その他、ぺぎぃの雑学

ジブリ映画が海外で人気な理由【フランス編】

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「ジブリ映画がなぜ海外でもあれだけ人気なのだろうか?」と、ふと考えたことがある人はいないだろうか?「日本にはジブリ映画以外にも様々なアニメ作品があるのに、一体なぜジブリ作品だけ飛びぬけて海外人気を誇っているのだろうか?」と。

この記事では、フランスを中心に、ジブリ作品が人気な理由を解説していこうと思う。ぺぎぃが今までフランスで育ってきて友人や周囲から聞いた意見や感想フランスのネット上のフォーラムに転がっている記事内容をベースに考えてみたので、興味がある方は是非最後まで読んでいただけるとうれしい。

ちなみに余談であるが、フランスでは“Film Ghibli”ではなく“Film Miyazaki”として知られている。映画監督が宮崎駿(Miyazaki)なので、ジブリ(Ghibli)より発音の仕方がわかりやすかったのだと思われる。

ジブリ映画がフランスで人気な理由

1-1. 年齢層が広い

これは日本でも言えることだが、ジブリ作品の不動の人気の理由は受け入れられる年齢層の幅が極めて広いところにある。

・ませているフランス人の子供にも受け入れられる

フランスの中高生には、日本と比べて非常にませている子供が多いので、「アニメなんか、子供の観るものだよ」と気取って毛嫌いする人が多い。しかし、ジブリ映画は普通のお子様用のアニメではなく、大人も楽しむことができる「大人向けのアニメ」として認知されているので、どの年齢層のフランス人でも遠慮なく観ることができる。

例えば、ぺぎぃが中学生前半あたりの時にも『ポケットモンスター』『遊戯王』の様な明らかに子供をターゲットにしたアニメは見ずに、「俺/私はもう少し大人のアニメを観るのよ」『となりのトトロ(Mon voisin Totoro)』『もののけ姫(Princesse Mononoke』を語り始める中学生がでてきていた。

特にそれらの作品は、主人公が小中学生あたりの子供であるため、「大人向けのアニメ」とは言っても、小中学生にも人気が高い。

・大人も子供も楽しむことができる

また、ぺぎぃの例を挙げると、小学校あたりでは『となりのトトロ(Mon voisin Totoro)』から始まり、中学生あたりで徐々に『天空の城ラピュタ(Le château dans le ciel)』『もののけ姫(Princesse Mononoke)』と観る映画が変わっていき、そして高校生~大学生で『紅の豚(Porco Rosso)』と友人と観るジブリ映画が移行していった。

つまり、ジブリ映画の中にも、やや子供向けな作品と、やや大人向けの作品も存在していて、先ほどの子供たちと同じように、「アニメなんか子供が観るものじゃないか」と抵抗を感じている高年齢層にも受け入れやすい形になっているのである。

しかし、受け入れられる年齢層の幅が広くても、中身が受け入れられなければ話にならない。

ここで、フランスで映画が評価される理由は主に二つある。

一つ目は、その映画がきれいであること二つ目は、その映画が絶妙なユーモアセンスを兼ね備えていることである。ジブリ映画にはそのどちらの要素も含まれている。

1-2. 映画が美しい

フランスの映画は、特に自然や風景がきれいに表現されていれば表現されているほど、大衆に気に入られる傾向が強い

ジブリ映画では、説明が要らないほど世界観が膨大で、自然豊かに描かれている作品が多い。例えば『もののけ姫(Princesse Mononoke)』ではアシタカの冒険を通じて、サンやエボシと言った人間や、イノシシやオオカミなどの動物、シシ神やその他の森の精霊たちの関係が描かれており、『風の谷のナウシカ(Nausicaä de la vallée du vent)』でもナウシカや王蟲を通じて、地上の生き物と大自然の関係が非常に豊かに表現されている。

また、他のジブリ作品でも、美しい風景が画面に映るたびに、久石譲の作曲した曲がそれに完全にフィットする形で被せられ、まるで一つの芸術作品のような感覚を呼び覚まされる。例えば、『天空の城ラピュタ(Le Château dans le Ciel)』で主人公のシータとパズーがラピュタに到着し、顔を上げたときに雲が去っていってラピュタの城と木があらわにされるシーンがまさにそうだ。

ぺぎぃの知人のフランス人にもジブリ映画の感想を聞くと、皆口々に「美しい」や「きれい」の言葉を口にする。つまりジブリ映画はフランスで、一種の質の高い芸術作品として認知されているのである。

