「フランス語のアクサン(accent)の種類と使い方について教えてほしい」
このような方のためにこの記事では、フランス語で用いるアクサン・テギュ(accent aigu)とアクサン・グラーブ(accent grave)、またアクサン・シルコンフレックス(accent circonflexe)について解説していこう。
- フランス語のアクサン・テギュ「é」の綴りと発音
- フランス語のアクサン・グラーブ「è」の綴りと発音
- フランス語のアクサン・シルコンフレックス「ê」の綴りと発音
- フランス語のトレマ「ë」の綴りと発音
因みにぺぎぃは幼い頃からフランス語に携わってきて、学校でもフランス語の文章や作文などを何度も書いたことがある。しかし、自分で言うのもなんだが、幼稚園時代からほとんどアクサンについて先生から添削されたことがない。
理由は、アクサン・テギュとアクサン・グラーブの使い分け方を既にその時から論理的に理解していたので、新しい単語や聞いたことがない言葉を綴るときにも、間違うことなくアクサンを綴ることができていたのである。
そこで今回の記事では、今までぺぎぃが理解してきた「フランス語のアクサンに対する理論」について解説しよう。これを読めば、ぺぎぃと同じように、新しい単語や知らない言葉が出てきたときにも問題なく綴ることができるようになるだろう。
また最終章では、トレマの使い方と発音についても解説しているので、勇気がある方は是非そこまで読んでもらいたい。
目次
フランス語のアクサンテギュ「é」の綴りと発音
フランス語には、少し特殊なアクサン・シルコンフレックスとトレマを除けば、大きく分けて二種類のアクサンが存在する。アクサン・テギュとアクサン・グラーブである。
フランス人でも書き方が良くわからなかったりするこの二つのアクサンだが、実は見分け方は非常にシンプルで、一度コツを覚えてしまえば、あとは間違うことがなくなる。
まずはアクサン・テギュから見てみよう。
1-1. 基本的なアクサン・テギュの考え方
フランス語のアクサン・テギュ(Accent aigu)とは、『(音が)高い/鋭いアクサン』という意味。母音の「e」を「エ」と発音するために付ける、最も使用頻度が高いアクサンである。
では、一体どのようなときにアクサン・テギュを用いればよいのだろうか?
基本ルール
アクサン・テギュは、アクサンを付ける「e」の後に音が全くないか、はっきりと発音する母音が存在する場合に用いられる。
例えば、「Vétéran(ベテラン)」という言葉は「Vé(ベ)」「té(テ)」「ran(ラン)」の三つの音節に分けることができる。「té(テ)」と「ran(ラン)」のどちらの音節に含まれている母音もはっきりと発音をするので、その前にある「エ」の音の「Vé(ベ)」と「té(テ)」の両個所にアクサン・テギュを付けるのである。
逆に、「Diabète(ディアベット)」は「Dia(ディア)」と「bète(ベット)」の二つの音節から成り立っている。カタカナ表記で考えてしまうと難しいが、基本的にフランス語では、言葉の最後にある「e」の字はあまり大きく発音しない。つまり「bète(ベット)」の場合には、「bè(ベ)」の「エ」の音の後にはっきりと発音する母音が来ないため、アクサン・テギュではなく、アクサン・グラーブが使われるのである。
アクサン・テギュを用いる言葉の例
言葉だけでは少しわかりにくいと思うので、他にもいくつかの例を挙げていこう。
Le petit déjeuner(ル・プティ・デジュネ)= 朝ご飯
⇒ 「déjeuner(デジュネ)」は「dé(デ)」の「エ」の音の後に「jeu(ジュ)」とはっきりと発音する母音が来るため、アクサン・テギュを用いる。
Un canapé(アン・キャナペ)= ソファー
⇒ 「pé(ぺ)」の「エ」の後に音が全くないため、アクサン・テギュを用いる。
Elle est fatiguée(エル・エ・ファティゲ)= 彼女は疲れている
⇒ 「fatiguée(ファティゲ)」の「guée(ゲ)」でも同じように、後ろに音が全くないため、アクサン・テギュを用いる。基本的に過去分詞や形容詞の最後の「エ」の音は全てアクサン・テギュであると覚えておけばよい。
Un événement(エヴェヌモン)= イベント
⇒ フランス語でもよく議論の対象となるこのことば、「événement」。実は「évènement」でも合っていて、アカデミー・フランセーズは正式に「évènement」が正しいとしているが、パソコン上のスペルチェックでは「événement」が優先されている。この違いは、3つ目の音節の「ne(ヌ)」がはっきりと発音されるべきなのか、または無音の「e」を含んでいるのかよくわからないためである。
まぁ、フランス語を勉強中の皆さんには、「子音+単品の「e」」が来た場合には、アカデミー・フランセーズが言うように「はっきりと発音する母音ではない」と考えておけば一番楽なので、「évènement」と書くことを推奨する。
発音について
アクサン・テギュの発音は然程難しいものではなく、基本的には日本語の「エ」と同じ音を出せばよいだけだが、強いて言えば、口を小さく開いて短く発音するのがベスト。
