フランス語で「もし○○なら、○○するのに」や、「もし○○だったなら、○○をしていたのに」という文を書きたいが、動詞の活用方法がわからずに断念したことはないだろうか?
ご心配なく!
この記事では、この「もし○○なら、○○するのに」や「もし○○だったら、○○していたのに」の文で用いるフランス語の動詞の活用方法についてまとめておく。
- 未来に対する仮定:「Si + 現在形 + 直説法未来形」
- 現在と過去に対する仮定:「Si + 過去形 + 条件法」
フランス語で「もし○○なら~」と言いたいが、用いる動詞の活用方法がいまいちわからないという方が極めて多い。フランス語を勉強中のぺぎこも同じである。
そこで、
この記事では、「もし○○なら~」の仮定文が未来に対するものなのか、過去や現在に対するものなのかによって、動詞の活用方法をどうすればよいのかについて具体的に説明していく。
先に結論を言ってしまうと:
未来に対する仮定:「Si + 直説法現在 + 未来形(直説法)」
現在に対する仮定:「Si + 半過去(直説法)+ 条件法現在」
過去に対する仮定:「Si + 大過去(直説法)+ 条件法過去」
と大きく分けることができる。
ここから先では、各場面において、より具体的に例文を用いて説明していく。この基本さえしっかりと覚えてしまえば、もはや何の迷いもなくフランス語で「もし○○なら~」の仮定の文を用いることができるようになるだろう。
ちなみに、その他の条件法の使い方や、そもそも条件法の使い方がいまいちわからないという方は、まずは以下の記事を先に読んでみることをおすすめする:
目次
未来の仮定:「もし○○なら、○○だろう」【Si + 直説法現在 + 未来形(直説法)】
まずは、未来に対する仮定について、文の構造を見ていくとしよう。
これは例えば、「宝くじで当たれば、億万長者になれるだろう」みたいな文をフランス語で伝えたいときに用いる構成である。
1-1. 基本構造:「Si」+ 直説法現在 + 未来形(直説法)
基本ルール
未来に対して仮定の話をする際には、
「Si」+ 直説法現在 + 未来形(直説法)の構造を用いる。
もう、まさにこれだけ覚えてしまえば何の問題もない。
「もし○○なら」の部分は、直説法の現在形。そして、「○○をするだろう」や「○○なのに」の部分は直説法の未来形を用いて生成するのである。
注意点
多くの人がしがちなミスが、未来の話だからと、「Si」の後に未来形の動詞を持ってくることである。しかし、これは間違い。
基本的に「Si(もし)」の後には、絶対に未来形も条件法も用いることはない。
これだけをしっかりと頭に入れておけば、そうそう動詞の活用を間違えることはないだろう。
1-2. 例文:「Si」+ 直説法現在 + 未来形(直説法)
それでは一緒に例文を見ていくとしよう。
1. Si je gagne au loto, je vais devenir très riche. (宝くじで当たれば、とても金持ちになるだろう)
2. Si Peggy n’arrive pas à midi, nous partirons sans lui. (ぺぎぃが正午までにこなければ、彼なしで出発します)
なお、フランス語の未来形には単純未来と近未来の二種類が存在するが、どちらを用いてもよい。
今回は、1. の文では近未来の「je vais devenir」、2. の文では単純未来の「nous partirons」を用いて見たが、これは「je deviendrai」と「nous allons partir」に入れ替え可能である。
1-3. 例外:「Si」+ 直説法現在 + 直説法現在
ちなみに、一つだけ例外として、未来の話ではあるが、すぐに起きる出来事に対しては、未来形ではなく現在形を用いることができる。
例文~その①
例えば、先ほどの例文の2. の文だが、
Si Peggy n’arrive pas à midi, nous partirons sans lui. (ぺぎぃが正午までにこなければ、彼なしで出発します)
これが、数分後の話であれば、
Si Peggy n’arrive pas dans 5 minutes, nous partons sans lui. (ぺぎぃが後5分でこなければ、彼なしで出発しましょう)
ということもできる。これは口頭会話では結構用いられる構造である。
例文~その②
他にも、刑事ドラマなどで良く聞くことができるフレーズに:
Ne bouge pas, sinon on tire! (動くな!さもないと撃つぞ!)
