フランス語で理由や原因を伝えるとき、「parce que」(〜だから)「comme(〜なので)といった接続詞を使うのが定番である。

しかし、少しレベルの高い文章を読んでいると、こんな形を目にすることがある。

  • Sachant qu’il ferait froid à Paris, Peggy a mis son manteau avant de partir.(パリが寒くなるとわかっていたので、ぺぎぃは出発前にコートを着た)
  • Épuisée par la journée, Pegiko s’est endormie aussitôt.(一日の疲れで、ぺぎこはすぐに眠りについた)
  • En voulant attraper le livre en hauteur, Peggy s’est fait mal au dos.(棚の高いところの本を取ろうとして、ぺぎぃは腰を痛めた)

これらはすべて、分詞(Participe)やジェロンディフ(Gérondif)を使った原因・理由の表現だ。

接続詞なしで因果関係をすっきりと表現できるこれらの形式は、書き言葉に欠かせないだけでなく、使いこなせるとフランス語がぐっと洗練される

この記事の内容

  • 現在分詞(Participe Présent):「状態・状況」としての理由
  • 過去分詞(Participe Passé):「受動・完了した事実」としての原因/理由
  • ジェロンディフ(Gérondif):「行動・動作」としての原因

ぺぎぃ
ぺぎぃ
記事の最後には練習問題もあるので、活用してみよう! 

なお、フランス語文法講座の他の記事に興味がある方は、以下のリンクから確認してほしい。

https://onsenpeggy.com/grammaire-francaise-avec-peggy/

1. 現在分詞(Participe Présent):「状態・状況」としての理由

フランス語の現在分詞を使った原因表現を学ぶぺぎぃのイラスト

現在分詞状態・状況を理由として「〜だから」を表現する。静的な状況・置かれた環境・知識の有無から来るとき、現在分詞が選ばれる。

また、筆記向けの表現のため、日常会話では「Comme~」で言い換えることができる。

1-1. 基本の形:動詞の語幹 +「-ant」

現在分詞:動詞の語幹 +「-ant(性や数による変化はしない)

現在分詞は現在形の「nous の活用形の語幹」に -ant をつければ完成し、性・数による変化をしない(不変)のがポイントである。

1. Connaissant bien le quartier, Peggy a pu guider les touristes sans difficulté.(近所をよく知っていたので、ぺぎぃは観光客を難なく案内できた)
⇒ 筆記向けのかしこまった表現のため、口頭会話では「Comme elle connaissait bien le quartier…」と言い換えることができる。

2. Sachant qu’il ferait froid à Paris, Peggy a mis deux pulls dans sa valise.(パリが寒くなるとわかっていたので、ぺぎぃはスーツケースにセーターを2着入れた)
Comme il savait qu’il ferait froid…」と同義。

3. Ayant entendu la sonnette, Pegiko a couru jusqu’à la porte d’entrée.(チャイムが鳴るのを聞いたので、ぺぎこは玄関まで走っていった)
Comme elle avait entendu la sonnette…」と同義。「ayant + 過去分詞」は複合現在分詞:主節よりも前に完了した事実が理由。

sachant que + 節ayant compris que + 節 は、書き言葉・口語の両方で使える便利な表現だ。「知っているから」「わかっているから」という論理的な根拠を示すのに効果的。

ぺぎこ
ぺぎこ
ayant entendu」って何?「ayant」が付いても現在分詞なの?
ぺぎぃ
ぺぎぃ
その通り!少し複雑だけど「avoir の現在分詞(ayant)+ 過去分詞」の組み合わせを複合現在分詞と呼ぶよ。「すでに〜したので」という、主節の動作より前に起きた完了した原因を示すんだ。

1-2. 独立分詞構文:主節と主語が異なっても使える

現在分詞には、主節と異なる主語を持てるという強みがある。

これを独立分詞構文というらしい(ぺぎぃ調べ)。「〜なので(別の主語が)〜した」という因果関係を1文で簡潔に表現できる。

主語①現在分詞 … 主節(主語②

Peggy étant absent, la réunion a été reportée au lendemain.(ぺぎぃが不在だったので、会議は翌日に延期された)
⇒ 会議が延長になった理由・原因の主語は「Peggy」だが、結果の主語は「la réunion」である。

ぺぎこ
ぺぎこ
ジェロンディフは主語が同じじゃないといけないって聞いたことがある。現在分詞は主語が違ってもいいのね!
ぺぎぃ
ぺぎぃ
そう!それが現在分詞の大きな特徴だよ。ジェロンディフについては第3章で改めて説明するよ。

1-3. 書き言葉での定型表現:公式文書での用法

公式な文書では、接続詞を使った主観的な説明を避け、現在分詞による客観的な状況提示が好まれる傾向にある。是非覚えておこう!

