さて、ぺ千代(ぺちよ)ちゃん育成日記の第13話である。

前回の記事では、ぺ千代ちゃんの日本語の言い間違えを大特集したが、今回は趣向を変えて――フランス語の「Oui(ウィ)」と「Non(ノン)」の習得順序についてお話ししたいと思う。

「はい」と「いいえ」――普通なら同じくらいのタイミングで習得しそうなものだが、ぺ千代ちゃんの場合はこの2つの習得になんと約1年以上の差があった。

果たして皆様はどちらが先だったと思うだろうか?

本記事の内容
  • ぺ千代ちゃん(日仏クォーター)の言語環境を紹介
  • 「Non」が「Oui」より1年以上早く習得された話
  • なぜ逆転が起きたのか?ぺぎぃ流の3つの仮説
ちなみに、初めての方のために補足しておくと、ぺぎぃはフランス生まれ・フランス育ちの日仏ハーフ。つまり、正確には息子のぺ千代ちゃんは、日仏クォーターになる。
ぺぎこ
ぺぎこ
最近では「Oui」も「Non」も両方とも使えるようになってきたわね。
ぺぎぃ
ぺぎぃ
そうなんだよ。だいぶ時間がかかったけど、ようやく使いこなせるようになってきて嬉しい!
平仮名パズルで遊んでいるぺ千代ちゃん
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①ぺ千代ちゃんの言語環境について

日仏バイリンガル育児の家族の言語環境を表すイラスト

本題に入る前に、ぺ千代ちゃんの言語環境について簡単に紹介しておこう。

ぺ千代ちゃんは現在3歳半。日仏クォーターで、毎日こんな言語環境で育っている。

誰が何語でどのくらい
ぺぎこ(ママ)毎日どっぷり(家の中でも、外でも、幼稚園でも)
ぺぎぃ(パパ)フランス週末・祝日のみ(平日は仕事で外出のためほぼ会えていない)

平日はぺぎぃが、ペ千代ちゃんの起床前に出社し、ペ千代ちゃんの就寝後に帰宅することが多いため、なかなか一緒にフランス語を話すことができていない。

しかし、週末であればぺぎぃとお出かけしたり、一緒にフランス語の絵本を読んだり、また普段の一人遊びの際にもMagibookなどのフランス語おもちゃで遊んだりしてフランス語に触れる機会が少しはある。

日本語環境に引っ張られているせいか、ぺぎぃがぺ千代ちゃんに話しかけた際の返答はほとんどが日本語で返ってくるが、ぺぎぃが一人三役でパンダやオラフのぬいぐるみで遊んであげているときには、たまにフランス語で返してくれることもある。

ちなみに、ぺぎこちゃんもフランス語で話しかけようとしたことがあるのだが、ぺ千代ちゃんから「マモンは日本語で話せ」とリクエストがあり、撤退を余儀なくされてしまった。(「マモン」はフランス語でmaman=ママのこと)
ぺぎぃ
ぺぎぃ
良く考えると、平日はほとんど会えていないんだよね。週末だけじゃなかなか難しいね…
ぺぎこ
ぺぎこ
ゴールデンウィークとかは一緒にたくさん遊べてよかったわよね!

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②「Non」と「Oui」――1年以上の差が生まれた

フランス語OuiとNonの習得タイムラインを示すイラスト

さて、本題である。

ぺ千代ちゃんが「Non(ノン)」を初めて言ったのは、1歳半頃のことだった。少なくとも2歳になる頃には確実に言っていた。

一方で「Oui(ウィ)」をきちんと言い始めたのは、なんと3歳半に突入してからのこと。

つまり:

Non(1歳半頃) → Oui(3歳半頃)
2年近い差がある!

一体なぜこのような差が生まれるのだろうか?

