「文法も単語もある程度わかるのに、フランス人の日常会話になると急に聞き取れなくなる…」

そんな経験はないだろうか?

実はこれ、語彙力や文法力の問題ではない。ネイティブの話し言葉には、教科書にはほとんど載っていない「省略」「スラング」が大量に含まれているからだ。

今回は、ホテル・テラス・公園という3つのリアルな場面を舞台に、ネイティブが日常で本当に使っている口語表現とスラングを徹底解説する。

本記事の内容
  • よく使われるスラング・口語表現の例
  • ネイティブが使う「音の省略」パターン
  • 会話①ホテル/②テラス/③公園:リアル会話スクリプト+解説
  • 日常会話を聞き取るためのコツ

最後まで読んでいただければ、「ネイティブの会話が聞き取れない」という壁がかなり低くなるはずだ。記事の最後には練習問題もあるので、ぜひ挑戦してほしい。

ぺぎぃ
ぺぎぃ
今回は口語フランス語の「リアルな壁」を一緒に乗り越えよう!日仏ハーフのぺぎぃが、ネイティブ目線で本音解説するよ。
【フランス語】ネイティブの会話が聞き取れない理由|口語の音の省略3パターンを音声で学ぼうフランス語ネイティブの会話が聞き取れない理由を音声付きで解説。エリジオン・口語短縮形・複合省略の3つの音変化を難易度別音声3つと全トランスクリプトで練習。練習問題付き。...

1. よく使われるスラング・口語表現

フランス語の日常会話スラング・口語表現一覧を学ぶイラスト

まずは、今回の記事で用いる3つの会話例に登場する重要表現を整理しておこう。

フランス語の口語表現には、大きく分けて3種類ある。

  • スラング:教科書に載っていない俗語(例:galérerla flemme
  • Verlan(ヴェルラン):単語の音節を逆にした逆さ言葉(例:relou ← lourd
  • 省略形:音が脱落・短縮した口語発音(例:chuis ← je suis

1-1. よく使われる表現一覧(スラングとVerlan)

スラング口語表現親しい間柄での会話に限って使う。
初対面・目上の相手には基本的に使わない!

表現意味種類使い方・ポイント
trop / graveマジで・超(強調)/それな(同意)口語強調の副詞(「めちゃくちゃ」)としても、強い同意の相槌(「それな!」)としても使う
gueuler叫ぶ・大声で話すスラングgueule(動物の口・くちばし)」から来た口語動詞。「口を使う・口を大きく開けて声を出す」→「大声で叫ぶ・わめく」という意味になった
galérer苦労する・大変だスラングgalère(苦難・苦労)」から来た口語動詞。本来の意味は「ガレー船」(昔の奴隷や囚人に漕がせた船)
(être) bondé混んでいるスラング満員・混雑を表す口語表現
(être) le bordelめちゃくちゃ・カオススラング本来は「売春宿」の意味から転じて「大混乱」を表す。状況が混乱しているときに使う
putain (p’tain)くそ・マジで(感情を強める間投詞)スラング語源はフランス語の「pute(娼婦)」から。英語の「F*ck」に似た使われ方をする便利な言葉だが、品のある言葉ではないので親しい間柄限定
merdeくそ・しまった(感情を強める間投詞)スラング英語の「Sh*t」に似た使われ方をする便利な言葉。「putain」よりも柔らかいが、品のある言葉ではない
se magner急ぐスラングse dépêcher」の口語バリエーションその①。「se manier(動く・扱う)」の変形から
se grouiller急ぐスラングse dépêcher」の口語バリエーションその②。「grouiller (うごめく・群がる)」の変形から
se bouger急ぐスラングse dépêcher」の口語バリエーションその③。「bouger(動く)」の語源はラテン語「bullire(沸騰する)」の派生なので、「沸き立つように動く」という意味
mec男・やつ・彼氏(親しい呼び方)スラング英語の「guy」「dude」に相当。日常会話で非常に一般的な呼称、「お前」的な意味で女性に使うこともある
meuf女・彼女(親しい呼び方)スラングfemme(女性)」の逆さ言葉。「mec」の女性版
relouうざい・面倒な・退屈なVerlanlourd(重い)」の逆さ言葉。イライラする人や状況を指す。非常に高頻度
chelou変な・怪しい・不審なVerlanlouche(怪しい)」の逆さ言葉。人や状況が奇妙・不審なときに使う
oufすごい・ヤバい・狂っているVerlanfou(狂った)」の逆さ言葉。驚きや賞賛を表す。「C’est un truc de ouf !」が定番

