バイリンガルとは、一般的にどのレベルまで語学を極めれば名乗ることができるのだろうか?
このような疑問について考えたとき、ぺぎぃはある結論にたどり着いた。それは、
世の中のバイリンガルには「完璧なバイリンガル」と「外国語をマスターしたバイリンガル」の2種類が存在する
ということである。
そこで、今回の記事では、それらの2つのバイリンガルの違いについて、ぺぎぃの持論を述べていきたいと思う。
ちなみに、簡単に自己紹介から済ませると、ぺぎぃは日本人の母とフランス人の父のもとに生まれた日仏ハーフである。日本語もフランス語もどちらとも幼少の頃に学んだ母国語であるため、「完璧なバイリンガル」に属する。
しかし、だからと言って「ぺぎぃは完璧なバイリンガルなんだ!すごいだろう?」と自慢したいわけではない。
後々説明するが、そもそも生まれながらにして母国語を2つ習得できる環境を与えられている「完璧なバイリンガル」と、自らの努力だけで外国語を習得して成り上がった「外国語をマスターしたバイリンガル」のどちらが優れているかと比べるのは、明らかにナンセンスである。
そこで今回の記事では、飽くまで2種類のバイリンガルの違いと、それぞれが持ち得る脳のキャパシティを中心に話していきたい。
目次
完璧なバイリンガルの脳のキャパシティ
1-1. 完璧なバイリンガルとは何者か?
「完璧なバイリンガル」とは、その名が示す通り、2つの言語を完璧に話すことができる人のことである。つまり、脳のキャパシティレベルで言えば、自分の母国語はもちろんレベル60以上のこと、母国語以外にももう1つレベル60以上の言語が使いこなせる人のことになる。
しかし、以前の記事でも説明したように、「外国語として学ぶ言語」をレベル50以上にすることは並大抵のことではない。通常、不可能である。
つまり、一般人にとって、2つの言語を母国語レベルで使いこなせるようになるためには、両言語とも自分の母国語である必要がある。
それこそが、「完璧なバイリンガル」の正体である。
1-2. 誰でも「完璧なバイリンガル」になることはできるのか?
例えば、日本人の両親のもとに日本で生まれ、初めて英語を学び始めるであろう小学校または中学校までは、日本語しか使っていなかったA君がいるとしよう。
果たして、A君は必死で英語を勉強すれば「完璧なバイリンガル」になることができるのだろうか?
残念ながら、答えは否である。
なぜなら、A君の場合は、どんなに外国語としての英語を勉強しても、脳のキャパシティ的に英語レベルの上限が50を超えることができないからである。
仮にA君が英語を母国語並みに話せるようになりたかったら、渡米して数年間は英語だけの生活をするしか方法は残されていない。また、A君の年齢によっては、10年渡米してももう間に合わないのかもしれない。なぜなら、英語が外国語として脳にインプットされてしまったA君には、永遠に言語の壁、英語レベル50を超えることはできないからである。
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外国語をマスターしたバイリンガルの脳のキャパシティ
2-1. 外国語をマスターしたバイリンガル
では、前章で話したA君は、果たして一生「バイリンガル」になることはないのか?いや、それもそれで間違いである。
確かに、英語を母国語として学んでいないA君には、言語の壁を越えて「完璧なバイリンガル」になることはできない。しかし、何も「完璧」になる必要はないのである。
ある程度まで、英語を外国語レベル40~50まで持っていきさえすれば、十分に外国語としての英語をマスターしたことになる。海外でも通用するし、仕事でも何の問題もなく使える。忘れてはいけない、前回の記事でも書いたように、英語レベル50で既にTOEIC満点である。
つまりA君は、日本語と英語を使いこなせる「完璧なバイリンガル」になることはできないが、「英語を外国語としてマスターしたバイリンガル」になることはできる。これはこれで、全く恥じることはない。
2-2. 多くの人は「外国語をマスターしたバイリンガル」になれる
通常、バイリンガルの人の多くは、「外国語をマスターしたバイリンガル」であることが多い。つまり、生まれながらにしてバイリンガルなのではなく、自分の力で外国語を勉強し、苦労を積んでバイリンガルとなった人たちである。
正直、初めから恵まれた環境に生まれ、「完璧なバイリンガル」として育ってきた人よりも、自分の力でゼロから勉強し、「外国語をマスターしたバイリンガル」になった人たちのほうが、実際はすごいのではないかとたわしは思っているが、冒頭で話した通り、明らかに作りが異なる二つのバイリンガルを比較すること自体がナンセンスであるため、この記事では深堀はしない。
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2つのバイリンガルの違い
一度バイリンガルになってしまえば、「完璧なバイリンガル」と「外国語をマスターしたバイリンガル」に大きな違いはない。結局はどちらとも2つの言語をぺらぺらに使いこなすことができるバイリンガルである。
しかし、「外国語をマスターしたバイリンガル」と「完璧なバイリンガル」の違いが1つだけある。それは、「探知されてしまう可能性が高い」ことである。
3-1. 「外国語をマスターしたバイリンガル」は探知されやすい
英語を例にとって話してみよう。
英語を母国語としている人からは、「完璧なバイリンガル」の英語は、たとえ文法のミスを犯したり、言葉に迷いがあったりしても、一般のアメリカ人やイギリス人などとのレベルの差を感じることはほとんどない。まさに、完璧な英語として捉えられる。
しかし、残念ながら、「外国語としての英語をマスターしたバイリンガル」の場合は、どんなに文法が完璧であったとしても、どんなにきれいな英語を用いて話しても、「ああ、こいつは外国人だな」と瞬時にばれてしまう可能性が高い。
では、いったい何が違うのか?それは、発音である。
3-2. 逃れられない「発音」の呪縛
どの言語にも、その国の言葉を生まれもって体験してこなければ、絶対にわからない微妙な発音やニュアンスがある。
「完璧なバイリンガル」の場合は、知らずのうちに、その微妙な発音やニュアンスを自分の言語に取り入れてしまっているのに対し、「外国語をマスターしたバイリンガル」の場合は、何年かけてもその微妙な発音やニュアンスを習得することができないことが多い。
それが、唯一「完璧なバイリンガル」と「外国語をマスターしたバイリンガル」との間に生じる違いだとぺぎぃは思っている。
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