1-3. ギャグ要素が多い

映画がきれいであることに続いて、フランスで映画が評価される理由の二つ目に、ユーモアセンスがあって面白いことが挙げられると先ほど話した。

・ユーモアが人気のフランス映画の例

良い例として、フランスで知らない人はいないほど人気な『アステリックス(Astérix)』をあげることができる。元の作品は、1959年にルネ・ゴシニとアルベール・ユデルゾによって生み出されたフランスコミックのシリーズであるが、今ではアニメだけではなく実写映画化もされていてフランスでは幅広い年齢層に受けている。一番有名なものでは、『ミッション・クレオパトラ(Astérix et Obélix:Mission Cléopatre)』という映画が存在する。
また、最近のものでは2011年に公開された『最強のふたり(Intouchables)』なども、ユーモア満載の作品で、フランスでは爆発的な人気を誇った。

・ジブリ映画のユーモア性

ユーモアセンスの点では、ジブリ作品も負けていない。

例えば、1993年に初めてフランスで公開され、アヌシー国際アニメーション映画祭で優秀賞を獲得したジブリ映画『紅の豚(Porco Rosso)』でも、空賊マンマユートが誘拐した小さな女の子たちに飛行艇を荒らされまわったり、主人公であるポルコが観光艇の女子たちに「きゃあ、豚さんよ!かわいい!」などと叫ばれたりなど、思わず笑ってしまうような繊細なギャグがちりばめられている。

他にも、例を挙げればキリがないが、『天空の城ラピュタ(Le Château dans le Ciel)』『千と千尋の神隠し(Le Voyage de Chihiro)』でも、ドーラ一家の言動や、ねずみとなった坊とススワタリのやり取りなど、思わず観客をクスっと笑わせてしまうシーンが多々存在している。

つまり、ジブリ映画はユーモアが大好きなフランス人にとって非常に受け入れやすいものとなっているのである。

1-4. 女性がリスペクトされている

最後に、フランスで大衆の支持を受けるために決め手となる点が、「女性の扱い」である。

・フランスは女性の扱いにとても厳しい

フランスでは、男女の平等性が頻繁に議論の話題とされることもあり、非常に女性の扱いに厳しい。

例えば、フランスでも有名な日本の漫画『ドラゴンボール』

男子からの人気は絶大であるものの、女子ウケはあまりしていなく、数年に一回のペースで女性の新聞記者が「『ドラゴンボール』では、戦闘において女性の活躍が少なすぎて、差別だ!」と発言したり、「ランチやチチを見ると、この漫画は女性を家政婦や何かと勘違いしている!」と文句を言ったりしている。

・ジブリ作品は女性がヒロイン

ジブリ映画『ドラゴンボール』のように批判されるような話は一度も出たことがない。

それもそのはず。ほとんどのジブリ作品女性をヒロインに置いており、自らの運命を自分の手で切り開いていくような強い女性たちが多いのである。

これも例を挙げればキリがないが、例えば、『魔女の宅急便(Kiki la petite sorcière)』でもヒロインのキキは自分の歩むべき道と場所を自分で考えて、独り立ちしてくという成長していくというストーリーになっている。

また、『天空の城ラピュタ(Le Château dans le Ciel)』でもヒロインのシータはパズーと協力して敵に立ち向かうことはしても、決して彼に救いを求めたりすることはない。飽くまで、自分の身は自分で守るという精神なのである。ついでにラピュタの運命も守っている。

これが仮に、パズーだけが冒険していて、シータが家でサンドイッチとりんごを拵えるだけの存在であったとしたら、フランスでは「女性を何だと思っているんだ!こんな作品を子供に見せることはありえない!」と反感が多かっただろう。

このように、強い女性を描いている作品はフランスでも批判の的となることが少なく、むしろ女性ウケが非常に良いのである

まとめ

ジブリ映画がフランスで人気な理由:

・視聴可能な年齢層が広い。

・自然や風景が美しく表現されている。

・思わず笑ってしまうようなギャグ要素を含んでいる。

・女性がリスペクトされている。

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フランスで人気なジブリ映画ランキング

では、おまけとしてフランスで一番人気が高いジブリ映画は何か、ネット上で見つけた情報やぺぎぃの知人の評価をもとにランキングを作成してみた。

(なお、観客数のデータはこちらのサイトを参考にしている:https://www.avoir-alire.com/miyazaki-quels-sont-ses-plus-gros-succes-en-france)