1-2. よく出る省略形

「ネイティブの会話が聞き取れない」最大の原因のひとつが、以下のような音の省略・短縮だ。どれも書き言葉では出てこないが、会話では当たり前のように使われる。

口語形元の形(書き言葉)省略のポイント
chuisje suisje+suis」が合わさって短縮
‘ttendsattends語頭の「a」が脱落
j’ai pasje n’ai pasne」が脱落(口語の標準形)
main’nantmaintenant中間音節が脱落
À toute !À tout de suite !de suite」が省略

前の記事でも省略パターンについては解説していたため、今回は省く。

気になる人はこちらからどうぞ:

【フランス語】ネイティブの会話が聞き取れない理由|口語の音の省略3パターンを音声で学ぼうフランス語ネイティブの会話が聞き取れない理由を音声付きで解説。エリジオン・口語短縮形・複合省略の3つの音変化を難易度別音声3つと全トランスクリプトで練習。練習問題付き。...
ぺぎこ
ぺぎこ
j’ai pas」って、否定の「ne」がないのに正しいの?
ぺぎぃ
ぺぎぃ
文法的には間違いだけど、口語では「ne」が消えるのが「標準」なんだ。日常会話で「je n’ai pas」と言うと、かえって堅苦しく聞こえることもあるよ。

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2. 会話①:ホテルで(出発を急かすシーン)

フランス語でホテルから出発を急かす日常会話シーンのイラスト

ホテルの部屋で、ビーチへ出発したいのに友人がなかなか準備を終えずにダラダラしているシーン。急かす表現とスラングが一気に登場する。

2-1. 🎧 音声①

2-2. 会話スクリプト

Julie: Mais vas-y là, on part à la plage ou quoi ? T’attends quoi ?
(ちょっと早くしてよ、ビーチ行くの行かないの?何待ってんの?)
Pascal: Deux secondes, deux secondes. J’envoie un texto et j’arrive.(ちょっと待って。チャットを1本送ったら行くから)
Julie: Ok, ben je t’attends en bas alors.(わかった、じゃあ下で待ってるね)
Pascal: Ok, à tout de suite !(オッケー、すぐ行くね!)
Julie: À toute !(あとで!)
Pascal: Ah ‘ttends, ‘ttends. T’as le code du Wi-Fi ?(あ、待って待って。Wi-Fiのパスワード知ってる?)
Julie: Oh p’tain, t’es relou ! T’as pas encore pris le code ? C’est bon, on s’en fout, on part ! Tu l’enverras après, ton texto !(うわマジでダルいって!まだパスワード入力してなかったの?もういいよ、早く行こうよ!チャットは後で送ればいいじゃん!)
Pascal: Ok, go !(わかった、行こう!)
Julie: Allez, magne-toi !(ほら、早くしな!)

