「フランス人から見た」というよりは、「世界中から見た」日本のすごいところの一つに、国民の平均寿命がある。
実際に厚生労働省による発表を見てみると、2016年時点での日本人の平均寿命は、男性が80.98歳、女性が87.14歳と、年々過去最高記録を更新している。(https://mainichi.jp/articles/20170728/ddm/002/040/061000c)
また、世界の平均寿命のランキングを見ても、200国近く参加している中、男女ともに日本人は常に上位5国の中に入っており、女性に関しては常に世界1、2位を抑えている状態にあるようだ。
それでは一体、何故日本人はそんなに長寿を保つことができるのか、今回の記事ではフランスと比較をしながら分析していきたいと思う。
健康的な食生活
日本人の長寿の秘訣の第一に、「健康的な食生活」があると思われる。
和食
まず、日本の伝統的な食文化、「和食」ついて。欧米の食生活と比較して、お米を中心とした穀物や、魚や海藻といった海の幸を取り入れる量が圧倒的に多いのが特徴となっている。また、大豆を原料とした味噌汁や、納豆や豆腐も含めると、脳の活性化や動脈硬化予防の効果を持った食事バランスとなっている。これが、でかい!
また、最近の若い日本人の間では、お米と味噌汁以外にも、肉や野菜など、欧米系の食生活を好む傾向が出てきており、総合的に栄養バランスが抜群であると思われる。
フランスでは、毎日毎日、野菜と肉だけを中心とした食生活となっており、若いころは筋肉質な体つきになってよいのだが、歳を重ねていくと、コレステロールの数値が高くなりすぎてしまったり、血液内の鉄分が多くなりすぎてしまったりと、様々な問題点が出てきてしまう。
最近では、牛肉や羊肉など、赤肉は癌細胞を増やす傾向にあるとWHOからも発表されており、肉と野菜だけでなく、魚や穀物、大豆を食生活に取り入れている日本人の方が長生きする可能性が高いと言える。
お茶
次に、日本人の長寿の手助けとなっているものとして、「お茶」が挙げられる。たわしも日本に行ったときに驚いたことの一つに、学生食堂でも、社員食堂でも、必ずと言っていいほど「水」、「お湯」のほかに「お茶」という選択肢があるというのがあった。日本以外の島国や、海に面している国でも、魚を中心とした食生活を送っている国は多いが、日本人ほどお茶を飲む国民は、ティータイムに紅茶を飲むイギリス人くらいなのではないか?
特に、日本人が好き好んで飲む緑茶やウーロン茶、ほうじ茶などに含まれているカテキンやビタミンCなどには、動脈硬化を予防する働きや、癌を防ぐ効果があるとされており、日本人の長寿命化に大きく貢献していると思われる。
フランスでは、コーヒーを頻繁に飲む人が多いため、ビタミンCの摂取面では問題がなさそうだが、カテキンを吸収することができていない。
朝食から一汁三菜
最後にもう一つ、日本人の食生活で気になるのが、朝食の段階から一汁三菜を心掛けている人が多いということだ。最近の若い人の中には、朝食にパンやコーンフレークなどを食べる人が徐々に増え始めてきているが、平均的に見た場合、まだまだ一汁三菜が一般的なのではないか。
朝食とは、一日の始まりの食事として、最も体が栄養を取り入れやすいタイミングなのではないか?その段階から魚や海藻、大豆や野菜を中心に、栄養バランスの良い食事をしているおかげで、日本人は長寿に役立つ一日の栄養分を最も効率よく摂取できているような気がする。
たわしも朝ごはんから納豆を2パック食べるのが大好きであったが、残念ながらフランスには納豆がないため、Baguette(バゲット)にピーナッツバターで我慢しているのである。
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高齢者に優しい社会
そして、日本人が長生きする第二の秘訣に、「高齢者にやさしい社会」というものが挙げられる。
充実した医療制度
この面では、フランスも負けてはいないと思うが、貧富の差がより激しい周りの諸国に比べて、日本では、医療保険や社会保険といった医療制度が非常に充実している。こうした医療制度の充実性が、日本の高齢社会を最も支えている要素の一つであると思われる。
特に、どの町の病院にも人間ドックや、胃カメラ検査、がん検診など、精密な検査をするための医療機器が整っており、気になった箇所があればすぐに検診ができる体制が整っているのが非常に有効である。フランスの場合には、何があってもまずMédecin traitant (担当医)に相談しなければならず、手続きが2段階であるため若干の面倒くささが否めない。
また、日本では、ある程度の年齢になると、年に数回の「定期健康診断」を会社や市から強くすすめられる傾向にある。そのおかげで、癌やその他の病気の早期発見が可能となり、早めに治療を施すことで、象徴が出てきていた病気を未然になくしてしまったり、命の危険性を伴うほどの重症になる前に完治させることができる確率が高まっていると思われる。
発展した技術社会
もう一つ大事な要素が、日本の社会は技術が非常に発展していることである。
例えば、大きな駅やデパートで必ずと言っていいほど見かけるエスカレーター。高齢者の方でも、手すりにさえ捕まっていれば、ほとんど不自由がなく階の上がり下りができる。
フランスの場合は、たとえ大きな駅であっても、地下から地上に上がる必要があるパリのMetro(メトロ)とかでは、エスカレーターが設置されていなかったり、されていても壊れて止まっていることがよくある。そのせいか、あまり高齢者の方をメトロ内で見かけることはない。
他にも、街中のところどころに清掃が行き届いた公衆トイレが設置されてあったり、渡るときに音がなる歩行者向けの信号機や、数分おきに来るバスやタクシー、申し込んでおけば自動的に食事が家に配達されるシステムなど。これらの技術が、高齢者でも大都市で生きていけるように支えているものだとぺぎぃは思う。
高齢者を敬う精神
また、最後に、「高齢者を敬う日本人の精神」も侮れない要素であると思われる。
例えば、バスや電車内では必ず「高齢者向けの席」が設けられており、頻繁に席を譲るために若者が立ち上がっている。フランスの場合には、女性に席を譲る男性は多いが、高齢者に席を譲っている人はあまり見たことがない。
まぁ、そうは言っても、フランス人も意外と思いやりのある国民であるため、よほどのことがない限り、高齢者に席を譲ってあげるとは思う。しかし、先ほど書いたように、そもそも交通機関で高齢者の方をあまり見かけることがないため、「高齢者向けの席」がバスなどに設けられていないことが多い。フランスの高齢者は、田舎の ほののんとした家で、のったりと暮らしていることが多いのである。
他にも、横断歩道を渡っている高齢者の方の手を引いてあげる学生が現れたり、長々と話す近所のおばあちゃんの話を満面の笑顔で聞いてあげる隣人が出てきたり、スーパーの袋を詰める手伝いをしてくれる係りの人がいたりと、日本の社会は高齢者の方にとってものすごく過ごしやすい環境が整っている。
これからどんどん高齢化が進んでいき、若者が減っていく中でも、日本人の「高齢者を敬う精神」が廃れることがないことをぺぎぃは祈っている。
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