フランス語を学ぶ上で、日本人が結構つまずくのが、男性名詞と女性名詞の見分け方である。フランス語で使われる名詞には、英語と同じく、定冠詞&不定冠詞があり、更に男性名詞と女性名詞によって、冠詞を使い分ける必要がある。
特に、対象の名詞が男性/女性などの人間や、雄/雌などの動物を指している場合は問題が少ないのだが、『何故 la chaise (椅子)が女性で、un fauteuil (ソファー)が男性なの?』と、対象の名詞が実際に性別を持たない場合に、日本人やその他の外国人は戸惑うことが多い。
本章では、フランス語の男性名詞/女性名詞がわからないときの見分け方や、覚え方について話していきたいと思う。
目次
名詞の性別がわからないときの見分け方
以下に、今までぺぎぃが培ってきた経験をもとに、一般的に男性系の定冠詞 un と不定冠詞 le を用いる名詞と、一般的に女性系の定冠詞 une と不定冠詞 la を用いる名詞をパターン化してみた。
全ての名詞に当てはまるわけでないかもしれないが、フランス語を学ぶ上で参考にしていただければ幸いである。例外の抜け漏れがあった場合は、ご勘弁いただきたい。
1. 一般的に男性名詞とされるもの
1.1 「-age」で終わる名詞
基本的に、「-age」で終わる名詞は、ほとんど男性名詞である場合が多い。以下に一例を示しておく。
多少例外が発見できたので、注意されたし。
例: un garage, un démarrage, un âge, un mariage
例外: la plage, une page, une cage, la nage, la rage, une image
1.2 「-al」で終わる名詞
「-al」で終わる名詞もまた、男性名詞である可能性が高い。以下に一例を示す。
例: un journal, un canal, un animal, un festival, un bocal
1.3 「-ail」「-eil」で終わる名詞
「-ail」「-eil」で終わる名詞も、男性名詞である可能性が高い。
例:un travail, un gouvernail, le soleil, le sommeil, un orteil
1.4 「-at」「-ât」で終わる名詞
「-at」「-ât」で終わる名詞も、男性名詞である可能性が高い。
例: un combat, un dégât, un débat
1.5 「-ar」「-art」「-ard」「-are」で終わる名詞
「-ar」「-art」「-ard」「-are」で終わる名詞も、男性名詞である可能性が高い。
多少例外が発見できたので、注意されたし。
例: du brouillard, un placard, un départ, un phare
例外: une mare, la gare
1.6 「-asme」「-isme」で終わる名詞
「-asme」や「-isme」で終わる名詞も男性名詞の場合が多い。「○○-isme」の言葉は、宗教や団体に関連した言葉が多く、新聞やニュースでよく見かける。
例: le journalisme, le christianisme, le syndicalisme, le fanatisme, un fantasme
1.7 「-et」で終わる名詞
「-et」で終わる名詞も男性名詞の可能性が高い。例外として、「la forêt」(森)が発見できたが、「un foret」(ドリル)は男性名詞である。
例: un jet, un clapet, un magret, un foret
例外: une forêt
1.8 「-ier」で終わる名詞
「-ier」で終わる名詞も男性名詞の可能性が高い。
例: un métier, un cahier, un sommier
1.9 「-ment」で終わる名詞
「-ment」で終わる名詞も男性名詞の可能性が高い。
例: un entraînement, un enterrement, un monument, un testament
1.10 「-o」「-eau」「 -au」「 -aud」「-ot」で終わる名詞
「-o」「-eau」「 -au」「 -aud」「-ot」など、「お」という音で終わる名詞は基本的に男性名詞の場合が多い。
ただし、ちらほらと例外が発見されたので、注意されたし。
例: un vélo, un tableau, un manteau, un cageot, un nigot, un crapaud
例外:une eau, la peau, une moto
1.11 「-phone」や「-scope」で終わる名詞
「-phone」や「-scope」といった、機械のような終わり方をする名詞は基本男性名詞の場合が多い。以下に一例である。
例: un téléphone, un magnétophone, un trombinoscope, un téléscope
1.12 「-teur」で終わる名詞
同じく、比較的に機械言語に多い「-teur」で終わる名詞も男性名詞の可能性が高い。正し、機械そのものは「une machine」と、女性名詞なので、注意されたし。
例: un radiateur, un émetteur, un tracteur, un ordinateur
1.13 「-ueil」「-euil」で終わる名詞
「-ueil」「-euil」で終わる名詞は、男性名詞である可能性が高い。
例:un accueil, un cercueil, un fauteuil, un écureuil
1.14 「-feuille」で終わる名詞
「une feuille」(紙)は女性名詞であるが、名詞の最後に「-feuille」が付く名詞は、男性名詞になると覚えて置いたほうがよい。
例:un millefeuille, un portefeuille, le chèvrefeuille
1.15 「para-」から始まる名詞
「para-」から始まる名詞も男性名詞であると覚えておけばよい。ぺぎぃも小学生後半くらいまでは、フランス語で「雨」は「la pluie」と女性名詞なので、「傘」も女性名詞だと勘違いしていた。実際は「un parapluie」と「para-」から始まる名詞なので、男性名詞なのである。
以下に他の一例を記載しておく。
例:un parapluie, un parechoc, un paratonnerre
一般的に女性名詞とされるもの
