今日のニュースで、日産自動車の元会長を務めていたカルロス・ゴーン(Carlos Ghosn)が日本から出国し、レバノンへ逃亡したという報道があった。
一応、フランスと日本をまたがる事件でもあるということで、今回の件についてフランス人の意見を紹介してみるのも面白いかなと、ぺぎぃも記事を書いてみることにしよう。
目次
カルロス・ゴーンとは誰か?
Carlos Ghosn(カルロス・ゴーン)とは、1954年にレバノン人の両親のもとでブラジルで生まれ、レバノンとフランスで教育を受けたレバノン・フランス・ブラジルの3カ国籍を持つ人物である。
1974年にフランスのエンジニア専門学校のトップに君臨するEcole Polytechnique(エコール・ポリテクニーク)を卒業したのち、1978年に同じくエンジニア専門学校2位のEcole Mines de Paris(パリ国立高等鉱業学校)で工学博士を取得し卒業。その後、フランスのタイヤメーカーMichelin (ミシュラン)に18年勤め、1996年に自動車メーカーRenault (ルノー)の元会長からスカウトされルノーに入社する。
そこから、1999年に有利子負債を多く抱える日産自動車を立て直すべく最高執行責任者(COO)として日産に派遣され、見事に復活をさせることに成功。2016年からは、三菱自動車も加えた「ルノー・日産・三菱アライアンス」の社長兼最高経営責任者となった。
まぁ、だいぶ割愛させていただいたので、より詳しく知りたい人は、Wikipediaなどからカルロス・ゴーンの紹介記事を読むことをお勧めする:カルロス・ゴーン(Wikipedia)。
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今回は一体何があったのか?
カルロス・ゴーンは2018年11月に金融商品取引法違反の罪に問われ、東京地検特捜部に逮捕された。
その後、いくつかの逮捕・起訴を繰り返したのちに、2019年3月に保釈保証金10億円を納付し一旦仮保釈。そのおよそ1ヶ月後の2019年4月に特別背任の容疑で再び逮捕され、4月25日に保釈保証金を追加で5億円納付することで再び保釈されていた。
東京地方裁判所が保釈の際に示した条件としては、日本から海外へ渡航することはもちろん、東京都内のマンション以外に住居を移すことや、日産自動車やオマーンの販売代理店の事件関係者と接触すること、奥さんのキャロルと会うことも禁止とされていた。また、携帯電話やパソコンの使用にも制限がかかっていたようである。
しかし、なんと!
そのカルロス・ゴーンは、2019年31日の日本時間正午過ぎ、アメリカの広報担当者を通じて『私はいまレバノンにいる』という声明を発表し、海外への渡航が禁じられているのに、勝手に日本を出国したことを明らかにしたのである。
レバノンへ逃れた理由としてカルロス・ゴーンは、『基本的な人権が無視されている不正な日本の司法制度の人質でなくなるため』ということで、決して『正義から逃げたわけではない』と主張している。
このニュースは今日、日本はもちろん、フランスや他の全国の国でも大々的に報道されたのである。
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本件に対するフランス人の意見は?
保釈の条件を無視して海外へ渡航した上に、日本の司法制度を攻撃する姿勢を見せたことで、当然日本のメディアや国民からは総叩きにあっているカルロス・ゴーン。はたしてフランス人からはどのような意見が寄せられているのか、ぺぎぃは調べてみた。
1. カルロス・ゴーンを批判するコメント
法律を犯したわけなので、当然批判する人が多くいる。Le Figaro(フィガロ新聞)では以下のようなコメントがあった:
(参考記事:https://www.lefigaro.fr/societes/carlos-ghosn-le-recit-de-l-incroyable-evasion-20191231; https://www.lefigaro.fr/economie/carlos-ghosn-aurait-quitte-le-japon-pour-beyrouth-20191230)
また、同じくLes Echos(レ・ゼコー新聞)でも以下のような批判コメントが見かけられた:
(参考記事:https://www.lesechos.fr/industrie-services/automobile/carlos-ghosn-a-quitte-le-japon-pour-beyrouth-1159576)
2. カルロス・ゴーンを肯定するコメント
しかし、今回の事件及び逃亡に対して、ネット上の記事のコメントを読んでいると、カルロス・ゴーンを称賛したり肯定しているコメントも多く見受けられる。以下にその例を示そう。
先ほどのLe Figaro(フィガロ新聞)の記事から:
また、同じくLes Echos(レ・ゼコー新聞)でも以下のようなコメントが見かけられた:
3. 結論:フランス人の意見は賛否両論
結論として、フランス人の中にもカルロス・ゴーンがやったことが法律違反であるし、いけないことであると主張する人もいるが、中には日本の司法制度が「やりすぎた」と主張しカルロス・ゴーンの味方に付いている人も多くみられた。
Le Figaro や Les Echos などの新聞を例にとって見てみたが、コメントを残している人の大体6~7割がカルロス・ゴーン側と言える。
しかし、インターネットの新聞を読んで、且つそれにコメントする人々のみがフランス国民全員の代表とは言えないため、ぺぎぃの検証はここで終わる。
フランス国民の中には、インターネットで新聞を読まない人や、読んでもわざわざコメントなど残すほど暇ではない人も多く、その人たちのすべてがカルロス・ゴーンを支持しているとは思えない。
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ぺぎぃはどう思うか?
さて、では今回の件についてどう思うか、最後にぺぎぃの個人的な意見を述べてみようと思う。
まずは、日本の司法制度やら、法律やらについてであるが、これは別にカルロス・ゴーンが外国人だからこのような仕打ちを受けているわけではなく、有名な人では堀江貴文など、日本人でもこの司法制度のお世話になっている。
そのため、世界の基準と比較して日本の制度が被告人に対して厳しいのは理解するが、必ずしもそれが「悪である」ということはできないと思う。むしろ日本のことわざ通り「郷に入っては郷に従え」ということで、逮捕のやり方はどうであれ、日本で捕まってしまった以上、その制度が人権を無視していると外野が叩くのは間違いであると思う。
しかし、
カルロス・ゴーンが無罪であれ、有罪であれ、一つだけ間違いがないのは、この人物は本当に発想と行動力の天才であるということである。
だって、考えてみていただきたい。言葉もわからない国で24時間監視され、家族にも会えず、通信手段も移動手段もすべて制限がかかっていて、パスポートも取られた状態でなお、彼は「国外へ逃亡する」という手段を考え出しただけでなく、実行にうつすことに成功したのである。もうバケモノとしか言いようがない。
このように国相手にでも怯まずに戦い続けることのできる一人の人間を、しかも倒産の危機にさらされた会社を世界のトップランキングに立て直すことに成功させた人間を、みすみす切り捨てて敵に回してしまった「ルノー・日産・三菱アライアンス」は大分悪手を打ったのではないかと思う。
数10億円の横領がどうこうというのがもし本当だとしたら、決して許されるべき話ではないのだが、今後のアライアンスの未来や日仏関係を考えていくと、他に方法はなかったのかなとぺぎぃは少し残念に思ったりもする。。。
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