「ハーフ、ハーフって最近よく聞くけど、それって一体何者なの?」「日本人じゃないの?国籍はどうなっているの?」
最近では、世界中の人のつながりが増えてきたためか、このような質問を耳にする頻度が多くなってきている。それで今回の記事では、「ハーフとは一体何者なのか?」について説明していきたいと思う。
- ハーフとは何者なのか?
- ハーフとは外国人なのか?
- ハーフとは必ずバイリンガルなのか?
申し遅れたが、本記事の著者であるぺぎぃは、日本人とフランス人の両親の間に生まれた日仏ハーフである。生まれながらにしてハーフとして育ってきたので、人一倍「ハーフとは何者なのか?」という質問に対して敏感であるし、的確に答えることができると思う。
また、ただ単にハーフの定義だけを紹介しても何の面白味もないので、本記事では「ハーフは外国人なのか?」と「ハーフは多言語を話せるのか?」についてもぺぎぃの意見を書いていくとしよう。興味がある方は是非最後まで読んでいただけると、大変うれしいのである。
目次
ハーフとは一体何者なのか?

では、まずは「ハーフとは何者なのか?」の質問に答えていくとしよう。
1. ハーフの定義
ハーフとは英語のHalf(半分)からきていて、「二つの異なる人種の両親のもとに生まれた人」ということである。例えば、ぺぎぃの場合は、母親が日本人で父親がフランス人なので、「日本とフランスのハーフ」ということになる。
まぁ、簡単に言ってしまえば、文字通り「半分日本人で半分フランス人」なので、日仏ハーフと呼ばれるのである。
因みに、母親か父親が既にハーフであった場合には、「4分の1」という意味の「クォーター」という言葉が使われることもある。例えば、日仏ハーフのぺぎぃと、純日本人のぺぎこの間に子供が生まれた場合には、その子供は「フランスのクォーター」ということになる。
2. ハーフの国籍
結論から言ってしまえば、
実は、ハーフと国籍はあまり関係がない
のである。ちゃんと具体例と共に説明していこう。
ハーフでも国籍が一つだけの人はいる
例えばぺぎぃの場合は、先ほど説明したように、母親が日本人で父親がフランス人の日仏ハーフである。また、両親はそれぞれ自分たちの国の国籍を有している。
しかし、ぺぎぃ自身の身分証明書に記載されている国籍は「フランス」のみであり、日本で生活をするには外国人と同様に「ビザ」を手に入れる必要がある。つまり、日本からの扱いは通常のフランス人と何ら変わらない。
理由は、簡単に行ってしまうと、日本とフランスの両国籍が22歳以上からは認められていないためであり、幼少の頃は二重国籍が成立していたが、22歳以上からはどちらかを選ばなくてはならなかったためである。ぺぎぃの場合は別にどちらでもよかったが、とりあえずフランスで生活していたので、フランス国籍を保持した。
つまり、例えハーフであっても、国籍は一つしか持っていないという人も存在する。
ハーフでなくても、多重国籍の人はいる
主に国によって色々と制度や多重国籍に対する法律が異なるのであるが、逆にハーフではなくても多重国籍の人も存在する。
例えば、ぺぎぃの知人には、両親が二人とも純日本人なのに、アメリカで生まれたため、アメリカと日本の両国籍を持っている人がいたりする。
つまり、「ハーフ=多重国籍」というのは間違いであるし、国籍は人や国によって色々と変わってくるので、あまりハーフと国籍との関連性はない。
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ハーフとは外国人なのか?

