フランスのパン屋では日本と異なり、対面式でパンを注文することが主である。
もちろん、大手のスーパーなど、他の食料品も扱っているお店では、パンを自分で選んでレジに並ぶことが多いが、Boulangerie(パン屋)では一般的にはレジの店員さんに欲しいパンをフランス語で伝えなくてはならない。
ご心配なく。フランス語が話せなかったり、自信がない方のために、今回の記事ではフランスのパン屋でパンを注文するための基本フレーズを紹介していくとしよう。
ちなみに、簡単に自己紹介をしておくと、ぺぎぃはフランス生まれ、フランス育ちの(自称)温泉ペンギンである。かれこれ30年程フランスで暮らしてきており、パン屋でフランスパンとして有名なBaguette(バゲット)を買った数はおそらく数1000回はくだらない。7~8歳の子供のころからも、おつかいとして母親によくパン屋に送られていたものだ。
すなわち、フランスのパン屋でパンを買うためのフランス語のフレーズは完全に熟知しており、体に染みついている。今回ご紹介するこれらのフレーズを用いれば、フランス語の知識ゼロの方でも問題なくフランスのパン屋で美味しいパンを買えるようになるはずだ。
目次
フランスのパン屋でパンを注文するためのフレーズ
それでは、ここでは注文を開始するときの挨拶から、支払い後のお別れの挨拶までのフランス語のフレーズを、カタカナ表記の発音と共に紹介していくとしよう。
1. まずは何も言わずに並ぶ
フランスのパン屋に入って一番最初にあるのはドアである。通常はガラス張りのドアで、手動で押したり引いたりするタイプのものが多いが、ごく稀に自動ドアであることもある。
日本では、お客さんがお店に入ったら「いらっしゃいませー」と店員さんが声をかけてくることが一般的であるが、フランスではそのようなことはまずない。そこで戸惑いを覚える方もいるだろう。しかし、全く心配はいらない。フランスでは普通である。
そのため、ドアをくぐってお店に入ったら、とりあえずはレジの前に並んで、自分の番が来るのを待とう。もし、他のお客さんがいなくて自分が一人目のお客さんだったり、前のお客さんが帰って自分の番が周ってきたら、次の「挨拶」のステップに進むとよい。
2. 挨拶の言葉:「Bonjour(ボンジュー)」
まずは、基本の挨拶:「Bonjour(ボンジュー)」。これは「こんにちは」という意味で、おそらく日本人でも知っている人は多い。「おはようございます」と朝の挨拶としても使うことができる。
パン屋に入って、レジの前で自分の番を待っていれば、通常はパン屋さんの方から「Bonjour, que puis-je faire pour vous?(こんにちは、何にしましょうか?)」と聞いてくるはずであるが、向こうから「Bonjour(ボンジュー)」と言われなくても、こちらから注文する前に「Bonjour(ボンジュー)」と言うのが礼儀である。
他にも、夕方あたりからは「Bonjour(ボンジュー)」ではなく、「Bonsoir(ボンソワー)=こんばんは」と言われたりもするが、基本的には「Bonjour(ボンジュー)」で返しても問題はない。フランス語中級者の方は「Bonjour(ボンジュー)」と「Bonsoir(ボンソワー)」を使い分けて練習してみるのもよいだろう。
3. 注文の言葉:「Un/une ○○ s’il vous plaît.(アン/ユヌ・○○・シルヴプレ)」
それでは、いよいよ目当てのパンを注文する方法である。
基本的には、「数」+「目当てのパン」+「s’il vous plaît(シルヴプレ)」と言っておけば、問題なく注文をすることができる。
– Une baguette s’il vous plaît!(バゲットを一本ください!)
⇒ 発音は「ユヌ・バゲット・シルヴプレ」
– Deux croissants et un café s’il vous plaît!(クロワッサンを二つとコーヒーを一杯ください!)
⇒ 発音は「ドゥー・クロワッサン・エ・アン・キャフェ・シルヴプレ」
– Trois macarons s’il vous plaît!(マカロンを三つください!)
⇒ 発音は「トロワ・マキャロン・シルヴプレ」
この「s’il vous plaît(シルヴプレ)」という言葉は、英語の「please」と同じく、「お願いします」という意味である。つまり、「○○のパンを△△個ください」という意味になる。
数の部分について、おそらくこの記事を読んでいる皆さんは多少勉強されていると思うが、一応下に1~10までの数字をカタカナの発音と共に記載しておこう。
1 ⇒ un(男性形)/ une(女性形)、読み方は「アン」と「ユヌ」
2 ⇒ deux(ドゥー)
3 ⇒ trois(トロワ)
4 ⇒ quatre(キャトル)
5 ⇒ cinq(サンク)
6 ⇒ six(シス)、後ろにパンの名前が続く場合は「シ」とだけ読む
7 ⇒ sept(セット)
8 ⇒ huit(ユイット)、後ろにパンの名前が続く場合は「ユイ」と読む
9 ⇒ neuf(ヌフ)
10 ⇒ dix(ディス)、後ろにパンの名前が続く場合は「ディ」とだけ読む
また、パンの名前も星の数ほど存在するため、全てを記載することはできないが、おそらく皆さんが一番お買い求めになるであろう有名なパンを以下にいくつか書いておこう:
Une baguette(バゲット)
Un croissant(クロワッサン)
Un pain au chocolat(パン・オ・ショコラ)
Une brioche(ブリオッシュ)
Un pain de campagne(パン・ド・カンパーニュ)
4. 追加で注文:「Et aussi un/une ○○ s’il vous plaît.(エ・オッシ・アン/ユヌ・○○・シルヴプレ)」
続いて、こちらは使う機会が少し少ないと思うが、一つの注文を終えたあと、追加でもう一つ何かを頼みたいときに使えるフレーズに「Et aussi un/une ○○ s’il vous plaît(エ・オッシ・アン/ユヌ・○○・シルヴプレ)」と言うものがある。意味は「あと、○○も一つお願いします」。
ここでも、先ほどと同じように「un/une」の代わりに適当な数を入れることによって、「一つ」ではなく「△△個」注文することができる。
– Une baguette s’il vous plaît!(バゲットを一本ください!)