1-2. こんなときにはアクサン・テギュは使わない
先程紹介したように、次に来る音が無音の「e」である場合(=はっきりとした母音ではない場合)には、アクサン・テギュは使われない。
他にも「エ」の音に対してアクサン・テギュを使わない例外がいくつかあるので、以下に紹介しよう。
「エ」の音の次に同じ子音が連続して続くとき
「appellation」、「erreur」、「essentiel」など、「エ」の音の次に同じ子音が連続で続くときには、次に来る母音がはっきりと発音される場合にもアクサンは付ける必要がない。
「エ」の音の次に「x」が来るとき
「exemple」や「exercice」のように「エ」の音の次に「x」がくるときには、アクサンは付けられない。
単語の語尾に「d」「f」「r」「t」「z」が付くとき
「pied」、「clef」、「lancer」、「piquet」、「nez」のように、語尾に「d」「f」「r」「t」「z」が付く単語には、アクサンは不要である。
単語の語尾に「s」が付くとき(アクサン・グラーブ)
「dès」や「près」などのように、「エ」の音の次に「s」がきて、且つそれが複数形の「s」ではない場合には、アクサン・テギュではなくアクサン・グラーブを用いる。
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フランス語のアクサングラーブ「è」の綴りと発音
続いて、アクサン・グラーブについて解説していこう。
2-1. 基本的なアクサン・グラーブの考え方
フランス語のアクサン・グラーブ(Accent grave)とは、『(音が)低いアクサン』という意味で、アクサン・テギュに続き、2番目に使用頻度が高いアクサンである。
アクサン・テギュは、アクサンを付ける「e」の次にくる母音がはっきりと発音されるときに用いると先程説明した。では、アクサン・グラーブはどうだろうか?
基本ルール
アクサン・グラーブは、アクサンを付ける「e」の次に「子音+無音の「e」」、若しくは語尾に「s」(※)が来るときに用いる。
(※)ただし複数形の「s」はカウントしない。
例えば、「frère」や「mère」など、「エ」の音の次に「子音+無音の「e」」が来る単語の場合には、アクサン・テギュではなく、アクサン・グラーブを用いる。また、先ほども紹介した「dès」や「près」のように、語尾に「s」が来るような単語に対しても、アクサン・グラーブが使われる。
このルールは基本的に99%通用すると考えてもらってよいが、極稀に「une lanterne」などのようにアクサンを用いない単語も存在すれば、「une règle」のように「エ」の音の次に「子音+子音+無音の「e」」が来るときにアクサン・グラーブを用いる単語も存在したりする。
アクサン・グラーブを用いる言葉の例
Une sorcière(ユヌ・ソーシエール)= 魔女
⇒ 「sorcière(ソーシエール)」の最後の「エ」は、後に「子音(r)+無音の「e」」が続くため、アクサン・グラーブで書く。
Derrière(でリエール)= 後ろ
⇒ 同じく、「derrière(デリエール)」の場合にも、後に「子音(r)+無音の「e」」が続くため、アクサン・グラーブを用いる。因みに、「de(デ)」の「エ」の音については、後ろに同じ子音「r」が連続して続くため、アクサンは要らない。
Très(トレ)= とても
⇒ 「Très bien(トレビアン)」などで頻繁に目にするこの言葉。語尾が複数形ではない「s」で終わるため、アクサン・グラーブを用いる。
Éphémère(エフェメール)= (時間が)短い
⇒ 「éphémère(エフェメール)」は「é(エ)」「phé(フェ)」「mère(メール)」と3つの音節に区切ることができる。2つ目と3つ目の音節にはそれぞれはっきりと発音する母音が含まれているため、その前に位置する1つ目と2つ目の「エ」の音にはアクサン・テギュを用いるが、3つ目の音節の「mère(メール)」の「エ」の音に関しては、後ろに「子音(r)」+無音の「e」」が続くため、アクサン・グラーブで書くのである。
発音について
アクサン・テギュが口を少しだけ開いて発音するのに対し、アクサン・グラーブはやや口を大きく開き、「エ」の音を少し響かせるように発音する。
2-2. こんな時にアクサン・グラーブは使わない
アクサン・テギュと同じように、以下の場合にはアクサン・グラーブはおろか、アクサンを用いることはない。
「エ」の音の次に同じ子音が連続して続くとき
「belle」、「lunettes」、「tonnerre」など、「エ」の音の次に同じ子音が連続で続くときには、次にくる母音が無音の「e」であったとしてもアクサンは付ける必要がない。
「エ」の音の次に「x」が来るとき
「sexe」や「texte」のように「エ」の音の次に「x」がくるときには、アクサンは付けない。
2-3. 「è」以外の文字、「à」や「ù」について
ついでなので、おまけとして「e」以外の文字に対して用いられるアクサン・グラーブについても少しだけ触れておこう。