Souhaitant obtenir de plus amples informations, je me permets de vous contacter.(より詳しい情報を求め、ご連絡させていただきます)

N’ayant pas encore reçu votre confirmation, je me permets de vous écrire à nouveau.(まだご確認をいただいていないため、改めてご連絡させていただきます)

espérant(〜を願いながら)」「souhaitant(〜を希望しながら)」「n’ayant pas reçu(〜を受け取っていないため)」は、ビジネスメールや公式書類でよく見かける定型表現である。

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2. 過去分詞(Participe Passé):「受動・完了した事実」としての原因/理由

フランス語の過去分詞を使った原因表現のイラスト

過去分詞は受動的または完了した事実を原因/理由として「〜された状態にあるので」「〜し終わった状態だから」を表現するときに用いる。

現在分詞の時と同じく日常会話では「Comme~(過去形)」で言い換えることができる。

2-1. 基本ルール:形容詞として機能する

過去分詞:「étant」や「ayant été」が省略された形
(形容詞として機能するため性数一致をする

1. Laissée sous la pluie toute la nuit, la valise de Peggy était complètement trempée.(一晩中雨にさらされていたため、ぺぎぃのスーツケースはびしょ濡れだった)
⇒ 「Étant laissée sous la pluie toute la nuit」の省略。「la valise」(女性単数)に合わせて「Laissée(女性形)になる。

2. Surpris en train de copier sur son voisin, l’étudiant a dû quitter la salle d’examen.(隣の人のカンニングを見つかり、その学生は試験会場を退出させられた)
⇒ 「Ayant été surpris en train de copier…」の省略。「l’étudiant(男性単数)」に合わせて「Surpris(男性形)」となる。

2-2. 性数一致のルール

過去分詞形容詞と同じルールで、主語と性数一致させる。これが現在分詞との最大の違いである。

以下に「épuisé(e)」(疲れた)を用いた例を紹介しよう:

主語形(épuiser の場合)例文
男性単数形épuiséÉpuisé par la chaleur, le chien s’est couché à l’ombre.
女性単数形épuiséeÉpuisée par la journée, Pegiko s’est endormie.
男性複数形épuisésÉpuisés, les joueurs ont quitté le terrain.
女性複数形épuiséesÉpuisées, les deux amies ont décidé de rentrer.

ぺぎこ
ぺぎこ
形容詞と同じルールなら覚えやすいわね!主語の性別と数を確認してから書けばいいだけね。

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3. ジェロンディフ(Gérondif):「行動」としての原因

フランス語のジェロンディフを使った動作プロセスの原因表現のイラスト

ジェロンディフは静的な「状態」ではなく、動的な「行動・動作」を原因として「〜しようとしている動作・行為そのものが原因」と伝えたいときに用いる。

3-1. 基本の形:「en」+ 現在分詞

ジェロンディフ:「en」 + 現在分詞(性や数による変化はしない)

ジェロンディフの特徴は、原因の主語主節の主語と必ず同一でなければならない点である。

また、原因となる「行動・動作」は、主節の出来事同時に進行中であることが多い。

1. En essayant de décrocher son manteau, Peggy a trébuché sur son sac.(コートを取ろうとして、ぺぎぃはバッグに足を引っかけた)
⇒ 「コートを取ろうとする動作の最中に~」バッグに足を引っかけた。動作・行動そのものが原因である。

2. En tournant cette molette, on règle facilement le volume de la radio.(このダイヤルを回すことで、ラジオの音量が調整できる)
⇒ 「ダイヤルを回す」という動作そのものが、音量が変わる原因(手段)である。

3-2. 現在分詞との使い分け:状態か、動作か

現在分詞ジェロンディフの違いは、原因が「状態」なのか「動作」なのかにある。

同じ動詞でも、形が変わると意味が変わるので注意が必要だ。

1. Voulant décorer le salon, Pegiko a acheté trop de fleurs.(リビングを飾りたいという気持ちがあったので、ぺぎこは花を買いすぎた)
⇒ 「飾りたい」という意向・意志の状態が原因・理由。

2. En voulant décorer le salon, Pegiko a renversé un vase.(リビングを飾ろうとする動作の途中で、ぺぎこは花瓶を倒してしまった)
⇒ 「飾ろうとしている物理的な動作」が原因。また、同時進行中の行為を強調している。

ぺぎこ
ぺぎこ
微妙な違いね…難しいのよ…
ぺぎぃ
ぺぎぃ
「動いている最中か」「そういう状態か」と考えると整理しやすいよ。例えば「走れる能力がある(状態)」なら Courant、「走ろうとしている最中(動作)」なら En courant、という感じだね!

⚠️ 主語に注意:「階段を下りているのは誰?」

1. J’ai rencontré Peggy descendant l’escalier.(階段を降りているぺぎぃに会った)
⇒ 階段を降りているのはぺぎぃである。関係代名詞「qui descendait」と同義。

2. J’ai rencontré Peggy en descendant l’escalier.(階段を降りながら、ぺぎぃに会った)
⇒「en descendant」は主語「Je」の行動であり、ぺぎぃが階段を降りているわけではない。(ジェロンディフは常に主節の主語の行動・動作を表す)

Parlant couramment le français(フランス語を流暢に話せる)」のように、動作を表す動詞でも「能力・状態」として使う場合は現在分詞が自然なこともある。一方で、「今まさにフランス語で話している最中に~」という行動を強調したい場合には「en parlant」を使う。

ぺぎこ
ぺぎこ
「状態」は現在分詞、「行動・動作」はジェロンディフって覚えておけばいいのね!

