以前、別な記事にてフランス語で「~したい」や「~ほしい」を伝える言い回しについて解説してきた。
しかし、そのときに紹介した「Je veux」や「Je souhaite」の他にも「Je te veux」や「Je te souhaite」などの人称代名詞を使用した言い回しが存在する。
今回はこれらの言葉の意味合いと使い方について説明していこう。
- 「Vouloir」に人称代名詞を加えた表現:「Je te veux ○○」
- 「Souhaiter」に人称代名詞を加えた表現:「Je te souhaite ○○」
因みに、前の記事では「Vouloir(求める)」と「Souhaiter(願う)」と共に「Désirer(望む)」という動詞も一緒に紹介していたが、「Je te désire ○○」という表現は意味が何となく伝わりそうなものの、あまり聞いたことがないため、今回は省くことにする。
それでは、「Je te veux ○○」と「Je te souhaite ○○」などの言い回しについて一緒に意味や使い方を見ていくとしよう。
目次
「Vouloir」の場合:「Je te veux ○○」
まずは、フランス語で最もよく使われる「○○を求める」を表す動詞「Vouloir」について見ていこう。
1-1. 目的語がない場合の「Je te veux」
ポイント
目的語なしに「Je te veux」や「主語 + △△(人称代名詞) + vouloir」の形を用いた場合、「△△がほしい」という意味になる。
いきなり注意点だが「主語 + △△(人称代名詞) + Vouloir」の造りを用いた場合には「△△がほしい」という意味になってしまう。
この「△△」の部分には人称代名詞、つまり他人を表す代名詞が入るため、間違って使ってしまうとかなり危ない意味として捉えられる可能性がある。
また、英語などでは様々な意味で「I want you」と言える気がするが、フランス語の場合には「Je te veux」と言うとほぼ99%「あなたの体がほしい」という意味になってしまうため、注意が必要だ。
「主語 + △△(人称代名詞) + Vouloir」の例文
1. Je te veux. (あなたが欲しい)
2. Elle te veut. (彼女は君を欲しがっている)
1-2. 目的語を追加した「Je te veux ○○」
ポイント
目的語を追加した「Je te veux ○○」、つまり「主語 + △△(人称代名詞) + vouloir + ○○(目的語)」の形には2パターンある:
①: ○○が形容詞の場合:「△△に○○であってほしい」
②: ○○が名詞の場合:「△△に○○を望む」
続いて、「Je △△ veux」と誤って相手の体を求める言い回しを避けたい場合には、後ろに「○○(目的語)」を追加する必要がある。
その際に、難しいところは2パターン存在するということだ:
- ○○が形容詞の場合:「Je te veux ○○」(君に○○であってほしい)
- ○○が名詞の場合:「Je te veux du/de la ○○」(君に○○を望む)
例えば、○○が形容詞の場合には:
Je te veux plus sage. (君にもう少し静かにしていてほしい)
Je te veux en bonne santé. (君に健康でいてほしい)
など言うことができる。
他にも、○○が名詞の場合には:
Je te veux du bonheur. (君に幸せを望む)
Je te veux du mal. (君に悪意を抱く = 悪いことを望む)
などの表現が可能である。
「主語 + △△(人称代名詞) + Vouloir + ○○(目的語)」の例文
1. Je te veux plus jolie. (君にもっときれいになってほしい)
2. Peggy te veut plus assidu. (ぺぎぃは君にもっと熱心になってほしいと思っている)
⇒ 「勉強熱心」や「勤勉」と言い換えることもできる。
3. Je te voulais juste du bien. (君によかれと思っていただけだ)
⇒ 少し複雑だが、「Je te veux du bien(君に良いことを望む)」を過去形にして、間に「Juste(ただ)」を付け加えた文である。
4. Pegiko ne te veut aucun mal. (ぺぎこは君に害を加えるつもりはない)
⇒ 直訳すると「ぺぎこは君に一切の悪意を抱いていない/悪いことを望んでいない」となる。
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「Souhaiter」の場合:「Je te souhaite ○○」
続いて、「○○を願う」という意味の動詞「Souhaiter」の使い方について見ていこう。
2-1. 目的語がない場合の「Je te souhaite」は意味をなさない
ポイント
目的語なしに「Je te souhaite」や「主語 + △△(人称代名詞) + souhaiter」のみの形は成立しない。
先程の「Vouloir(求める)」とは異なり、「Souhaiter(願う)」の場合は、目的語なしには文が成立しない。
つまり「Je te souhaite」だけでは何も意味をなさないのである。
2-2. 目的語を追加した「Je te souhaite ○○」
ポイント
目的語を追加した「Je te souhaite ○○」、つまり「主語 + △△(人称代名詞) + souhaiter + ○○(目的語)」の形には2パターンある:
①: ○○が名詞の場合:「△△に○○を祈る」
②: ○○が「de」+ 不定詞の場合:「△△が○○することを願う」
「Souhaiter」が「Vouloir」とも「Désirer」とも異なる部分は、この「主語 + △△(人称代名詞) + souhaiter + ○○(目的語)」の形をとった際に、相手に対して特別な意味になるところにある。
これは特に①の「○○(目的語)が名詞の場合」にそうである。
例えば、祝いの言葉として用いられるフレーズの「Joyeux anniversaire(誕生日おめでとう)」や「Bonne année(あけましておめでとう)」を目的語として用いると:
Je te souhaite un joyeux anniversaire. (お誕生日おめでとう)
⇒ 「Joyeux anniversaire」よりも丁寧で心がこもった言い回し。直訳:「君に楽しい誕生日を祈るよ」
Je vous souhaite une bonne année. (明けましておめでとうございます)
⇒ 「Bonne année」よりも丁寧な言い回し。直訳:「あなた方に良い年をお祈りします」
となる。
これは、先ほどの「Je veux」では使うことができなかった表現である。英語の「I want」と「I wish」の違いに例えればわかりやすいのかもしれない。
また、②のケースの「○○が de + 不定詞の場合」には、一般的な「願う」の意味で「Souhaiter」を用いることができる。
「主語 + △△(人称代名詞) + souhaiter + ○○(目的語)」の例文
1. Je te souhaite une bonne continuation. (君に益々の活躍を祈っているよ)
⇒ 転勤や異動となる人に向けてよく使われる言葉。
2. Peggy souhaite à Pegiko plein de bonheur et de réussite. (ぺぎぃはぺぎこにたくさんの幸せと成功を祈っているよ)
⇒ 「主語 + souhaiter + 目的語」っぽい表現であるが「à Pegiko」の部分を人称代名詞として「Peggy lui souhaite plein de bonheur et de réussite」と言うこともできる。
3. Pegiko vous souhaite de bonnes fêtes de fin d’année. (ぺぎこはあなた方に良い年末のお祝いを祈っています)
⇒ ニュアンス的には:「ぺぎこはあなた達に向けて「Bonnes fêtes de fin d’année」と言っていますよ」という意味。
4. Nous lui souhaitons de réussir. (彼が成功することを(我々は)願っています)
それでは、今回も最後までご愛読いただきありがとうございました。
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