というものがあるが、これも言い換えれば:
Si tu bouges, on tire! (動けば撃つぞ!)
と言うことができる。
こちらの文でも、相手が「動いた」瞬間に「撃つ」ことになるので、未来までの時間が非常に短い。そのため、未来形ではなく直説法の現在形を用いても良いのである。
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現在の仮定:「もし○○なら、○○しているのに」【Si + 直説法半過去 + 条件法(現在)】
続いて、現在に対する仮定について、解説していこう。
これは例えば、「(今)雨が降っていなければ、散歩にいくのに」のように、行動が未来に起こるものではなく、今現在するであろうことを伝えたいときに用いる構成である。
2-1. 基本構造:「Si」+ 直説法半過去 + 条件法現在
基本ルール
現在に対して仮定の話をする際には、
「Si」+ 直説法半過去 + 条件法(現在)の構造を用いる。
イメージが掴みにくい人のために、いきなり例文を用いると、例えば:
S’il ne pleuvait pas, nous irions nous promener. (雨が降っていなければ、散歩へ行くのに)
これは、「今まさに雨が降っていなければ(半過去)、散歩へ行くのに(条件法現在)」という意味である。
これが、仮に今はまだ晴れていて、「もし雨が降らなければ、散歩へ行く」と未来の行動について話しているのであれば、先ほどと同じく:
S’il ne pleut pas, nous irons nous promener. (雨が降らなければ、散歩へ行きましょう)
と、直説法現在と直説法未来形のコンビネーションを用いて書くことになる。
直説法の単純未来と、条件法の現在形は非常に形が似ているので、ごちゃ混ぜにしないように注意が必要である。
2-2. 例文:「Si」+ 直説法半過去 + 条件法現在
それでは例文を見ていこう。
1. Si j’étais encore jeune, je ferais beaucoup de sport. (もし自分がまだ若ければ、運動をたくさんするのに)
2. Si Pegiko venait à la maison, on lui offrirait un bon repas. (もしぺぎこが家に来れば、美味しい食事をご馳走してあげるのに)
言うなれば、これは「仮定」や「願望」について話しているので、以前別な記事で書いたように条件法(Conditionnel)を用いているのである。
例えば、1. の文では「まだ若ければ」と非現実的な願望について話しているので「半過去+条件法」は用いることはできても、先ほどの「直説法現在+未来形」を用いることはできない。そうしてしまうと、文法的にはOKだが、意味がとても不自然な文になってしまうからである。
Si je suis encore jeune, je ferai beaucoup de sport. (もし自分がまだ若いなら、運動をたくさんするだろう)
⇒ もう自分は若くないのに、「若いなら」という前提で未来に運動をすると言っているので、文法的にはOKだが、かなり不自然な意味の文になる。
逆に、2. の文では、「半過去+条件法」を用いることによって、「ぺぎこが家に来る」ことの非現実性について強調している。こちらの文は、もし現実的に起こり得る出来事であれば、「直説法現在+未来形」で書いても良い:
Si Pegiko vient à la maison, on lui offrira un bon repas. (もしぺぎこが家に来たら、美味しい食事をご馳走しよう)
⇒ この文は文法的にも意味的にもOK。条件法を用いた言い回しが非現実的な仮定であったのに対し、こちらは未来に実際に起こり得る出来事について話しているように聞こえる。
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過去の仮定:「もし○○だったなら、○○していたのに」【Si + 直説法大過去 + 条件法(過去)】
最後に、過去に対する仮定について、解説していこう。
これは基本的には、前の章でみた現在に対する仮定の動詞を全て一段階過去形にすれば成り立つものである。
3-1. 基本構造:「Si」+ 直説法大過去 + 条件法過去
基本ルール
過去に対して仮定の話をする際には、
「Si」+ 直説法大過去 + 条件法(過去)の構造を用いる。
つまり、先ほどの雨と散歩の例を用いれば:
S’il n’avait pas plu, nous serions allés nous promener. (雨が降らなければ、散歩へ行っていたのに)
ということになる。
これは、先ほどの「半過去+条件法(現在)」を一括り過去形に「大過去+条件法(過去)」として書き換えただけのものなので、比較的わかりやすいかと思う。
3-2. 例文:「Si」+ 直説法大過去 + 条件法過去