2-3. この会話のポイント

⑥ 文末の「」(催促・強調の粒子)

Mais vas-y 」「on part 」の「」は、場所を表す「そこ」ではなく、感情を強める粒子として機能している。

文末や命令の後に添えることで、「ほら」「さあ」「もう」といった催促・苛立ちのニュアンスが加わる。「Vas-y(行って)」と「Vas-y(ほら、もう行ってよ)」では、後者のほうが明らかに圧が強い。

⑦ 文末の「ou quoi」(催促・詰問の表現)

直訳すると「それとも何?」だが、実際には「どうなの?早く決めてよ」という苛立ちのニュアンスが強い表現である。

相手がぐずぐずしているときに、軽く急かしたり不満を込めて使う。「On y va ou quoi ?(行くの行かないの?)」「Tu viens ou quoi ?(来るの来ないの?)」のように使う。親しい間柄限定のカジュアルな表現で、丁寧な場面ではあまり使わない。

T’attends quoi ?」(省略形)

本来は「Qu’est-ce que tu attends ?」だが、日常会話では語順を変えて大幅に短くすることが多く、このくらいシンプルになる。

‘ttends」(発音の省略)

Attends」の語頭の「A」が脱落した形。急いでいるときや思わず繰り返すときの典型的な発音である。

ちなみに、今回は例としてわかりやすく「‘ttends」という書き方をしているが、この形は文法的に存在しない。あくまで発音を見せるためにぺぎぃが書いたととらえてほしい。

À toute !」(省略形)

À tout de suite !」(すぐあとで!)が縮まった形。親しい間柄ではこちらが普通で、フルに言うほうがむしろ堅苦しく聞こえる。

p’tain(スラング)

スラング言葉の「putain」を省略して「u」が落ちた発音。感情を強める間投詞として非常によく使われる。親しい間柄限定の表現なので使う場面には気をつけよう。

ちなみに、個人的には「putain」とフルで発音するよりは「p’tain」のほうが割とソフトに聞こえる。

relou」(逆さ言葉)

relou」は「lourd(重い)」の逆さ言葉(Verlan)で、「うざい・面倒な・退屈な」を意味する。

イライラする人や状況に対して非常によく使われる表現である。

on s’en fout !」(スラング)

on s’en fout」は「どうでもいい」「気にしない」という意味の非常に口語的な表現。

今回の例文では「もういいよ(うんざりだよ)」的な意味で使われている。

もう少しソフトな表現で「on s’en fiche」というのもある。

あまりきれいではない表現なので、フォーマルな場面で使ってはいけない。丁寧に言うなら「ce n’est pas important(重要ではない)」や「ça ne fait rien(どうということはない)」を使おう。

go !」(スラング・英語由来の口語)

英語の「go」をそのまま取り入れた口語表現。「よし、行こう!」「スタート!」の意味で使われ、「On y va !」「Allez !」と同じく行動の合図として機能する。

特に若い世代の会話でよく聞かれ、「Go ?」「Ok, go !」「Allez, go !」のように他の言葉と組み合わせるのが一般的である。

たまに「On y go?」のようにフランス語と混ぜ合わせて使うこともある。もはや原形が良くわからない。(笑)

magne-toi」(スラング)

magne-toi」は「急げ!」の口語表現で、「grouille-toi」や「bouge-toi」と同じ意味を持つ。

ぺぎこ
ぺぎこ
本当に色々な表現があるのね!どれもどこかで聞いた気がする!
ぺぎぃ
ぺぎぃ
フランスでは日常的によく使われている表現が多いからね!

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3. 会話②:テラスで(変な人を観察するシーン)