2-1. 1位:『もののけ姫(Princesse Mononoke)』

2000年に公開され、映画館に訪れた観客数は約69万人と、観客数こそ他のジブリ映画と比較して多いわけではないが、フランスだけではなくアメリカやその他の国でも圧倒的な人気を誇るのが『もののけ姫(Princesse Mononoke)』である。

広大な自然と世界で繰り広げられる昔の日本を思わせるような物語、また主要登場人物にサンとエボシという二人の強い女性を描いているため、1-4.で説明したような「女性リスペクト」のクリテリアに異議なく合格している。更に、森と人間の戦争シーンが多々登場し、アクション映画としてもとれる一方、久石譲の美しい音楽が重なり、完璧な芸術作品として仕上がっているのが主な理由と思われる。

ぺぎぃの友人や知り合いにも、知っているジブリ映画を訪ねると、ほぼ100%の確立で『もののけ姫(Princesse Mononoke)』が返ってくるほど、認知度が非常に高い。

観客数が69万人しかいなかった理由(ぺぎぃ考察)

フランスで一番人気が高いジブリ作品にしては、『もののけ姫(Princesse Mononoke)』の観客数が少なすぎるのではと疑問に思う方がいるかもしれない。

実際に、フランスでのジブリ映画の観客数をまとめると以下の通りとなる。

・『千と千尋の神隠し』⇒ 144万人
・『ハウルの動く城』⇒ 135万人
・『天空の城ラピュタ』⇒ 93万人
・『崖の上のポニョ』⇒ 91万人
・『もののけ姫』⇒ 69万人

しかし、これらはフランスで公開された年代順にジブリ映画を並べてみれば、ある程度説明がつくとぺぎぃは考える。

まず、『もののけ姫(Princesse Mononoke)』が公開されたのは2000年。その前年にフランスで公開されたのは『となりのトトロ(Mon Voisin Totoro)』という子供向けのジブリ映画である。観客数は大分低く、約37万人。これは、まだフランスでジブリ映画の認知度が然程多くない時期に公開されたというのもが一つ。そして、主役の登場人物が5歳と9歳の女の子たちであり、ストーリーの奥深さも1995年に初めてフランスで公開された『紅の豚(Porco Rosso)』と比較しても、あまり奥行きがあるものとは言えず、多くの観客をがっかりさせてしまったのかもしれないというのが二つ目の理由だと考えられる。
その点、37万人から69万人まで観客数を倍にしたのは『もののけ姫(Princesse Mononoke)』の功績ではないだろうか?

更に、『もののけ姫(Princesse Mononoke)』の次にフランスで公開された映画は2002年の『千と千尋の神隠し(Le Voyage de Chihiro)』、観客数は圧倒的1位を誇る144万人である。これも、『千と千尋の神隠し(Le Voyage de Chihiro)』自体が素晴らしい映画だったことも勿論あるが、前作の『もののけ姫(Princesse Mononoke)』がすでにある程度のファン層を固めていたため、その余波のおかげで爆発的に観客数が増えたものだと考えることもできる。

つまり、前後作品のどちらをとっても、フランス国民に対する『もののけ姫(Princesse Mononoke)』の影響が見られるのである。

2-2. 2位:『千と千尋の神隠し(Le Voyage de Chihiro)』

次にフランスで人気とされているジブリ映画は2002年に公開され、映画館に訪れた観客数が144万人圧倒的1位をほこる『千と千尋の神隠し(Le Voyage de Chihiro)』である。

世界観、ストーリーの奥深さ、登場人物など、あらゆる面で好評を得ているこの作品。音楽がとても良いというコメントも多々見かけた。また、上の考察で書いたように『千と千尋の神隠し(Le Voyage de Chihiro)』は、フランスで2000年に『もののけ姫(Princesse Mononoke)』という作品でジブリ映画の価値観が爆発的に上がった直後に公開された映画であったため、そのダブルパンチの恩恵を非常に受けたものとも考えられる。

2-3. 3位:『ハウルの動く城(Le Château ambulant)』

『ハウルの動く城(Le Château ambulant)』は、『千と千尋の神隠し(Le Voyage de Chihiro)』が莫大な人気を誇ってから少し間をおいて、2005年にフランスで公開された映画である。しかし、それでも映画館に135万人もの観客を映画館に呼び寄せることに成功し、集客数2位の強作である。

