なり、お礼を言われたことに対して「いいえ、何でもないです」というよりは「お役に立てて嬉しい」や「あなたのためなら喜んでお役に立ちます」という意味であり、感じがとても良いフレーズである。
– Merci de m’avoir montré le chemin!(道を教えてくれてありがとう!)
– Avec plaisir!(お役に立てて、嬉しいです!)
ぺぎぃもフランスで過ごしている間に何度か、この「Avec plaisir」というフレーズを返されたことがあるが、受けるほうも自然と笑顔になるような素晴らしいフレーズだとつくづく思う。
目下、目上の誰にでも用いることができ、自分も相手も二人とも笑顔にするさせることができるので、非常におすすめする。
「Le plaisir est pour moi(喜びはこちらに)」
もう一つ、似たようなフレーズで「Le plaisir est pour moi(喜びはこちらに)」というものも存在する。
これは少し気取ったというか、珍しい言い方で、「Merci(ありがとう)」とお礼を言われたときに、「いえいえ、喜びを感じているのは私の方なので、お礼は不要です」という意味である。
– Merci de m’avoir aidé à réparer mon vélo!(自転車を直してくれてありがとう!)
– Le plaisir est pour moi!(いいえ、喜びを感じているのは私のほうです。)
まぁ、相手がただ単に礼儀で「Merci(ありがとう)」と言っているのかもしれないのに、勝手に「le plaisir est pour moi(喜びを感じているのは私の方です)」と言うのは若干おこがましい気がする。
とはいえ、茶番のように少し大げさなイントネーションでこの文を言うと、結構スムーズ、且つ丁寧に「どういたしまして」と相手に伝えることができる。一発ギャグとまではいかないが、場合によっては結構好感度を上げることができる面白いフレーズである。頭の片隅に入れておくのもありかも。
1-3. 少し丁寧な言い方:「Je t’en prie / Je vous en prie」
続いて、これもまた、目上の人や丁寧なフランス語を用いたいときに用いることができる「どういたしまして」のフレーズである:「Je t’en prie(よしてくれ)」と「Je vous en prie(お構いなく)」。
Prier という動詞は、「祈る」や「お願いする」という意味であり、ここで用いる「Je vous en prie」というのは、「いえいえ、お礼など言わないでください(=お礼は言わないようにお願いいたします)」という意味である。
つまり、非常に丁寧な「どういたしまして」の言いまわし。日本語風に言うと謙譲語みたいな部類に入るのであろうか?
「Je t’en prie」の場合は、人称代名詞のTuを用いているので、もう少しくだけた言い方、普通の「どういたしまして」より若干丁寧な言い方である。場合によっては、「遠慮しないで」という意味も含まれている場合がある。
– Ce séjour fut très agréable. Merci encore pour votre chaleureux accueil.(この度は、とても快適な滞在でした。温かい歓迎を本当にありがとうございました。)
– Je vous en prie. Revenez quand vous le voulez.(恐縮です。またいらしてください。)
(友人の家でお茶を出されたとき)
– Merci (pour le thé)!((お茶)ありがとう!)
– Je t’en prie.(いいよ、いいよ(=お礼なんてよしてくれの意味))
上の例でも分かるように、「Je vous en prie」の日本語訳が非常に難しいのであるが、極端に言ってしまえば、「勿体なきお言葉」みたいな感じである。もう一度言うが、非常に丁寧な「どういたしまして」の言い方。
逆に「Je t’en prie」の方は、人称代名詞のTu を用いているため、友達同士でも使える。素っ気ない「de rien」よりは使いやすいかもしれない。
あまり堅苦しくしたくない場合には、「Je t’en prie」単体ではなく、「Ben, je t’en prie(まぁ、いいよいいよ)」みたいな感じで、Ben を挟んで少し和らげてみるのもあり。
ぺぎぃの友達にも、よく「Je t’en prie」を用いる人がいる。
1-4. 相手にもお礼を:「Merci à toi / Merci à vous」
最後に、「どういたしまして」とは少し異なるが、相手から「Merci(ありがとう)」とお礼を言われた際に、逆にこちらからもお礼を言い返すという方法も存在する。
「Merci à toi/vous」
一番一般的なのは、「Merci(ありがとう)」と言われたときに、「Merci à toi/vous(こちらこそありがとう)」と返すことである。
非常にシンプルなフレーズなので、おそらく「de rien(いいえ)」より使いやすいのではないか?極論を言ってしまえば、「à toi/à vous」を抜いて、「Merci(ありがとう)」だけで済ませても問題ない。
– Merci de m’avoir invité chez vous!(家にお招きいただき、ありがとうございました。)
– Merci à vous d’être venu!(こちらこそ、お越しいただき、ありがとうございました!)