フランス語でカフェのテラスで変な人について話す日常会話シーンのイラスト

カフェのテラスで、近くにいる変な男性を見かけて席を変えるかどうか相談するシーン。Verlanとスラングのオンパレードがこのリアルな会話に凝縮されている。

3-1. 🎧 音声②

3-2. 会話スクリプト

Agathe: , t’as vu le mec là-bas ? Il est trop chelou.(ねぇ、あそこにいる男見た?めっちゃ怪しいんだけど)
Louise: Grave ! C’est un truc de ouf ! Il gueule tout seul depuis 10 minutes.(それな!マジでヤバいね!10分前からずっと一人で叫んでいるよ)
Agathe: Franchement, ça fait trop peur. Vas-y, on change de table!(正直めっちゃ怖いんだけど。ねぇ、席変えようよ)
Louise: Ouais, c’est clair. On va à l’intérieur ?(マジで同感。中入る?)
Agathe: Ah non merde, c’est trop bondé.(あーでも最悪、めっちゃ混んでる)
Louise: Bon ben on change de terrasse ?(じゃあ別のテラス行く?)
Agathe: Mouais… Non, mais j’ai un peu la flemme quand même. On est déjà installées.(んー…いや、でもちょっとめんどくさいかも。もう座っちゃったし)
Louise: Ouais ok. On fait comme ça alors! Il va sûrement se calmer à un moment.(そうだね、じゃあこのままでいっか。そのうち落ち着くでしょ)

3-3. この会話のポイント

chelou(逆さ言葉)

louche(怪しい)」の音節を逆にしたVerlan。「chelou」と書いて「シュルー」と発音する。

人や状況が奇妙・不審に見えるときに使い、若い世代を中心に非常によく使われる表現だ。

ouf」(逆さ言葉)

fou(頭がおかしい)」を逆にしたVerlan

驚きや賞賛を表すときに使い、「C’est un truc de ouf !(ヤバすぎる!)」は会話でよく耳にする定番フレーズだ。

形容詞として「Il est ouf, ce mec !(あいつヤバいね!)」のようにも使える。これは良い意味でも悪い意味でも「頭がおかしい・やばい」ということを示す。

1. Mec, t’es un ouf ! Comment t’as fait pour soulever ça tout seul ?(おい、お前ヤバすぎ!どうやって一人でそんなの持ち上げたんだ?)

2. T’es un ouf, t’as réussi à finir le jeu en une nuit !(お前、マジでヤバいな!一晩でゲームクリアしちゃったのかよ!)

Grave !」(スラング)

相手の言葉に強く同意するときの相槌(「それな!」「まじで!」)として使う一方、強調の副詞(英語の「really」「totally」に相当)としても頻繁に使われる。

副詞用法では「Cet gâteau est grave bon !(このケーキまじうまい!)」や「Il est grave chelou.(めっちゃ怪しい)」のような形になる。

Vas-y(促し・提案の言葉)

直訳すると「行きなさい」「やってみて」だが、ここでは行動を促す合図として使われている。

Vas-y, on change de table(さぁ、席変えようよ)」のように文頭に置いて「さぁ」「ほら」「じゃあ」のニュアンスを加えるのが典型的な使い方である。

命令というより、親しい間柄でのカジュアルな「提案+催促」のニュアンスで、「Vas-y, on y va !(さぁ、行こう!)」「Vas-y, dis-moi.(さぁ、言ってみて)」のように使う。

Verlanと掛け合わせて「Mais z’y-va, toi!」のような活用可能だが、これはかなり大げさな表現となるため、あめり一般的ではない。中学校の不良とかが用いるような言葉である。

C’est clair」(強い同意の相槌)

直訳は「それは明らかだ」だが、口語では強い同意を示す相槌として使われる。

間違いない」「その通り!」「確かに」のニュアンスで、単なる「ouais(うん)」より一段しっかりした肯定になる。

Grave !」も強い同意の相槌だが、「Grave」は感情的な共感、「c’est clair」は落ち着いた論理的な同意というニュアンスの違いがある。

bondé」(スラング)

超混んでいる・満員」を意味するスラング

お店・電車・バスなど、あらゆる場所の混雑を表すときに幅広く使える。

j’ai la flemme」(口語)

やる気がない・めんどくさい」というフランス人の日常で最もよく聞く表現のひとつ。

un peu la flemme(ちょっとめんどくさい)」や「trop la flemme(ちょっとめんどくさい)」のように副詞で強弱をつけられる。

ちなみに、Mouais… は「まあ…うーん…」という曖昧な返事。「oui」よりもはっきり同意していないニュアンスが出る。乗り気でないときや迷っているときに自然と使われる口語表現だ。