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4. まとめ:3つの形式を比較してみよう

フランス語の現在分詞・過去分詞・ジェロンディフの使い分けまとめのイラスト

今回の記事では、原因・理由を表す3つの形式を解説してきた。それぞれの特徴を整理しておこう。

 現在分詞(Participe Présent)過去分詞(Participe Passé)ジェロンディフ(Gérondif)
語幹 +「-ant過去分詞en」+ 現在分詞
原因の種類状態・状況・知識受動・完了した事実行動・動作・手段
主語の制約なし主節と同一主節と同一
性数一致しない(不変)する(必須)しない(不変)
主な用途書き言葉・公式文書書き言葉・簡潔な事実提示プロセス・手段・日常表現

ぺぎこ
ぺぎこ
整理するとスッキリするわね!
ぺぎぃ
ぺぎぃ
「過去分詞だけ性数一致する」も大事なポイントだよ。筆記では特に気をつけてね。

3つの使い分けの鍵:原因が「状態・状況(静的)」なら現在分詞、「受動・完了した事実」なら過去分詞、「行動・動作(動的)」ならジェロンディフ。この3点で判断しよう。

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5. 練習問題:理解度をチェックしよう

フランス語の現在分詞・過去分詞・ジェロンディフの練習問題イラスト

それでは、今回学んだことを練習問題で確認してみよう!

問題1:穴埋め問題

文脈を読み解き、カッコ内の動詞を適切な形(現在分詞複合現在分詞過去分詞ジェロンディフのいずれか)に変えてみよう。

1. ________ (savoir) que Peggy adorait les crêpes, Pegiko en a préparé pour le dîner.

2. ________ (épuiser) par le long voyage en train, Peggy s’est endormi aussitôt arrivé à l’hôtel.

3. ________ (vouloir) attraper sa valise sur l’étagère, Peggy a renversé son café.

4. ________ (ne pas recevoir) de nouvelles de Pegiko, Peggy a décidé de lui envoyer un message.

問題2:書き換え問題

以下の文を「parce que」や「comme」を使わずに、分詞ジェロンディフを使って書き換えてみよう。

1. Comme il connaissait bien la recette, Peggy a réussi son gâteau du premier coup.

2. Pegiko s’est couchée de bonne heure, parce qu‘elle était fatiguée par les répétitions.

3. Peggy est tombée parce qu’elle regardait son téléphone en marchant.

問題3:選択問題

適切な形を(A)か(B)から選ぼう。

1. Peggy ________ plusieurs langues, il peut servir de guide aux touristes étrangers.
(A)parlant  (B)en parlant

2. Pegiko a aperçu Peggy ________ vers la boulangerie.
(A)courant  (B)en courant

解答・解説

問題1

1. Sachant que Peggy adorait les crêpes, Pegiko en a préparé pour le dîner.
⇒ 「savoir」は「知っている」という知識の状態

2. Épuisé par le long voyage en train, Peggy s’est endormi aussitôt arrivé à l’hôtel.
⇒ 受動・完了した状態。Peggy(男性)に合わせて男性形の「épuisé」を用いる。

3. En voulant attraper sa valise sur l’étagère, Peggy a renversé son café.
⇒ バッグを取ろうとする動作の最中に起きた出来事。

4. N’ayant pas reçu de nouvelles de Pegiko, Peggy a décidé de lui envoyer un message.
⇒ 「受け取っていなかった」= 完了した事実が原因。複合現在分詞の否定形を用いる。

問題2

1. Connaissant bien la recette, Peggy a réussi son gâteau du premier coup.
知識という状態が原因。

2. Fatiguée par les répétitions, Pegiko s’est couchée de bonne heure.
⇒ 疲れた状態(受動・完了した事実)。Pegiko(女性)に合わせて女性形で「fatiguée」。より自然な文にするために「fatiguée」を文頭に持ってきたが、後ろでも文法的には問題ない。

3. Peggy est tombé en regardant son téléphone en marchant.
⇒ スマホを見るという動作の最中に転んだということ。なんなら歩いている動作の最中にスマホを見て(行動)転んだ、という二重のジェロンディフが重なっているのが面白い。

問題3

1. 正解:(A)Parlant
⇒ 「数カ国語を話せる」は能力・状態。「en parlant」を使って意味を成立させられなくもないが、その場合には「il」を外して「Peggy, en parlant plusieurs langues, peut servir de guide aux touristes étrangers.」のような文になる。

2. 正解:(A)courant /(B)en courant
⇒ どちらでもOKだが、意味が異なる。「courant」はPeggyを修飾している(走っているのはぺぎぃ)になるため「ぺぎこは、パン屋に向かって走っているぺぎぃを見かけた」というう意味の文になる。その一方で「en courant」にすると走る動作の主語が主節の主語であるぺぎこになるため「ぺぎこは、パン屋に向かって走りながらぺぎぃを見かけた」という意味になる。

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