(会議の終わりなど)
– Merci à tous! Bonne journée!(それでは、皆さまありがとうございました。よい一日を!)
– Merci! Au revoir!(ありがとうございました!さようなら!)
⇒ この例では、「Bonne journée(よい一日を)」に対して「Merci(ありがとうございます)」と言っているようにも読めるが、「Merci à tous!(皆さまありがとうございました!)」に対して「Merci!(ありがとうございました)」で終わっても、全く問題はない。
「C’est moi qui te/vous remercie」
もう一つ、相手にもお礼を言うフレーズで、もう少しだけきちんとしているものでは、「C’est moi qui te remercie(お礼を言うのは私の方だ)」や「C’est moi qui vous remercie(お礼を言うのは私の方です)」というのがある。
これは、「Merci(ありがとう)」と言葉一つだけで終わらせたくない場合に用いるとよいだろう。ただし、場合によっては(先ほどの会議の例など)、少し大げさに聞こえてしまうので注意が必要である。
– Merci d’être venu nous voir! C’était très sympa.(会いに来てくれてありがとう!とても楽しかった。)
– C’est moi qui te remercie de nous avoir invité! On se reverra une prochaine fois.(こちらこそ、招いてくれてありがとう。また今度会おう!)
また、このフレーズは略称でも用いることができて、その場合は「c’est moi!(私です)」となる。これは、「c’est moi (qui te/vous remercie)」という意味である。
まとめ:フランス語で「どういたしまして」と伝えるフレーズ【状況別の表】
以下に今回の記事で紹介した「どういたしまして」の例を状況別にまとめる。
2-1. 友達同士で話す場合
De rien | 一番シンプルな「いいえ」の意味。 |
---|---|
Il n’y a pas de quoi | 「お礼なんか言われるほどのことはしていないよ」の意味。 |
C’est normal | 「当然さ」の意味。「Pas de problème(問題ない)」と組み合わせて使ってもよい。 |
Avec plaisir | 「喜んで!君のためならば、何度でも役に立つよ」の意味。 |
Je t’en prie | 「いいよいいよ、遠慮しないで」の意味。「Ben, je t’en prie」と少しくだいて言うのもよい。 |
Merci à toi/C’est moi | 「お礼を言うのはこちらの方だよ」の意味。 |
2-2. 会社の同僚や、見知らぬ他人と話す場合
De rien/De rien du tout | 一番シンプルな「いいえ」の意味。「De rien du tout」と言った方が若干やわらかいかも。 |
---|---|
C’est normal | 「当然ですよ」の意味。自分でなくても、誰でもそうしますよ、と。 |
Avec plaisir/Le plaisir est pour moi | 「あなたのためなら、喜んで」や「お役に立ててうれしいです」の意味。また、「le plaisir est pour moi」も少し気取った言い方であるが、OK。 |
Je t’en prie/Je vous en prie | 「いいよいいよ、遠慮しないで」の意味。見知らぬ人に対しては、Vous を用いる。 |
Merci à toi/Merci à vous/C’est moi | 「お礼を言うのはこちらの方だよ」の意味。見知らぬ人に対しては、Vous を用いる。場合によっては、「c’est moi」も可。 |
2-3. 目上の人や改まった場で話す場合
Avec plaisir | 「お役に立てて、光栄です」の意味。「Le plaisir est pour moi」でもよいかもしれないが、ぺぎぃ感覚では少し気取った言い方なので、目上の人には避けている。 |
---|---|
Je vous en prie | 「お礼には及びません」、「お構いなく」の意味。非常に丁寧な言い回し。 |
C’est moi qui vous remercie | 「Merci à vous」だけだと、若干上から目線な気がするので、目上の人に対しては「C’est moi qui vous remercie」と言うのがよい。 |
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おまけ:「どういたしまして」のフレーズの組み合わせ【de rien】
最後におまけとして、一番一般的な「de rien(いいえ)」と他のフレーズの組み合わせについてみていこう。
今回の記事で説明したように、「de rien」というのは「merci … de rien(何についてありがとうでもない)」と、相手の「merci(ありがとう)」を補足する意味で用いるので、他の意味のフレーズと組み合わせることが可能である。
3-1. 「de rien」+「c’est ○○」
シンプルなフレーズを二つ組み合わせた形:「de rien, c’est ○○(いいえ、○○です)」。「de rien(いいえ)」だけでは少し味気ないという場合に非常に便利な組み合わせである。
また、「○○」の中には normal や、rien など、好きな形容詞を入れることができるので、アレンジが可能。
– Merci Peggy de m’avoir appris le français.(ぺぎぃ、フランス語を教えてくれてありがとう。)
– De rien! C’est normal!(いいえ、当然さ!)