「はい」と「いいえ」が同時に覚えられなかった理由は何なのか。ぺぎぃなりにいくつかの仮説を考えてみた。

2-1. 「Non」はどんな場面で使われていたか

ぺ千代ちゃんが「Non」を使い始めたのは、主にこんな場面だった:

  • 食べ物を差し出された時の「Non!」(食べたくない)
  • 朝の着替えを嫌がる時の「Non!」
  • 絵本の間違い探しクイズで、わざと間違えるときに得意顔で「ノー~ン!」(ぺぎぃの真似)

特にクイズの「ノー~ン!」は、ぺぎぃが大げさに言うのを真似して、ぺ千代ちゃんもちょっとニタニタしながら言ってくれるのがポイントである。(←親馬鹿)

ぺぎぃ
ぺぎぃ
間違い探しのクイズで「これが答え?」って聞くと、ぺ千代ちゃんが「ノー~ン!」って満面の笑みで言うんだよね。

2-2. 「Oui」はどんな場面で使われるようになったか

一方で「Oui」は、こっちが何度言っても最初はなかなか返ってこなかった。

例えば:

  • 「Ça va?(大丈夫・元気?)」→「Ça va.」(元気)
  • 「Est-ce que tu veux boire de l’eau?(水飲む?)「Non」または「S’il te plaît」(お願いします)
  • 「Est-ce que tu veux aller au parc?(公園に行きたい?)「Je veux aller au parc!」(公園に行きたい)
  • 「Tu es d’accord?(いいか・理解したか?)「D’accord!」(いいよ)

どういうことかと言うと、つまりは「Oui」と言わずとも要求や意志が別の言葉で十分伝わってしまうのである。(しかも、割と正しい受け答えである、3歳恐るべし)

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③「Non」が先、「Oui」が後になった理由を考えてみた

子供の言語習得の仮説を考えるイラスト

では、なぜこんな逆転現象が起きたのか。ぺぎぃなりに考えた仮説が3つある。

仮説① 音の出しやすさ

まず最もシンプルな違いは、音の出しやすさである。

Non(ノン)Oui(ウィ)
発音「ノン」とそのまま読めばOK日本語の「ウ」ではなく英語のWに近い半母音「wi」
日本語との互換性◎ほぼそのまま使える△ 日本語の「ウイ」と発音が異なる
習得難度低い高め

「Non」は日本語読みでも「ノン」と言えてしまうので、音として習得するのが非常に簡単である。

一方で、「Oui」は、フランス語特有の半母音「w」(英語のWに近い音)がついており、日本語の「ウイ」とは微妙に違う。発音の難しさで後回しになってしまったのかもしれない。

ちなみにフランス語の「Oui」は、英語の「we」に近い発音。口を前に突き出して「ウィ」とつなげて言う感じ。日本語の「ウ+イ」を分けて言う感覚とは少し異なる。

仮説② 「Oui」は言わなくても伝わる

もう1つの仮説は、コミュニケーション上の必要性の差である。

フランス語の学習という観点から言えば、「Oui」は言わなくても意志が伝わってしまうのである。

  • 「公園行きたい?」→「行きたい!」と言えば「Oui」は不要
  • 「ビスケット食べる?」→「たべる!」と言えば「Oui」は不要
  • 「これでいい?」→「d’accord!」と言えば「Oui」は不要

要するに、肯定の場合は動詞や目的語をそのままオウム返しで繰り返せば意志が伝わる。その場合、「Oui」という一言は付加的な役割しか果たさないのだ。

一方で否定の場合は「Non」と意思表示をしない限り明確に断ることができない

日本語の「やだ」に相当する強い拒否ができるのは「Non」だけ、という状況になる。

「Non」が先に習得される理由まとめ:
・発音がシンプルで日本語でもそのまま言える
・否定の意思表示は「Non」だけが担う(代替がない)
「Non」で完結する文の方が否定文全体(je ne veux pas ~)より遥かに楽

仮説③ 「Non」の方が感情的に「使える」場面が多い

もう1つ面白い側面がある。ぺ千代ちゃんが日本語で「やだ!」と言うのと、フランス語で「Non!」と言うのでは、雰囲気がかなり違うのだ。

「やだ!」(日本語)「Non!」(フランス語)
印象強い拒絶、ちょっと反抗的軽やかな拒否、かわいらしい
場の雰囲気ぺぎこちゃんとバトルモードになりがち可愛いな、とぺぎぃが和む

「やだ!」と叫ばれると「なによ、その言い方!」とぺぎこちゃんと険悪な雰囲気になってしまうのだが、「Non!」とフランス語で言われると、特段ぺぎこちゃんには影響を与えず、且つぺぎぃ側には「おお、フランス語を使ってくれている!」となぜかかわいく聞こえてしまうのである。