では、ハーフの正体と国籍について一通り話し終わったところで、続いて「ハーフとは外国人なのか?」の質問に対して答えていきたいと思う。
1. 国籍上は必ずしも「ハーフ=外国人」ではない
先程書いた通り、ハーフと国籍にはあまり関連性がない。つまり、仮に母親や父親が外国人であったとしても、その子供は必ずしも外国人ではないのである。
例えば、再びぺぎぃを例にとって説明すると、ぺぎぃの母親は日本人なので、フランス人から見たら「ぺぎぃの母親=外国人」となる。しかし、ぺぎぃ自身が保持している国籍は「フランス」しかないので、フランス人から見ても「ぺぎぃ=外国人」という方程式は成り立たないのである。
逆に言えば、日本人側からすれば、「ぺぎぃの父親=外国人」で、ぺぎぃの国籍も「フランス」しかないため「ぺぎぃ=外国人」の方程式が成り立つが、仮にぺぎぃが「フランス」ではなく「日本」の国籍を選択していたとすれば、「ぺぎぃ=日本人≠外国人」となっていたはずである。
つまり、ここでも「ハーフ=外国人」というのは、必ずしも成立するものではないことがわかる。
日本のテレビや芸能界で活躍するハーフタレントの多くが、見た目は日本人離れしているものの、「外国人」ではなく「日本人」として扱われるのもそういった理由である。まぁ、あとは勿論差別的なことをしないためもあるだろう。
2. 見た目上は、「どこへ行っても外国人」が多い
上で「ハーフ=外国人ではない」とは書いたものの、日仏ハーフに限らず、中国とドイツ、ベトナムとアメリカなど、明らかに人種が異なる両親のもとに生まれた子供は、本来自分の母国であるはずのどちらの国へ行っても、「外国人」として見られることが多い。
ぺぎぃの場合もフランスの現地校に通っていた時は、「おいっ、日本人!」とか、「そこの中国人ぽいやつ!」と名前ではなく人種で呼ばれていたことがあるし、日本企業で働いていたときにも、「ハロー!僕はアメリカに留学していたから英語が得意だよ」(←?)とか「あの外国人の人」と言われたりした。
まぁ、フランスでも日本でも、誰も悪気があって言っていたわけではなく、おそらく自分たちの国では見慣れない体の部分や特徴がひときわ目立っていたために、あだ名で呼びやすかったのだろう。例えば、名前はわからないが少し体格が良い人に対して、「あの筋肉質な人」と言ったり、見た目が美しい人に対して、「あそこのきれいな人」と言ったりするのと同じような感覚である。
まとめると、どの国に行っても、明らかに人種が異なる両親のもとに生まれた子供は、何かしらそれぞれの国の特徴を体に宿しており、「外国人」として見られてしまうことが多い。それが良いか悪いかは、捉え方次第であるが、ぺぎぃの場合はその特権を「外国人カード」という裏技に変えていた。
3. 知られざるハーフの特権:「外国人カード」
ぺぎぃのような日仏ハーフである場合、フランスで暮らしても「日本人」、日本で暮らしても「フランス人」と外国人に見られてしまっていた。
しかし、ぺぎぃとしては、これは大きな利点であっても、決して欠点ではないと考えている。なぜなら、どこへ行っても「外国人カード」という素晴らしい必殺技が使えるからだ。
外国人カードとは何か?
ここで言う「外国人カード」というのは、何も「在留カード」や「IDカード」などのような物理的なカードを示しているわけではない。「外国人カード」とは、トランプでいうジョーカーのようなものである。
大富豪やその他の一般的なトランプゲームでは、ジョーカーというカード明らかに反則的な効力を持ち、且つその場のルールに従わない。つまり、持っているだけで、その場での自分の立場をを圧倒的に有利にすることができるカードがジョーカー=「外国人カード」なのである。しかも、そのカードは、相手から自分が外国人に見られれば見られるほど強くなるという特殊カードである。
例えば、一人の外国人に日本語で作文を書かせるとしよう。一般の日本時ならすらすら書けて当然な作文であったとしても、外国人ならどうだろうか?「漢字や文法に戸惑うに違いない」「そもそも問題文がちゃんと理解できているのだろうか」と思わないだろうか?
一見すると、これは一種の差別なのかもしれない。しかし、考えてみてもらいたい。自分の国で漢字を使っている中国人や韓国人ならまだしも、今までの人生で漢字を一切使ったことがない欧米人が、数年日本にいたとして、完璧な文法で、一切の間違いのない文章を書くことができないというのは、極自然なことなのではないだろうか?
つまり、「書けなくて当然」「書けなくて仕方がない」というのが当たり前の世界、偏見としてあらかじめ世間の脳内にインプットされているのである。
そこで、ハーフであるぺぎぃが、日本人と同等とは言わないまでも、それに限りなく近い作文を書いたらどうなるか?
『このペンギン、すげぇ…』
となるのは目に見えている。
これが必殺「外国人カード」の威力である。
また、これは日常生活でも大いに役立つ。役所などで難しい説明がわからなかったり、道に迷ってしまったり、飲食店のメニューに読めない品名が書いてあったときなどにも、「外国人だから仕方がない」という偏見のおかげで、何の躊躇もなく、人に尋ねることができる。むしろ、尋ねるたびに「日本語、上手ですね」と褒められる。
これが特権でなくて、何であろうか?しかも、ハーフの場合には、両方の国でその切り札が使えるのである。
外国人カードの罠
「外国人カード」というのは反則技なようなものである。どの国へ行っても「外国人だから」という言い訳が通用するし、自分の母国語であるはずのその国の言葉があまり話せなくても、問題になることはない。
しかし、あまり調子に乗って「外国人カード」を多用してしまうと、一つの大きな罠にはまる可能性もあることについても、ここでは注意しておきたい。
「外国人カード」とは、自分の母国語である言語に対して、「私は外国人なので大目に見てください」と言うためのカードである。すなわち、「私の母国語は他にあるので、この国の言葉はまだ勉強中の外国語なのです」と言っていることになる。
お分かりだろうか?
