フランス語に限らず、英語や中国語など、日本人が新しい言語を習得する上で最も難しいとされているのが「発音」の部分である。
世の中には、勉強している言語や生徒の性格やメソッドなどによって、発音を習得するためには様々な練習方法が存在するが、一体どの方法が一番効果的なのかわからないという人が多い。
そこで、この記事では、日仏ハーフでバイリンガルであるぺぎぃが、成人した大人にとって最も効果的な発音の勉強法について意見を述べていこうと思う。
幼少期と成人期では言語の学び方が異なる
まず、子供が言語を学ぶのと、大人が言語を学ぶのとでは、根本的にやり方を変える必要があることを理解してほしい。
フランス語や英語に限らず、世間では「聞くだけで覚えられる」や「睡眠学習で勉強する」などいった画期的な方法をお勧めしている人が多くいる。
勿論、ぺぎぃも英語や中国語の「聞き流し」動画を視聴して発音や聞き取り能力、語彙力を鍛えていたこともあるものの、それだけではやはり少し足りない部分がある。
何故かと言うと、何も考えずに耳から音をインプットしているだけで言語の習得ができていた幼少期とは異なり、大人になってしまった皆様の場合には、もう少し「言語の構造を理解する」という必要性が出てくるからである。
この「幼少期の方が言語の習得が簡単」というのは、世間では「臨界期説」と呼ばれているものに紐づくと考えてもよい。
未だに仮説の域を出ていないとされているが、幼い頃からフランス語や日本語を学んできたぺぎぃからすると、かなり信憑性が高いのではないかと思っている。
言語獲得および第二言語習得における臨界期仮説(りんかいきかせつ、英: critical period hypothesis)とは、臨界期とよばれる年齢を過ぎると言語の習得が不可能になるという仮説である。母語の習得および外国語の習得の両方に対して使われる。第一言語と第二言語の両方の習得に関して年齢が重要な要素となっていることは定説となっているが、はたして臨界期なるものが本当に存在するのか、また存在するとしたらそれがいつなのかなどについては長い議論があり、仮説の域を出ていない。
(ウィキペディアより)
つまり、何が言いたいのかと言うと、ぺぎぃや皆様大人が新たな言語を勉強する際には体感的習得力が低くなっているため、ただ耳で音を聞いているだけでは、言語を完璧にマスターするためには「少し足りない」ということである。
しかし、安心してほしい。はいていますよ。
大人になって、様々な社会経験を積んできた皆様には、幼少期にはまだ身についていなかった「論理的思考」という武器が備わっているのである。
この「論理的思考」という武器を使い、単なる聞き流しだけではなく論理的に言語を勉強するという方法を取り入れれば、幼少期とは異なるやり方で言語の習得が未だに可能だとぺぎぃは考えている。
今回のテーマの「発音」の部分に関しても、この「論理的思考」を取り入れることによって、フランス語の発音の習得を効率化させましょう。
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フランス人がフランス語の発音を教えるのが下手な理由
ちなみに、先ほど話した内容にも関連してくるが、発音の仕方をいきなりフランス人に尋ねても、なかなかわかりやすい回答が返ってこないのも、「臨界期説」や「論理的思考」から説明がつくのである。
どういうことかと言うと、ぺぎぃを含め、フランスで生まれ育ったフランス人にとっては、例えば「「R」の発音はどうすればよいのか?」と聞かれても、今まで自分は何も考えずに発音方法を習得してしまったため、論理的な説明ができないのだ。
つまり、フランス語を勉強しようと考えている日本人の皆様に必要なのは、
「正しい発音をしてくれる先生」
だけではなく
「具体的な口の形や舌の動きを日本語で説明してくれる先生」
なのである。
贅沢を言ってしまえば、ネイティブレベルのフランス語の発音方法を、流暢な日本語で説明できるような完全なバイリンガルの先生が最もふさわしいのではないだろうか?
しかし、世の中には、そう何人もフランス語と日本語の両方が母国語レベルの先生が存在するわけではない。
ぺぎぃの場合にも、物心ついたころからフランス語が話せるようになってしまっていたため、どちらかと言うと「フランス語が話せても、発音の仕方が説明できないネイティブスピーカー」よりである。
しかし、自分の口の形や舌の動きを自ら分析してみるという手段が使えるため、これから皆さまと一緒に細かい発音の仕方を論理的に考えてみようと思う。
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PDCAを回そう(効果的に言語を学ぶ方法)
世の中には「PDCA」サイクルと言うものが存在する。
主に、品質管理などの業務管理における継続的な改善手法としてもちいられているものであるが、簡単に言えば:
「Plan(計画) → Do(実行) → Check(評価) → Act(改善)」
の4ステップを永遠に回していこうという話である。
何度も繰り返しになってしまうが、幼少期の子供がフランス語などの言語を学ぶときには、「論理的思考」が備わっていないため、「Plan(計画)」の部分ができていない。
例えば、初めて「パパ」と発言できた赤ちゃんを思い浮かべて欲しい。
この赤ちゃんは決して「パパと発言したら何が起こるのか」を事前に考えているわけではない…とぺぎぃは思う(間違っていたら、赤ちゃんごめんなさい)。
彼(または彼女)は、とりあえず「パパ」と言ってみて、何か反応があるのか確認し、そして次も「パパ」と言ってみるのか、「ママ」と言ってみるのか改善をしているのである。
つまり、赤ちゃんの場合には「PDCA」サイクルではなく「DCA」、つまり「Do(実行) → Check(評価) → Act(改善)」を繰り返していると言える。
そこで、皆様大人がフランス語を勉強するときにも、同じように「Do(実行) → Check(評価) → Act(改善)」をしてほしいのであるが、最も効率を上げるためには、まずは「Plan(計画)」のワンステップを入れて欲しい。
そうすることによって、より効率的な「PDCA」サイクルを回すことができ、言語や発音の習得が早まるとぺぎぃは考えている。
より具体的に言うと、発音を勉強するうえで最も効率的な「PDCA」サイクルとは:
- 「P(計画)」:論理的に口の形や動き、舌の位置などを理解する。
- 「D(実行)」:実際に声に出して発音してみる。
- 「C(評価)」:自分で声に出した音を録音しておいて、フランス人のネイティブスピーカーが発音した音と比較してみる。
- 「A(改善)」:自分の発した音と、ネイティブスピーカーの音とで何が違うのか、どこが異なるのかを考え、口の形や動き、舌の位置などを調整する。
である。
ここで、ぺぎぃが皆様の手助けができる部分は「P(計画)」の「口の形や動き、舌の位置などを理解する」の部分である。
勿論、上にも書いたように、ぺぎぃはフランス語を幼少期から習得してしまっているため、実際に論理的に口の動きなどを考えてきたことはない。
しかし、逆に言えば、何も考えずに自然とフランス語の発音ができてしまうので、そこから口の形や舌の位置などを逆算して皆様に伝えていくことは可能である。
当然、それだけではフランス語の発音ができるようにならないが、少なくとも「P(計画)」の部分さえしっかりとやってしまえば、後は「D(実行)」と「C(評価)」、「A(改善)」の繰り返しで、フランス人のネイティブスピーカーの音に近づいていけるはずである。
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