On fait comme ça(「じゃあそれで」の決め台詞)

じゃあ、そのようにしよう」「このままでいこう」という意味で、提案や状況を受け入れて「それで決まり」と結論づけるときに使う。

comme ça」は「そのように・このまま」の意味。「Bon, on fait comme ça alors !(じゃあ、それで決まり!)」のように「bon」や「alors」と組み合わせて使うことも多い。

会話の着地点としてよく登場する、覚えておくと便利な一言だ。

ぺぎこ
ぺぎこ
この小さな会話の中に、本当に色々な言葉が凝縮されているのね!
ぺぎぃ
ぺぎぃ
まさにスラングとVerlanのオンパレードだね!

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4. 会話③:公園で(待ち合わせに遅れたシーン)

フランス語で公園の待ち合わせに遅れた日常会話シーンのイラスト

公園で待ち合わせをしていた友達と久々に再会するシーン。音が極限まで縮まった省略形が次々と登場する、最も難易度の高い会話だ。

4-1. 🎧 音声③

4-2. 会話スクリプト

Éric: P’tain, mec ! J’ai trop galéré à te trouver. T’étais où ?(うわーお前!探すのめっちゃ苦労したぞ。どこにいたの?)
Christophe: Bah, je t’attendais là ! J’ai pas bougé !(いやいや、ここで待ってたって!一歩も動いてないよ!)
Éric: Mais ça fait combien de minutes que t’attends ?(え、何分くらい待ってた?)
Christophe: Attends, laisse-moi voir… Ça doit faire 10 minutes, allez!(えーっと、どれどれ。10分ってとこかな)
Éric: Ah ok, pardon mec. J’aurais dû venir un peu plus tôt!(あ、マジでごめん!もうちょっと早く来ればよかった)
Christophe: Non t’inquiète, t’inquiète ! Alors ? Ça va, la vie ?(いや、気にすんなって!で、最近どうよ?)
Éric: C’est plutôt cool! J’ai changé de taf récemment.(かなりいい感じ。最近仕事変えたんだよね)
Christophe: Ah bon ? T’es plus à Massy ?(え、そうなの?Massyにはもういないの?)
Éric: Ah, si si. Chuis t’jours à côté, mais j’ai changé de boîte. Chuis dans l’aviation main’nant.(あ、いるいる!まだすぐ近くにいるんだけど、会社を変えたのさ。今は航空業界にいるよ)
Christophe: Ah mais c’est trop cool ça ! Faut que je passe te voir !(へぇー、めっちゃいいじゃん!近いうちに遊びに行かなきゃ!)
Éric: Ah ben carrément ouais !(おう、絶対来てよ!)

4-3. この会話のポイント

(trop) galéré」(スラング)

galérеr」は「苦労する・苦戦する」という意味の口語動詞。「trop」を加えると「めっちゃ」の強調になる。

書き言葉では「J’ai eu du mal à te trouver」が相当する。

J’ai pas bougé !」(省略形)

本来は「Je n’ai pas bougé」となるところが、口語では否定の「ne」が完全に脱落するのが標準。

ne」をつけるとかえって堅苦しく聞こえるほどである。

文末の「allez」(概算・妥協の表現)

Allez !(さあ!急いで!)」の命令形とは別の用法で、ここでは文末に置いて「だいたい」「〜ってとこだね」という概算のニュアンスを加えている。

正確な数字に自信がないときや柔らかく言いたいときに使う表現だ。

Ça doit faire 10 minutes, allez.(まあ10分ってとこかな)

À vue de nez, il doit avoir 30 ans, allez.(だいたい30歳くらいだろうよ)

t’inquiète」(省略形)

Ne t’inquite pas.(気にしないで)」が口語で縮まった形。

まず否定の「ne」が脱落して「t’inquite pas」になり、さらに「pas」まで省略されると「t’inquite」になる。ne」と「pas」の2段階省略が起きている典型例である。