このジブリ映画でも、世界観やストーリーの奥深さ、風景の美しさが絶賛されており、『もののけ姫(Princesse Mononoke)』のような冒険の要素と、『千と千尋(Le Voyage de Chihiro)』の「自分探し」の二つの部分を兼ね備えた作品であるため、フランスで非常に人気が高い。実際にハクと千尋の関係と、ハウルとソフィーの関係は非常のよく似ている。

2-4. 4位:『天空の城ラピュタ(Le château dans le ciel)』

そして最後に、ランキング4位を占めるのが、『天空の城ラピュタ(Le château dans le ciel)』である。フランスでの公開は日本で公開されてから17年も過ぎているが、他の上位作品に引けを取らない名作としてフランスでも知られていて、映画館に呼び寄せた観客数も93万人と全作品中3番目に多い。

映画の中にはユーモア要素も多くちりばめられており、世界観&ストーリーと共にバランスが取れている作品である。唯一の欠点は、他の上位作品とは10年ほど年月が離れているため、比較してしまうとビジュアル面では若干劣っていることであるが、映画自体は非常に美しいので然程大きな問題ではない。

2-5. 5位以降のジブリ映画

ここからは、サイトや人によって意見が様々であり、極めて人気が拮抗していて甲乙つけがたいため、まとめて紹介させていただく。

・『となりのトトロ(Mon voisin Totoro)』

『となりのトトロ(Mon voisin Totoro)』は1999年にフランスで公開、映画館の観客数は37万人。ストーリーよりかはキャラクターの知名度が圧倒的に高く、映画を見ていなくても「トトロ」という名前を聞いたことがあるという人がフランスでも多くいる。
「自然が豊かな場所で繰り広げられるかわいいおとぎ話」という感じで楽しみやすい作品である。

・『魔女の宅急便(Kiki la petite sorcière)』

『魔女の宅急便(Kiki la petite sorcière)』は2004年にフランスで公開され、観客数は59万人強『となりのトトロ(Mon voisin Totoro)』を遥かに上回っているが、ぺぎぃの知人の中ではあまりウケが良くなかった。

おそらく2000年に『もののけ姫(Princesse Mononoke)』、2002年に『千と千尋の神隠し(Le Voyage de Chihiro)』、2003年に『天空の城ラピュタ(Le château dans le ciel)』と世界観が豊かなランキング上位が連続して出たすぐ後の2004年に公開されたため、「小さな海の見える街で自分を見つけていく少女の物語」は多少インパクトに欠けていたのかもしれない。

・『紅の豚(Porco Rosso)』

『紅の豚(Porco Rosso)』は1993年に公開された初のジブリ映画。まだ宮崎駿の映画の知名度が然程なかったころにも、17万人もの観客を映画館に集めることに成功し、アヌシー国際アニメーション映画祭で優秀賞を獲得した。

ぺぎぃの友人の中でも未だにコアなファンが非常に多い名作である。

・『風の谷のナウシカ(Nausicaä de la vallée du vent)』

『風の谷のナウシカ(Nausicaä de la vallée du vent)』は2006年にフランスで公開され、ジブリ映画の知名度がフランスで十分に知れ渡っている時期にしては観客数が少し少なめの30万人

個人的には『もののけ姫(Princesse Mononoke)』に引けを取らないほど膨大な世界観が広がっており、自然女性主体の映画が好きなフランス人はもっと人気があってもよい気がするのだが、あまり知名度は高くない。

2004年に公開された『魔女の宅急便(Kiki la petite sorcière)』の代わりに『風の谷のナウシカ(Nausicaä de la vallée du vent)』を公開していたら、もう少しランキングの上位に入っていたのかもしれない。また、1984年に日本で公開されてから、フランスで公開されるまでに22年経過しているという、一番公開まで時間がかかっている老舗作品でもある。

まとめ

フランスでの人気ジブリ映画ランキング:

1位:『もののけ姫(Princesse Mononoke)』

2位:『千と千尋の神隠し(Le Voyage de Chihiro)』

3位:『ハウルの動く城(Le Château ambulant)』

4位:『天空の城ラピュタ(Le château dans le ciel)』

5位以降(引き分け):

・『となりのトトロ(Mon voisin Totoro)』

・『魔女の宅急便(Kiki la petite sorcière)』

・『紅の豚(Porco Rosso)』

・『風の谷のナウシカ(Nausicaä de la vallée du vent)』

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