最近ぺぎぃに寄せられた質問に:
フランス語の「C’est pareil」と「Ils sont pareils」
の違いを教えてほしい
というものがあった。
確かに、これらの文は日本語に訳すと両方とも「同じだ」という意味になってしまうため、辞書を引いただけでは違いがいまいちわかりにくいのかもしれない。
そこで、今回の記事では「C’est pareil」と「Ils/Elles sont pareil(le)s」の意味の違いと使い分け方について、ぺぎぃが解説していこう。
- 「C’est pareil」の意味と使い方
- 「Ils/Elles sont pareil(le)s」の意味と使い方
ちなみに、個人的な感覚であるが、フランスの日常生活において「C’est pareil」は殆ど毎日のように耳にする便利な表現であるのに対して、「Ils sont pareils」は30年間フランスで暮らしているぺぎぃですら殆ど聞いたことがない少し珍しいフレーズである。
しかし、だからと言って、「じゃあ、ずっと「C’est pareil」だけ使っていればいいじゃん」となるわけでもない。
何故なら、この二つの表現の意味は全く異なるからである。
それを、これから一緒に見ていくとしよう。
目次
「C’est pareil」の意味と使い方
まずは「C’est pareil」というフレーズについて解説していく。
このフレーズはフランスでも本当に頻繁に日常会話で使われるフレーズなので、フランス語を勉強中の方やフランスに行く予定がある人には是非ともマスターしてほしい表現である。
1-1. 「C’est pareil」=「どちらでも一緒」
フランス語の「C’est pareil」を日本語に訳すとしたら、「同じ」と言うのが一般的であるが、あえてここは:
「C’est pareil」=「どちらでも一緒」
と訳したいと思う。
ここで一番大事なポイントが「どちらでも」の部分である。
例えば、「あなたが欲しいのは、私の右手にある銀の斧ですか?それとも私の左手にある金の斧ですか?」と聞かれたとき:
– Désirez-vous la hache d’argent que j’ai dans ma main droite? ou la hache d’or que j’ai dans ma main gauche?(右手の銀の斧と左手の金の斧のどちらを望まれますか?)
– C’est pareil.(どちらでも一緒です)
と答えることができるのである。
この「C’est pareil」というのは「銀の斧」と「金の斧」が「全く同一の物」と言いたいのではなく「どちらを選んでも一緒(=どちらでもよい)」という意味である。
類義語を挙げるなら「C’est la même chose(どちらでも同じ)」や「Cela ne change rien(どちらでも変わらない)」になるだろうか。
一応、今回はニュアンスをわかりやすくするために「どちらでも」という言葉を付け足したのであるが、本来の「pareil」という言葉の意味は「同じ」や「似たような」だけである。
つまり、文脈によっては「どちらでも」を少し言い換える必要があったりもする。
例えば、
– En France, il fait froid en hiver et chaud en été.(フランスでは冬は寒くて、夏は暑いです)
– Oui, c’est pareil au Japon. (ええ、日本でも同じです)
この場合、「C’est pareil au Japon」と言うのは「フランスでも日本でも、どちらでも一緒」という意味だが、よりスムーズに表現すると「日本でも(フランスと)同じです」となる。
1-2. 「C’est pareil」を用いた例文
それでは、いくつか例文を見ていくとしよう。
– Tu préfères marcher ou y aller en vélo? (歩きと自転車、どちらが良い?)
– C’est pareil. (どちらでも一緒さ)
⇒ 話の内容にもよるが、例えば「どうせそんなに遠くないのだから、自転車で行っても歩いて行ってもそんなに変わらないよ」という意味だったり、「運動量で言えば、歩いて行っても自転車で行っても大して変わらないよ」という意味だったり、すなわち「どちらの選択肢をとても同じことだ」という意味である。類義語:「C’est la même chose」。
– J’ai bien peur que la pluie devienne encore plus fort. (雨が更に強まるような嫌な予感がします)
– Ne vous inquiétez pas. De toute façon, nous sommes déjà trempés donc c’est pareil. (心配ご無用です。どのみち、既に我々はずぶ濡れなのですから、どちらでも同じことです)
⇒ これは、よりきれいな言い方をするなら「cela ne changera rien(何も変わりません)」という意味。雨が更に強まろうと、強まらなかろうと、結局は「既にずぶ濡れの我々にとっては何の関係もない」ということである。類義語:「Cela ne change(ra) rien」。
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「Ils/Elles sont pareil(le)s」の意味と使い方
それでは、続いて「Ils sont pareils」や「Elles sont pareilles」いうフレーズについて解説していこう。
2-1. 「Ils/Elles sont pareil(le)s」=「これらは同一のものだ」
「Ils/Elles sont pareil(le)s」が、先程の「C’est pareil」と大きく異なる部分は、何と言っても主語の部分である。
「C’est pareil」の主語が非人称代名詞の「Ce/Cela」だったのに対し、「Ils/Elles sont pareil(le)s」の場合にははっきりと「Ils」または「Elles」と主語が定められているのである。
つまり、日本語に訳すなら:
「Ils/Elles sont pareil(le)s」=「これらは同一のものだ」
となる。
ここでのポイントは「これら」の部分である。
つまり、比較の対象となるものがはっきりとしている場合には「Ils sont pareils」や「Elles sont pareilles」を用いることになる:
例えば、先ほどの「あなたが欲しいのは、私の右手にある銀の斧ですか?それとも私の左手にある金の斧ですか?」と聞かれたとき:
– Désirez-vous la hache d’argent que j’ai dans ma main droite? ou la hache d’or que j’ai dans ma main gauche?(右手の銀の斧と左手の金の斧のどちらを望まれますか?)
– Elles sont pareilles (vos deux haches).((あなたの斧は)どちらも同じものじゃないですか)
と答えたとしよう。
この場合、「Elles sont pareilles」というのは「銀の斧」と「金の斧」の両方の斧のことを指しているので、「え?あなた何言っているの?その両手にある斧は全く同じ斧じゃないのよ!」と表現していることになる。
つまり、先ほどの「C’est pareil(どちらでも良いよ)」とは意味合いが天と地ほど違うと言っても過言ではない。
類義語を挙げるなら、「Ils/Elles sont identiques(これらは同一のものだ)」や「Ce sont les mêmes(これらは同一の物だ)」となる。
2-2. 「Ils/Elles sont pareil(le)s」を用いた例文
それでは、ここでもいくつか例文を見ていくとしよう。
– Peggy a passé une nuit blanche à jouer aux jeux vidéos avec ses amis. (ぺぎぃは一晩中徹夜で友達とビデオゲームをしていたよ)
– Ils sont tous pareils ces garçons. (男の子ってみんな同じだね)
⇒ この場合の「Ils」は「ぺぎぃやその友達、また世界中の男の子」を指している。総じて「彼らのやることは全く同じね」という意味。
– Tu veux quelle robe pour ta cérémonie? (式にはどのドレスが良いかしら?)
– Elles sont toutes pareilles ces robes! C’est nul! (どのドレスも同じじゃない!つまらないわ!)
⇒ ここの「Elles sont pareilles」は「これらのドレスは全て同一」という意味。仮に全くの同一ではなくとも、「似通っている」という意味で使える。
– Voici Pagiko, la sœur jumelle de Pegiko. (彼女はぱぎこ、ぺぎこの双子の妹です)
– Wow! Elles sont pareilles toutes les deux! (おおっ!全く同じですね!)
⇒ 双子なので「彼女たちはすごく似ていて、見分けがつかない」という意味。
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