Non t’inquite, t’inquite !」のように繰り返すことで、さらに親密で温かみのあるニュアンスになる。

Chuis t’jours」「main’nant」(発音の省略)

前回の記事でも紹介した、特殊な発音の省略である。

ここで書いている「Chuis」や「t’jours」「main’nant」は綴りとしては存在しないのだが、あえてネイティブの発音に合わせて書いてみている。

省略が連続して起きているため、不慣れの人には聞き取るのが最も難しいパターンである。

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taf」と「boîte」(スラング)

どちらも日常会話でとてもよく使われる言い換えである。

taf」は「仕事・職場」、「boîte」は本来「箱」だが口語で「会社」の意味で使う。

Faut que je passe te voir !」(省略形)

Il faut que je passe te voir」が、文頭の「Il」が脱落し、口語で縮まった形。

なお、会話例をよく聞くと「te voir」の部分も「t’voir」のように省略されている。

carrément」(「完全に・絶対に」の強調表現)

完全に」「絶対に」「もちろん!」という意味の強調表現。

単なる「ouais(うん)」よりずっと強く、「carrément ouais !(マジでそうするよ!)」とするとさらに気持ちが強まる。

副詞として「C’est carrément mieux.(完全に良くなった)」、単独の返事として「Tu viens ? — Carrément !(来る? — もちろん!)」のようにも使える。

ぺぎこ
ぺぎこ
ここまでわからない言葉が多くなってくると、少しイラついてくるわね。
ぺぎぃ
ぺぎぃ
省略された単語は、本来は知っている単語ばかりのはずだから、慣れの問題で、すぐに聞こえるようになるよ!

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5. ネイティブの会話を聞き取るためのコツ

フランス語ネイティブの会話を聞き取るコツを学ぶペンギンのイラスト

ここまで3つの会話を見てきたが、「聞き取れない原因」と「聞き取るための意識の変え方」を少し整理しておこう。

ネイティブの会話が聞き取れないのは、
語彙力の問題ではなく省略スラングの知識の問題。

コツ① 否定の「ne」はほぼ消えると思っておく

j’ai pas」「t’as pas…口語では「ne」がほぼ聞こえない。

j’ai pas」が聞こえたら「je n’ai pas(〜がない)」だ、と反射的に変換できるようになると、一気に楽になる。

コツ② 「je suis」は「chuis」になると覚える

chuis」は「je suis」が縮まった形。

Chuis (ここにいるよ)」「Chuis fatigué(e)(疲れた)」など、会話中に何度も出てくる。

Chais pas = Je ne sais pas(知らない)」も一緒に覚えておこう!

コツ③ スラングは感情が動く瞬間に出やすい

驚き・不満・同意・あきれ…感情が高まったとき、人はスラングを使う。

ouf」「relou」「chelou」「grave」「la flemme」は感情表現のセットとして覚えておくと便利だ。

Verlanは使う人と、使わない人がいる。ぺぎぃ自身はほとんど使ったことがない。「使い方を知らない」というよりは「使う必要性を感じない」が近い。好みの問題である。

コツ④ 急かす表現はバリエーションが豊富

早く!」を表す表現だけで「magne-toi」「grouille-toi」「bouge-toi」「vas-y」など複数ある。

どれが出てきても「急げ!」だと瞬時に理解できるようにしたい。

ぺぎこ
ぺぎこ
省略のルール、わかってみると意外とシンプルかも!「ne」が消えるって頭に入れておくだけで全然違いそう!
ぺぎぃ
ぺぎぃ
そうだね!全部を一気に覚えようとしなくていい。例えば、まず「j’ai pas」「chuis」とVerlan3つ(relou・chelou・ouf)あたりを押さえると、なんとなく聞こえるようになるよ。