– Ça sera tout?(以上でよろしいですか?)
– Et quatre croissants s’il vous plaît!(あとクロワッサンを四つお願いします!)
– Un chausson au pommes s’il vous plaît! Et aussi deux pains au chocolat.(ショッソン・オ・ポンムを一つください!そしてパン・オ・ショコラも二つ。)
上の例で書いた通り、場合によっては「aussi(オッシ)= も」と「s’il vous plaît(シルヴプレ)= お願いします」はお好みで省いてもよいし、礼儀を重んじるんなら残してもよい。
5. 注文終わり:「Ça sera tout!(サ・スラ・トゥ)」
それでは、注文が終わって、追加に頼む品物がない場合はどうするべきか?
パン屋さんから何も聞いてこなく、いきなり「○○ユーロです」と会計に入る場合には特に考える必要はない。そのまま支払いに進めばよいのである。
しかし、ぺぎぃの経験上、一般的なフランスのパン屋さんでは十中八九次のような質問が飛んでくることになる:
Et avec ceci?(エ・アヴェク・スシ)⇒ 他には?
Ça sera tout?(サ・スラ・トゥ)⇒ 以上でよろしいですか?
Vous désiriez autre chose?(ヴ・デジリエ・オートル・ショーズ)⇒ 他にも何か必要でしたか?
もし他に追加で注文するものがあるのであれば、ここで先ほどの「Et aussi un/une ○○ s’il vous plaît」と言えばよいのだが、既に注文するものが全て終わっているのであれば、「Ca sera tout!(サ・スラ・トゥ)」と答えておけばよい。「以上で終わりです」という意味。より丁寧に言いたければ、「Merci(メルシー)」を付け加えてもよい。
– Une baguette s’il vous plaît!(バゲットを一本ください!)
– Et avec ceci?(他には?)
– Ça sera tout! Merci!(それだけです!ありがとう!)
6. お支払いを済ませる
「フランス語が聞き取れないけど、支払いはどうすればよいか?」という質問をよく見かけるが、基本的には「特に問題ない」と答えることができる。
なぜなら、パン屋さんが「○○ユーロです」と言った言葉が聞き取れなくても、通常レジにある機械の数字を見れば、何ユーロなのか合計金額が書いてあるからだ。
また、バゲット一本とか、特にレジで計算が必要ない単品購入の場合には、とりあえず1ユーロ玉若しくは2ユーロ玉を渡しておけば大きな問題はない。バゲットの相場は通常1ユーロ弱、クロワッサンやパン・オ・ショコラなどのお菓子の相場は1ユーロちょっとであるので、あとはパン屋さんが勝手にお釣りを計算して渡してくれる。
ちなにみ地方によっては、直接パン屋さんにお金を手渡すのではなく、レジの前に置いてある機械にお金を入れるタイプのパン屋さんもある。あれはパン屋さんがレジのお金を出している間に強盗がお金を鷲掴みにして盗んでいくのを防ぐための防犯対策であるとぺぎぃは認識している。
そのような機械の場合は、とりあえずコインやお札を入れれば、勝手にお釣りを返してくれるので、余計心配することはない。機械の使い方は、フランス人でも分かるように作ってあると言えば、どれだけ簡単かわかるだろう...
7. お礼と別れの挨拶:「Merci, au revoir!(メルシー・オルヴォワー)」
そして最後。お支払いを済ませてパンを受け取り、パン屋を去るときには、別れの挨拶とお礼を忘れないようにしよう。
日本のコンビニエンスストアなどでは、特にお客さんからお店の店員に「ありがとう」とお礼を言ったりする風習はないが、フランスでは結構基本的なマナーなので、注意しよう。
言い方としては、特に難しく考える必要はなく、「Merci, au revoir!(メルシー・オルヴォワー)」と言っておけばよい。「ありがとう、さようなら」という意味である。
また、パン屋さんによっては、「Merci, bonne journée!(ありがとうございました。よい一日を!)」や「Merci, bonne soirée!(ありがとうございました。よい一夜を!)」と言ってくる人がいるので、フランス語中級者であれば、「Merci, bonne journée/soirée à vous aussi(メルシー・ボンヌ・ジュルネー/ソワレー・ア・ヴ・オッシ)」と返してみるのもよいかもしれない。
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【まとめ】フランスのパン屋でパンを注文するときの流れ
それでは最後に、フランスのパン屋でパンをフランス語で注文するときの流れをもう一度おさらいしてみよう。
ここではぺぎぃを「パン屋」、ぺぎこを「お客さん」として会話を見ていくとしよう。今回注文するものは、バゲットを一本とパン・オ・ショコラを二つである。
Une baguette s’il vous plait!(バゲットを一本ください!)
ふぅ~、買えた買えた!
...いかがだっただろうか?
基本的には、フランスのどこのパン屋へ行っても、大体この流れになると思われる。後は、実際に一、二回自分で言ってみてパンを購入してみれば、さほど怖いものはなくなるはず。恐れずにチャレンジしてみよう!
ちなみに以下の記事では、フランスのパン屋でどのパンを購入するべきか、ぺぎぃのおすすめを紹介しているので、興味がある方は是非ご覧ください。
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