これは特に発音面では何も変わることがないため心配はいらないが、逆に言えば「発音は同じだが、意味が異なる単語」、特に場所に関わる単語に対して用いることが多い。
a(動詞 avoir の現在形3人称)⇔ à(前置詞)
la(定冠詞)⇔ là(「ここ」という意味)
ou(「または」を意味する接続詞)⇔ où(「どこ」という意味)
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フランス語のアクサンシルコンフレックス「ê」の綴りと発音
そして更にフランス語にはアクサン・シルコンフレックスという三つ目のアクサンが存在する。この章ではアクサン・シルコンフレックスの由来と使い方について解説していこう。
3-1. 基本的なアクサン・シルコンフレックスの考え方
フランス語のアクサン・シルコンフレックス(Accent circonflexe)は、前記二つのアクサンと比べて使用頻度が低く、また何故用いるのかよくわからないという人が多い。
基本ルール
特になし。
「えっ!?なんだそれは、ぺぎぃこのヤロウ!」と思う方もいるかもしれないが、ぺぎぃには嘘は付けない。アクサン・シルコンフレックスに関しては特に明確なルールは存在しない。なぜなら、アクサン・テギュとアクサン・グラーブとは生い立ちが少し異なるからである。
つまり、アクサン・シルコンフレックスが用いられる単語を全て把握したいという方には、残念ながら「暗記する」という方法以外は存在しない。しかし、言葉の生い立ちや、同じ系列の形容詞や名詞を探してみれば、少しはアクサン・シルコンフレックスを用いる言葉が見つけやすくなるの事実である。
アクサン・シルコンフレックスを用いる理由
アクサン・シルコンフレックスを含む言葉には、古来「s」を用いて書いていた言葉の「s」の部分だけが時代と共になくなって、名残としてその前の母音に付けられたというものが多い。
例えば、「森」という意味の「forêt」は古来「forest」と「s」を用いて書かれていたため、現在は「s」の前にあった「e」の上にアクサン・シルコンフレックスを用いている。その証拠に、形容詞の「forestier」には「s」が残ったままになっている。
他にも「嵐」という意味の「tempête」なども、英語の「tempest」と同じ由来であったり、「病院」という意味の「hôpital」も、もともとは「hospital」と同じ語源である。
大抵の言葉は、形容詞にしてみたり、動詞なら活用してみれば、隠された「s」が浮かび上がってきたりするので、探してみるのも面白いかもしれない。
アクサン・シルコンフレックスを用いる言葉の例
Une fête(ユヌ・フェット)= お祭り
⇒ 類語で「un festival」があるように、昔は「s」が入っていた言葉である。
Un vêtement(アン・ヴェトモン)= 服
⇒ 形容詞にすると「vestimentaire」と「s」が浮かび上がってくる。また、「更衣室」のことをフランス語では「les vestiaires」と言う。
Une bête(ユヌ・ベット)= 生き物(虫や獣など)
⇒ 類語で「une bestiole」という言葉が存在する。他にも英語で「a beast」と言うが、ここでも「s」が元々使われていたことがわかる。
être(エートル)= be動詞のフランス語版
⇒ こちらは少し捻る必要があるが、例えば現在形の3人称では「il est」と「s」が入ったりするため、アクサン・シルコンフレックスが用いられていると思われる。
発音について
アクサン・シルコンフレックスが付く言葉の発音について良く質問を受けるが、基本的にはアクサン・テギュと何ら変わりがない。たまに、「若干長く発音する」と言っている人がいたりする。それは間違いではないが、ぺぎぃとしてはあまり気にしたことがない。
例えば、「森」という意味の「la forêt」と、「工具(ドリル)」の意味を持つ「le foret」とでは、性別によって冠詞が変わる以外は、特に発音に違いはない。
3-2. 「ê」以外の文字、「â」「ô」「û」「î」について
ここでも、飽くまでおまけとしてその他の母音について軽く触れておくが、基本的に考え方は「ê」の時と同じである。
Une pâte(ユヌ・パット)= (小麦粉の)生地
⇒ イタリアン料理などで食べる麺のことを「パスタ(pasta)」と言う。つまり、元々はフランス語でも「s」が用いられていた可能性が高い。
La côte(ラ・コット)= 岸
⇒ 「船を岸に付ける」をフランス語では「accoster」という。
Le goût(ル・グ)= 味
⇒ 「味わって食べる」ことをフランス語では「déguster」という。また、形容詞の「gustatif」にも「s」の面影がみられる。
Une île(ユヌ・イル)= 島
⇒ 英語で「島」のことを「island」と言う。語源は同じである。
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その他、トレマ「ë」について
