日本人がフランスに来た時に驚くであろう、フランスでの常識、その第8弾として、洗濯機について紹介していこうと思う。日本の洗濯機では、「風呂場に設置する、ドラムが縦に回る、水で洗う、約30分で洗い終わる」が一般的だが、フランスでは光景が全く異なる。
洗濯機の設置場所
台所に設置する人が多い
まず、洗濯機の設置場所だが、フランスでもお風呂場に設置するのが一般的であると考えてはいないだろうか?たわしも実は、学生時代の後は長らく日本で暮らしていたので、フランスへ帰ってくるまでは「洗濯機は台所に置くべきもの」であることをすっかりと忘れていた。
そう、読み間違いではない。
フランスの洗濯機は台所に設置する人が多いのである。
まぁ、別に、自分の家だし、蛇口の設置さえできれば、風呂場にでもどこにでも勝手に設置してしまえばよいわけなのだが、そもそも洗濯機の設置スペースが風呂場にではなく、台所にある場合が非常に多い。
理由は、特になく、単に家ごとの設計によって、洗濯機を台所に設置したり、お風呂場に設置したりするものであるとぺぎぃは解釈している。今まで見てきた家やアパートの中には、小型の物置みたいな場所に洗濯機を取り付ける蛇口類が揃っていたものもあった。
特に、Paris(パリ)付近の狭いアパートなどでは、風呂場にシャワーと洗面台がようやく入るスペースしかなく、洗濯機を食洗器と一緒に台所に設置している人が多いのだと思う。「洗濯機=風呂場に設置」と考えている日本人が初めてフランスに来たら驚くのではないか?
洗濯機はお湯で服を洗う
また、先ほど蛇口の話をしたが、次に日本人が驚くであろうことは、「フランスの洗濯機は服を洗うのにお湯を使う」という点である。
これは、日本に来たフランス人も全く逆の驚き方を見せる。『えっ!?日本の洗濯機にはお湯が入れられないの!?』である。実際には、風呂場からお湯を入れることはできるらしいが、少なくともぺぎぃはその方法がわからなかった。
まぁ、とにかく、フランスの洗濯機はお湯で服を洗うと覚えておけば損はない。これは、水の質のせいでもあるし、用いる洗剤の性質が異なるせいでもある。フランスで用いる洗剤はある程度の温度(30℃以上)に達しないと効力を発揮しないものが多く、それ以下の温度では、全く汚れが落ちない。
また、Paris(パリ)付近では、水道水に微量のCalcaire(カルキ)やMagnesium(マグネシウム)が含まれていることが多く、洗濯機も食洗器も、定期的に酢でメンテナンスをしないと壊れることが多い。そのため、1~2か月に1回は、洗濯機にVinaigre blanc/Vinaigre d’alcool(酢)を0.5リットル入れて、空の状態で約60℃で1~2時間回しておく必要があり、お湯を必要とするのだと考えられる。
1点だけ、注意が必要だとすれば、お湯で洗っている以上、「色落ちや色移りがしやすい」という点である。日本では、あまり問題がなかったかもしれないが、フランスに来たら、せめて黒い衣類と白い衣類は分けて洗濯しておいたほうが、後々後悔をしなくて済むと、ぺぎぃから助言しておく。
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洗濯機の仕様
ドラムが横に回る型式が多い
これは、特に大きく驚くことではないが、日本と異なるフランスの洗濯機の仕様として、ドラムが縦ではなく、横に回る型式が一般的ということがある。つまり、洗濯物を洗濯機に取り込む際も、上から入れるのではなく、横から入れるのである。
何故、それぞれの国で、それぞれの型式が一般的となっているのかは不明である。
強いて言えば、家の構造による違いだろうか?日本の方がコンパクトな家が多い分、洗濯機の上の空間を有効利用しようと縦型になっており、フランスの場合は、台所のChaudière(お湯沸かし機)の真下に洗濯機を設置し、お湯を直接受け取る形をとる場合があるため、洗濯物を入れやすいように、蓋が上からではなく、横から開くようになっている、、とか。
飽くまで、ぺぎぃの推論であるが、理屈は通っている気がする。
柔軟剤を使う
お湯で洗濯物を洗う以上、フランスでは避けては通れないものがある。それは「柔軟剤」。日本では、あまり頻繁に使っていた記憶はないのだが、フランスでは水の性質のせいなのか、はたまたお湯を使っているせいなのか、タオルやセーターなどを選択する際には、柔軟剤を投入しておかないとガサガサになってしまう。
特にParis(パリ)付近では、先ほど書いたようにCalcaire(カルキ)などが含まれている硬水で洗濯をするはめになるため、どんな服を洗濯するのにも、高温+柔軟剤+時には石灰中和剤を用いてするのが一般的となっている。
例えParis(パリ)に住んでいなくても、洗濯機がお湯を使っているので、後々衣類が傷んでしまうのが心配な方は、柔軟剤を使用することをお勧めする。
洗濯時間は1~2時間が一般的
フランスの洗濯機は、日本の洗濯機と違って、洗濯時間が衣類によって異なる。例えば、衣類がCotton(綿)なのか、Synthétique(化学繊維)なのか、などによって洗濯時間が異なるし、30℃で洗うのか、40℃で洗うのか、はたまた60℃で洗うのか、などによっても洗濯時間が異なる。
一般的に言えば、洗濯時間が1~2時間くらいかかるのが通常である。日本の洗濯機は水だけで洗っているのに、25~30分で洗濯が終了してしまうのはすごいと、ぺぎぃはよく感心していたのを覚えている。フランス人の中には、『日本の洗濯機は水で洗うし、洗濯時間が短すぎるから、汚れが落ちない』と言っている人もいるが、少なくともたわしはそうは感じなかった。恐るべし、日本の技術力である。
逆に、フランスでは、水の質のせいなのか、洗濯機の技術のせいなのか、「きれいに汚れを落とすためには、お湯で1時間以上洗うこと」が原則となっている。
ただし、注意をしなければいけないのが、フランスの洗濯機はお湯を使っているので、洗濯する時間が長ければ長いほどお金がかかるということと、洋服が縮んでいくということである。
ぺぎぃもフランスへ帰ってきたときに、ついつい日本の感覚で、洗濯機の設定を「Eco+温度設定全自動」に設定してしまったら、とんでもない目にあった。何と!洗濯機が7時間以上も回り続けているではないか!しかも60℃くらいのお湯を使用して!
日曜日の午後15時頃に洗濯をはじめ、16時過ぎごろに、もうよいだろうかと確認しに行ったものの、まだまだ終わる気配がない。18時頃に『いや、さすがにおかしいな』と感じ始め、残り時間をチェックしてみると、300分。
ぎょえやぁ~~、であった。
もっと早くに、気付けばよかったのだが、もはや後の祭りであった。洗濯が終了したのは夜中の23時過ぎ。やっちまったである。
今では、あまり長時間洗濯をしないよう、注意をしている。まぁ、最近では「お急ぎモード=30℃で60分」を用いれば、問題は一切なくなるということを学んだ。
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