もしかするとぺ千代ちゃん自身がその微妙な空気の違いを読み、Nonの方が柔らかく伝わる」というのを感覚的に気づいていたのかもしれない――とまたもやぺぎぃの親バカな解釈である。

ちなみに、実際のフランス語で「Non!」は柔らかい表現なのかというと、決してそうではない。

ペ千代ちゃんの置かれている独特な環境下において「やだ!」よりも「Non!」の方が柔らかく聞こえるというだけである。

ぺぎぃ
ぺぎぃ
Non!」って言われると、なんかもう可愛すぎて許してしまいそうになるんだよね…
ぺぎこ
ぺぎこ
…そうやって甘やかすからでしょ!ちゃんとしつけなきゃダメよ!

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④ぺぎぃの反省点と似た逆転エピソード

バイリンガル育児を振り返る親のイラスト

4-1. ぺぎぃの反省は…あまりない

正直なところ、平日家にいないという以外の大きな反省はない!笑

使用頻度については、「Oui」「Non」をほぼ均等に(気持ち程度、若干「Non」の方が多めかもしれないが)使ってきたつもりなので、インプットの量の差が原因とは考えにくい

どちらかというと、前述した音の難しさコミュニケーションの必要性の差が主な要因だったのではないかと思っている。

ぺぎぃ
ぺぎぃ
Oui」をこっちが言っても「うん」って返ってくるし、「Oui?」って誘導してみても「Non」って返ってきたりするんだよね。

4-2. 似た逆転エピソード:人称代名詞

実はOuiNonに似た習得の逆転現象は、人称代名詞でも起きている。

以前の記事でも少し触れたが、ぺ千代ちゃんはぺぎぃが「Tu veux quoi?(何が欲しい?)」と2人称で聞くと、そのままオウム返しで「Tu veux ○○」と2人称のままで返してくることが多い。

本来は「Je veux ~」(私は~が欲しい)と1人称に変えて返すべきなのだが、まだそこまでは習得できていない。

習得の速さをまとめると:

  • 2人称「tu」:ぺぎぃがいつも「Tu veux~?」と話しかけるため、耳に馴染みがある → 早い
  • 1人称「je」:自分視点で話すために必要 → 習得中
  • 3人称「il/elle」日常会話ではあまり使う機会がない → ほぼ知らないかも

これも「よく耳にする=早く習得するという原則に従っているようだ。

ちなみに、ぺぎぃの幼馴染みに日仏ハーフの姉妹がいるのだが、彼女たちも姉妹間のケンカや制止するときに「Non!」をよく使っていた。

逆に「Oui」はほぼ日本語の「うん」で代用していたそうで、子供の言語環境においての非対称性はある程度普遍的なのかもしれない。

フランス語の否定形ne...pasの構造を説明するイラスト
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⑤これからのぺ千代ちゃんのフランス語

フランス語の成長を楽しみにしているイラスト

現在のぺ千代ちゃんのフランス語環境は、正直に言うと日本語:フランス語 = 9:1程度である。

平日はほぼ100%日本語なので、フランス語に触れるのは実質週末だけ

それでも最近では、パンダやオラフのぬいぐるみと遊ぶ「ごっこ遊び」の中で少しずつフランス語を使ってくれることが増えてきた。Oui!」が出てくるようになったのもその延長線上にある変化だと思う。

ぺぎぃとしては、少なくともぺぎぃと一緒にいる時間はフランス語 100% にしたいというのが理想である。

ただ、ぺぎぃ自身も最近ちょっと怠けていて、ぺ千代ちゃんと一緒にいる時間のうち8割がフランス語2割は日本語になってしまっている事実も隠せない。特に以下の場面では日本語に切り替えてしまいがちだ:

  • 危ない場面でとっさに注意するとき
  • 複雑な状況をちゃんと説明しなければならないとき
  • 急いでいてフランス語で説明している時間がないとき

フランス語で言っても「えっ?」という表情をされると、ついつい日本語で補足してしまうのが悩ましいところだ。(心を鬼にすべきなのだろうが、ぺぎぃの精神力の問題である)

ぺぎこ&ぺぎぃ
ぺぎこ&ぺぎぃ
ぺ千代ちゃんのフランス語の成長を今後も温かく見守っていきますので、皆さんもどうか応援してやってください~!同じようなバイリンガル育児をされている方のエピソードも、ぜひコメントで教えてね!

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