1. Si Peggy n’avait pas été au Japon, il n’aurait pas rencontré Pegiko. (もしぺぎぃが日本に行っていなければ、ぺぎこに出会えていなかっただろう)
2. Si j’avais connu ce site plus tôt, j’aurais beaucoup plus rapidement progressé en français. (もっと早くこのサイトを知っていれば、フランス語の上達がもっと速かっただろうに)
これらの文では、「もし過去がこうだったら」と非現実的な仮定の話で、且つ過去に対して話しているので、自然と条件法過去を用いることになる。
理屈は簡単だが、おそらく迷わずに自然に使えるようになるためには、実践をくりかえしていくしか道はない。
3-3. 例外①:「Si」+ 直説法大過去 + 条件法現在
「例外」と言うべきか、稀に「直説法大過去+条件法過去」ではなく、「直説法大過去+条件法現在」という造りの文を見ることもできる。
これは文法的に間違いではなく、伝えたい内容によって可能である。
例えば、過去に「こうすればよかったな」という仮定をしているが、それによってまだ現在起きていない出来事が変わってくる場合が挙げられる。
1. Si t’étais couché tôt hier, tu n’aurais pas eu besoin de faire une sieste aujourd’hui.(もし昨夜早めに寝ていたなら、今日昼寝をしなくても済んだのに)
⇒ 既に昼寝を済ませた状態。今までの文と同じく、「Si + 直説法大過去 + 条件法過去」の造り。
2. Si tu t’étais couché tôt hier, tu n’aurais pas besoin de faire une sieste aujourd’hui.(もし昨夜早めに寝ていたなら、今日(これから)昼寝をしなくても済んだのに)
⇒ これから昼寝をしなくてはならない状態の話。過去に対する仮定で現在まだ起きていない出来事が変わってくるので、「Si + 直説法大過去 + 条件法現在」の造りを用いる。
3-4. 例外②:「Si」+ 直説法大過去 + 直説法半過去
もう一つ例外として、過去に別な行動を起こしていれば、必ず起きていたであろうことに対しては、「Si + 直説法大過去 + 直説法半過去」を用いることもできる。
1. Si je n’avais pas freiné, il aurait décédé.(ブレーキをかけなければ、彼は亡くなっていただろう)
⇒ 一般的な仮定の話。「Si + 直説法大過去 + 条件法過去」を用いる。
2. Si je n’avais pas freiné, il décédait.(ブレーキをかけなければ、彼は(間違いなく)亡くなっていた)
⇒ 仮定の話だが、「Si + 直説法大過去 + 直説法半過去」を用いることによって、「間違いなく彼は亡くなっていた」という断言に代わる。
これもまた、かなり珍しい造りなので、難しいという方は別に覚える必要はない。
しかし、微妙なニュアンスについて頭の片隅に入れておくのは良いかもしれない。
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2-2良い例の例文でSi Pegiko vient à la maison, on lui offrira un bon repas.とありますが、Quand Pegiko aura venue à la maison, on lui offrira un bon repas.との違いはどのようになりますか。前未来形で「ぺぎこちゃんがうちに来たら~」との違いがいつもよくわかりません。
Manonさん、こんにちは!
コメントありがとうございます。
Si Pegiko vient à la maison, on lui offrira un bon repas. というのは「もしぺぎこちゃんが家にきたら、おいしい食事をご馳走しよう」という仮定の話であるのに対し、
Quand Pegiko sera venue à la maison, on lui offrira un bon repas. というのは「ぺぎこちゃんが家にきたら、おいしい食事をご馳走しよう」と、仮定ではなく、すでにぺぎこちゃんが家に来ることが確定している状態で「家に来た時に~」と話しているような違いがあります。
日本語では、未来形が存在しないので「ぺぎこちゃんがうちに来たら~」というのは、発音やその時の状況によって二通りのニュアンスがあります;
・「ないとは思うけど、ぺぎこちゃんがうちに来たら、ご馳走しなければね…」⇒来るか来ないか未定の状態。
・「もうすぐ12時だから、ぺぎこちゃんがうちに来たら、食事にしましょうか!」⇒来る前提の話。
この二つの使い分けが、先ほどの二つの文だと思います。(*^▽^*)