相手に「どういたしまして」と伝えた後に、自分の喜びもついでに伝えることができる組み合わせとして、「de rien, avec plaisir(いいえ、喜んで)」や「de rien, c’est un plaisir」と言うものがある。
また、「de rien, le plaisir est pour moi(いいえ、喜びはこちらです)」の組み合わせも、「de rien」単品の素っ気なさと、「le plaisir est pour moi」の気取った雰囲気をうまく中和してくれるので、非常におすすめのブレンドである。
– Merci pour ce cadeau magnifique!(素敵なプレゼントをありがとう!)
– De rien, le plaisir est pour moi!(どういたしまして、喜んでくれてうれしいよ。)
3-3. 「de rien」+「je t’en prie」
更に、「je t’en prie(いいよ)」や「je vous en prie(お構いなく)」とも「de rien(いいえ)」を組み合わせることが可能だ。
「de rien(いいえ)」単品の場合は、目上の人に用いるのには適していないと先程は書いたが、ここでは「je vous en prie(お構いなく)」と一緒に用いることによって、目上の人にも使えるフレーズに進化する。
– Merci d’avoir organisé cette réunion, Peggy.(ぺぎぃくん、会議の準備をしてくれてありがとう。)
– De rien, je vous en prie.(いいえ、お構いなく。)
言葉の丁寧さで言えば、「de rien(いいえ)」単品の素っ気なさと、最上級の「je vous en prie(お構いなく)」がいい感じに混じって、やや丁寧な言い回しになったような感じだろうか。実際には「Je vous en prie」単品の方が丁寧だとぺぎぃは思う。
3-4. 「de rien」+相手へお礼
最後に、相手に「どういたしまして」と伝えた後にこちらからのお礼も伝えるということもできる。これには、「de rien, merci à toi(いいえ、君のほうこそありがとう)」や、「de rien, c’est moi qui te/vous remercie(いいえ、お礼を言うのは私のほうだよ/です)」を用いる。
この場合、「de rien, c’est moi qui vous remercie(いいえ、お礼を言うのは私の方です)」のフレーズは、目上の人にも使うことができるが、「de rien, merci à vous(いいえ、あなたの方こそありがとう)」というフレーズはまだいまいち丁寧さが足りない気がする。まぁ、微妙なニュアンスなので、そこまで気にする人はいないと思うが。
– Merci Peggy d’être venu à mon mariage.(結婚式に来てくれてありがとう、ぺぎぃ。)
– De rien, merci à toi.(いいえ、こちらこそありがとう。)
– Merci d’avoir assisté à cette conférence ce soir.(今夜のコンファレンスにご参加いただき、ありがとうございました。)
– De rien, c’est moi qui vous remercie.(いいえ、お礼を申し上げるのはこちらの方です。)
ということで、今回の記事はここまで。
後は、フランス語を勉強したり、話しているうちに感覚で様々な「どういたしまして」の表現を使いこなせるようになると思うので、人からたくさんの「Merci(ありがとう)」を言ってもらえるよう、心掛けよう!
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