つまり、自分の得意な言語は他にあると言ってしまっているのである。
日仏ハーフであるぺぎぃを例に話してみよう。日本にいるときには「ぺぎぃはフランス人なので、日本語はあまり話せません」という「外国人カード」を使うことができ、フランスにいるときには「日本語を話す期間が長かったので、まだフランス語に慣れません」という「外国人カード」を使うことができる。しかし、「外国人カード」を両方の国で使ってしまい、しかもそれがばれると、「あれ?このペンギン野郎、結局どちらの国でも満足に話せていないじゃないか。ペテン師め!」となってしまう。仮にどちらの国の言語もペラペラだったとしても、一度失った信用を取り戻すのは難しい。ことさらに「あまりうまく話せないので」と言いふらしていたのが自分自身であるのだから。
つまりハーフにとって、「外国人カード」とはとても便利な必殺技であるが、あまり調子にのって多用してしまうと痛い目を見るので適度に使っていこう!というのがぺぎぃからのアドバイスである。
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ハーフとは必ずバイリンガルなのか?

それでは、最後に「ハーフとは必ずバイリンガルなのか?」という質問について答えていくとしよう。
前章で紹介した「外国人カード」という必殺技も、「二つの言語が母国語並みに話せる」という条件下で初めて効力が最大限に引き出されるので、バイリンガルであれば非常に有利である。
1. ハーフは必ずしもバイリンガルではない
残念なお知らせだが、結論から書くと、
ハーフは必ずしもバイリンガルではない
のである。
ハーフの人の中にも、両親の母国語を片方しか話せない人も数多くいる。それは、育った環境にもよるし、家庭の裕福度、親や個人のモチベーションにもよると思われる。逆にハーフでなくてもバイリンガルとして育ってきた人もたくさんいる。
ぺぎぃの知り合いの中にも、ハーフでありながら、今までフランス語をメインで生活してきたため、自分の母親や父親の国の言葉を話すことができない人も多くいる。
例えば、フランスに住んでいる中国人の多くは、元々の両親がフランスで暮らしている中で出会ったため、仮に100パーセント中国人であったとしても、フランス語しか話せない人が結構いたりする。
また逆に、ぺぎぃが以前ニューカレドニアで出会った日本人家族の子供は、両親がニューカレドニアへ移り住んでからずっとフランス環境で過ごしてきたため、純粋な日本人なのに日仏バイリンガルになっていた。ここでもやはり、育った環境の影響が大きい。
2.【結論】 ではハーフとは一体何者か?
確かにハーフであるからといって、自然と両親の母国語を両方とも使いこなせるわけではない。しかし、ハーフ、もしくは外国人である以上、どのような環境で育ったとしても、少なからず、親の故郷とのかかわりは持つものである。
特に幼少の頃、小学生時代の頃などでは、子供の無邪気さゆえ、周りと異なる部分が注目の的になることが多い。それは、「君はどこから来たの?」という質問であったり、「やーい、○○人!」という呼び方であったりと、形はどうであれ、「自分は他人と違うのだろうか?」「何が違うんだろう?」「何故違うんだろう?」という自分への問いを呼び覚ますきっかけとなることは間違いない。
幼ければ幼いほど、その問いの強さは増すように思える。少なくとも幼い頃のぺぎぃはそうであり、その自問と母親の助けがあったからこそ、フランスの現地校に通って友達とフランス語で話しながら、家では母親と日本語を学ぶという選択肢が生まれたのである。
つまり、「ハーフ=バイリンガル」ではなく、
「ハーフ=幼くしてバイリンガルになるきっかけを与えられた人」
であると、ぺぎぃは結論付けたいと思う。
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Bonjour 初めまして、ぺぎぃさん。
サイト楽しく拝見させていただきました。
私はフランス人の夫と結婚した日本人女で、国際結婚ブログ(https://framugi-manga.com/)を運営している、むぎと申します。
いずれは日仏ハーフの子供が生まれる予定で、こちらのサイトに行きつきました。
それにしてもぺぎぃさん、フランス語環境で育ったのに、すごい日本語レベルですね。日本語を話すのは簡単だと思いますが、こんなにブログで日本語の文章を自由自在に書けるなんて、ものすごい努力されたのだと推察いたします。
私は日本人で、もちろん日本で育ちました。結婚に伴いフランスに移住したのですが、フランス語は難しいし、フランス自体よく分かりません(笑) ぺぎぃさんのサイトで色々勉強させていただきたなと思ってます( ◠‿◠ )
ペンギンの絵もかわいいし、これからも頑張ってくださいね。
Bonjour むぎさん、
コメントありがとうございます。最近、大分ブログの更新をさぼっていたので、返信が遅くなりました。大変申し訳ございません。
これからぼちぼち更新を再開しようと考えていますので、何卒よろしくお願いいたします!