2.1 「-ade」「-ude」で終わる名詞
基本的に、「-ade」や「-ude」で終わる名詞は、女性名詞であると考えてよい。以下に一例を示しておく。
例: une balade, une parade, une inquiétude, une attitude
2.2 「-ance」や「-ence」で終わる名詞
「-ance」や「-ence」で終わる名詞もまた、女性名詞である場合が多い。以下に一例を示す。
例: la France, une naissance, la science, une différence
例外: le silence
2.3 「-tion」「-sion」で終わる名詞
「-tion」「-sion」で終わる名詞も女性名詞と覚えておくとよい。
例: la nation, la libération, une infusion, une profession
2.4「-aille」「-eille」で終わる名詞
「-aille」「-eille」で終わる名詞は、女性名詞である可能性が高い。
例:une médaille, une faille, une abeille, une corbeille
2.5 「-esse」「-asse」で終わる名詞
「-esse」「-asse」で終わる名詞も女性名詞の可能性が高い。
例: une caresse, une casse, une fesse
2.6 「-ette」「-otte」で終わる名詞
「-ette」「-otte」で終わる名詞も女性名詞の可能性が高い。
例: une courgette, une cigarette, une allumette, une menotte
2.7 「-elle」で終わる名詞
「-elle」で終わる名詞も女性名詞の可能性が高い。
例: une poubelle, une ruelle, une pelle
2.8 「-aise」「-ise」「-euse」で終わる名詞
「-aise」「-ise」「-euse」で終わる名詞も女性名詞の可能性が高い。
例: une fraise, une friandise, une agrapheuse, une bise,
例外: un malaise
2.9 「-oi」「-oie」「-oix」で終わる名詞
「-oi」「-oie」「-oix」など、「わ」の音で終わる名詞も女性名詞の可能性が高い。日本でも、女性の喋り方で、文の後に「わ」を設ける特徴がある。それと同じように覚えてみたらいかがだろうか?
例: la loi, une noix, la joie, la foi
例外: un roi
2.10 「-té」で終わる名詞
「-té」で終わる名詞も女性名詞の可能性が高い。
例: la beauté, la gaité, l’honnêteté, la liberté
例外: un comité, du pâté, un comté, un aparté
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男性名詞と女性名詞の覚え方
1. 1つ1つ覚えていくしかない
これを言っちゃあ、おしまいであるが、基本的には「1つ1つ覚えていくしかない」。これに尽きるのである。
どんなにパターン化をして、『この形の名詞は男性名詞』、『この形の名詞は女性名詞』と理屈付けを試みても、必ず例外が出てきてしまい、『あれ?この名詞は当てはまらないじゃん!』となってしまう。また、そもそもパターン化ができない名詞も結構あったりするため、この方法では永遠に終わることがない。
そこで、フランス語の男性名詞、女性名詞を覚えるために、ぺぎぃがおすすめするのは、ある程度パターン化して、ひとくくりに覚えてしまってから、『似たような響きの名詞はとりあえず同じ性別だ。』と割り切ってしまうことである。
例えば、la fille (女の子)が女性名詞だと分かっていれば、同じような響きのla quille (ボーリングなどのピン)、la chenille (芋虫)、la myrtille (ブルーベリー)なども同じく女性名詞であると言い切ってしまえばよい。このようにすれば、8~9割くらいは当たっている可能性が高い。間違ったら、間違ったで、「例外」として覚えておけばよいのである。
2. 男性名詞&女性名詞なんて、大したことはない
最後に一言。そもそも冠詞を用いない日本語や、性別の分別がない定冠詞&不定冠詞(the、a)を用いている英語から、いきなり「男性名詞/女性名詞」と区別しているフランス語を勉強する場合、非常に難しいのは理解できる。しかし、実際にはフランス語の男性名詞&女性名詞なんて、大したことではない。
例えば、ドイツ語などでは、男性名詞 der、女性名詞 die のほかに、無性名詞 das を用いていたりする。その上、名詞が主語であるか、目的語であるか等によって、der ⇒ den ⇒ dem や die ⇒ die ⇒ der、das ⇒ das ⇒ dem と訳の分からない変化を遂げたりする。
また、定冠詞 das を用いたか、不定冠詞 ein を用いたかなどによっても、形容詞の形が変化したりする。例を挙げておきたいが、ぺぎぃもよく間違っていた部分なので、下手なことを載せないためにもご勘弁願いたい。そもそも、この記事はドイツ語の記事ではないのである。と言い訳をしておく。
つまり、何が言いたいかというと、フランス語での「男性名詞/女性名詞」は、ドイツ語など、他の言語に比べたら幼稚園レベルなのである。上には必ず上がいるものだ。
また、フランスの場合、例え名詞の性別を間違っていたからといって、言葉が通用しないということは比較的少ない。それよりは、定冠詞や不定冠詞を用いずに文を作ってしまった時の方が、相手に理解してもらえないことが多いし、例え、間違った冠詞を使ったとしても、瞬時に相手のフランス人は訂正してくれるため、心配はいらない。
したがって、間違っていても『フランス人ではないのだから仕方がない』と割り切り、どうどうと男性冠詞も女性冠詞もばんばん使っていくことを、ぺぎぃはお勧めする。
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男性女性名詞、いつも間違えるのでペギーさんの説明に助けられています。ありがとうございました💕
Wakoさん、Bonjour!
コメントありがとうございます!とても嬉しいです!(*^▽^*)
ぺぎぃ