最後に、フランス語に存在するアクサンにはトレマという四つ目のアクセントがある。
あまり頻繁に見かけるアクサンではないが、ここでは少しトレマについて解説しよう。
4.1 基本的なトレマの考え方
トレマ(Tréma)とは、極稀に見かける母音についた「ë」みたいな二つの点のことである。
基本ルール
トレマは、トレマを付ける母音の前にある母音を強調したいときに用いる。
例えば、本記事で何度も話題に挙げているアクサン・テギュの「aigu(エギュ)」という形容詞は男性形なら「aigu」と書くが、女性形にすると「aiguë」となり、「e」の上にトレマを乗せる必要がある。
通常「gue」の発音は「ギュ」ではなく「グ」に近い無音なので、このトレマを「e」に乗せることにより、その前の母音である「u」の音を強調することができるのである。
トレマを用いる言葉の例
aiguë(エギュ)= 鋭い、高い
⇒ 先ほど見たように、男性形では「aigu」であるが、女性形でも同じ発音を保つため、「ë」の上にトレマを設置する。
un canoë(アン・キャノエ)= カヌー
⇒ 個人的には「canoé」と書かれていたとしても同じ読み方になると思うのだが、「オ」と「エ」の音をはっきりと区別したいためにトレマと入れたものだと考えている。
Noël(ノエル)= クリスマス
⇒ 同じく、「オ」と「エ」の音をはっきりと区別するためにトレマを「e」の上に設置したのだと思われる。
4.2 トレマを含んだ言葉の発音
既に粗方説明したため、追加説明は不要だと思うが、トレマとは「前の母音を強調するため」に用いるアクサンであるので、しっかりと二つの母音を別々に発音するよう意識しておけばよい。
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Merci pour votre explication qui est facile de comprendre pour moi . J’ai une question , Il s’écrit pp (apprendre, approuver) après a. Mais ce n’est pas toujours. Par exemple, (après, aptitude). Quelle est la difference “app” entre “ap”?
Bonjour Poulie,
Désolé pour ma réponse tardive.
C’est une question difficile car souvent, l’étymologie des mots sont très différents.
Par exemple:
– “apprendre” provient du verbe latin “apprehendere”;
– “après” provient du mos latin “adpressum”.
Il n’y a donc pas de logique, du moins française, pour distinguer l’orthographe des deux mots.
Cela étant dit, pour les verbes, la plupart d’entre eux s’écrivent avec deux “p”, comme: apprendre, approfondir, appuyer, appeler, etc.
Il existe seulement quelques exceptions du type: apaiser, apercevoir, apitoyer, aplanir, aplatir, aposter, apostropher, apurer. Donc je vous conseillerais plutôt de considérer que l’orthographe des verbes se fait souvent en “app-“, puis d’apprendre seulement ces quelques exceptions. “Apercevoir”, “apaiser” et “aplatir” sont notamment des verbes très utiles dans la vie courante.
En espérant avoir pu répondre au moins à une partie de votre question.
Peggy
ぺぎぃさん
こんにちは。
動画のほうも見ました。まずはアクソン•グラーブを押さえて、次にアクソン・テギュを押さえれば良いというアドバイスでアクソンに対して気が楽になりました😄
ごまふあざらしさん、
お久しぶりです。動画も見ていただきありがとうございます!
そうですね、基本的に Accent grave の方が覚えやすいので、個人的にはまずそちらを覚えてから、Accent aigu に入るのが楽かなと思います。
「ê」と「ë」はややこしいですが、大部分を占める「é」と「è」はコツさえつかめば非常に簡単です。