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6. 練習問題

それでは、今回学んだ表現を練習問題で確認してみよう。問題を解いてから解答を見るようにしてほしい。

問題①:書き言葉→口語に変換してみよう

次の文を、自然な口語表現に書き換えてみよう。

1. Je ne sais pas. Il est très louche.

2. Dépêche-toi ! Il faut partir maintenant.

3. Je suis toujours fatigué(e). Je n’ai pas envie de sortir.

問題②:次の口語表現を書き言葉のフランス語に直してみよう

1. J’ai trop galéré !

2. Grave, t’as vu ça ?

3. Faut que j’aille t’voir.

問題③:空欄に当てはまるスラングを選んでみよう

oufcheloula flemme

1. Il fait complètement nuit dehors. C’est un truc de (    ) !
(外は完全に夜なんだけど。マジでヤバすぎ!)

2. Sérieusement, ce mec est trop (    ). Il nous regarde depuis tout à l’heure.
(マジで、あの男めっちゃ怪しい。さっきからずっとこっちを見てる)

3. J’ai (    ) de faire la vaisselle ce soir.
(今夜食器を洗うのがめんどくさい)

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解答と解説

ぺぎぃ
ぺぎぃ
解答を確認してみよう!解説を読んで、なぜその形になるかまで理解しておくことが大切だよ。

問題①の解答

1. 正解:Chais pas. Il est trop chelou.
⇒ 「Je ne sais pas」→「Chais pas」(ne脱落+短縮)。「louche」→ Verlanで「chelou」。

2. 正解:Magne-toi ! Faut partir main’nant.
⇒ 「Dépêche-toi」→「Magne-toi(または grouille-toi)」。「Il faut」→「Faut」(Il脱落)。「maintenant」→「main’nant」(中間音節省略)。

3. 正解:Chuis t’jours fatigué(e). J’ai la flemme de sortir.
⇒ 「Je suis」→「Chuis」、「toujours」→「t’jours」。「Je n’ai pas envie」→「J’ai la flemme」。

問題②の解答

1. 正解:J’ai eu beaucoup de mal !
⇒ 「galérer」は「苦労する」の口語動詞。書き言葉では「avoir du mal(苦労する・苦戦する)」を使う。

2. 正解:Vraiment, tu as vu ça ?
⇒ 「Grave」は副詞「vraiment(本当に)」に相当。同意の相槌としても、強調副詞としても使える。

3. 正解:Il faut que j’aille te voir.
⇒ 「Faut」→「Il faut(Il復元)」。「t’voir」→「te voir(te復元)」。

問題③の解答

1. 正解:ouf
⇒ 「C’est un truc de ouf(ヤバすぎる!)」は定番フレーズ。「ouf」は「fou(狂っている・ヤバい)」のVerlan

2. 正解:chelou
⇒ 「chelou」は「louche(怪しい・不審な)」のVerlan。人や状況が変・不審に見えるときに使う。

3. 正解:la flemme
⇒ 「j’ai la flemme de+不定詞」で「〜するのがめんどくさい」。フランス人が日に何度も使う表現である。

まとめ

今回は、フランスの日常会話に登場する省略スラングを3つのシチュエーション(ホテル・テラス・公園)で徹底解説してみた。

  • 否定の「ne」は口語でほぼ脱落する(例:「j’ai pas」)
  • je suis」は「chuis」に短縮される
  • Verlanの頻出3語:relou(lourd)、chelou(louche)、ouf(fou)
  • j’ai la flemme」「c’est clair」「graveは感情の相槌としてよく使う
  • 急かす表現は「magne-toi」「grouille-toi」「bouge-toi」の3種を覚えよう

これらを意識するだけで、「ネイティブの会話が聞き取れない」という壁がかなり低くなるはずだ。まずは「j’ai pas」「chuis」とVerlan 3語あたりから覚え始めてみよう。

ぺぎこ&ぺぎぃ
ぺぎこ&ぺぎぃ
口語表現は、教科書を閉じてネイティブの動画や音声をたくさん聞くことで自然に身についていくよ。今回の3つの会話を繰り返し聞いて、耳を慣らしていこう!À bientôt!

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