その他、ぺぎぃの雑学

【日本人が知らない】フランスでの常識~その⑪:子供がいるのに、結婚をする気がない?!【海外の反応】

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

最近、特に若い世代のフランス人の中で増えてきているのが、「結婚はしないが、恋人と同棲し、子供を産む」ということである。ぺぎぃの友人や知人にも、「子供が生まれたが、結婚はまだ全く考えていない」という人が多くいる。

これは、日本では考えられないことなのではないか?

恋人と同棲して暮らすというのはまだしも、「子供が生まれても結婚をせずに一緒に暮らす」というのは、恋人たちにとっても、子供自身にとっても、日本では「事実婚」「フランス婚」と呼ばれており、世間の風当たりが冷たくとても現実的ではないような気がする。

では、一体なぜフランスでは、特に社会の目を気にすることがなく、「結婚をせずに子供を育てる」ことができるのか?
今回の記事では、フランスでの結婚事情について語っていこうと思う。

フランスでのカップル生活

まずは、フランスで恋人同士が一緒に暮らす方法を3形態に分けて紹介していこうと思う。

まずは、Mariage(結婚)Union légale(法的関係)とも呼ぶ。これは日本と同じなので、特に細かな説明はいらないと思うが、まとめると、「恋人との永遠の愛を誓う必要がある」「法的に婚姻関係として認められる」「遺産や財産の受け渡しが法的に可能となる」「恋人と別れる際には、離婚手続きを取らなければならない」というものである。まぁ、いわゆる「結婚」というやつである。

次に、特に契約を一切交わさずに一緒に暮らすUnion libre(自由同棲)という形も存在する。これは、ただ単に恋人と同じ屋根の下で暮らしている状態を表すだけであり、誰からの許可も手続きも一切必要ない。会社や保険の制度によっては、Union libre であっても、名前を指名すれば遺産の受け渡しは可能であるが、財産の取り分けの契約などは存在せず、実際に可能なのかはぺぎぃにはわからない。法律上の契約がなければ、おそらく不可能なのではないかと思われる。

最後に、1999年から導入された新制度、Pacte civil de solidarité(共同生活契約)、略してPACSというものが存在する。これは、結婚とは異なり、「永遠の愛の誓い」などはいらずに、恋人同士で気軽に取り交わすことができる契約である。内容としては、共同生活を行う恋人同士に対して「それぞれの資金能力に応じてお互いを助け合う義務」が発生し、「Mariage(結婚)と同等の社会保険や税金の優遇措置」を受け取ることができるものである。また、Union libre(自由関係)と同じく、会社や保険の制度によっては、遺産や財産の受け渡しは可能であるが、義務付けられているわけではない

日本でよく、「事実婚」「フランス婚」と呼ばれているのは、3番目のPACS制度のことであるようだ。

スポンサーリンク


フランスのカップル生活に対する価値観

ぺぎぃが日本にいるときには、「フランス婚」があまりにも有名だったせいか、よく周りに『フランス人は結婚をしないから、男性にとって都合がいい社会だね。』とか、『いいなぁ、フランス。俺も結婚は面倒くさいからしたくない。』と言われることが多かった。

しかし、フランス人にも結婚をする人は多くいるし、結婚をしないからといって、カップル生活を軽く考えているわけではない。特に、PACS(共同生活契約)というのは、「事実婚」として、日本人の目には「軽いもの」として映っているようだが、フランス人と日本人の根本的な考え方や感覚が異なるため、一概に「PACS=悪」とは言えないのではないかと、ぺぎぃは思う。

結婚ではなく、恋人ができることがすべての始まり

まず、フランス人の結婚に対する考え方について見てみよう。たわしの経験談や、友人の生活習慣の観察談を話してみてもよいのだが、それではいまいち信憑性に欠けるため、厚生労働省のデータを見てもらいたい。以下に引用したデータ表を記載する。

 日本韓国アメリカフランススウェーデン
結婚は必ずするべきだ8.032.312.27.010.8
結婚はしたほうがよい56.543.641.226.626.4
結婚はしなくてもよいが、同棲はした方がよい1.92.212.325.628.9
結婚・同棲はしなくてもよいが、恋人はいた方がよい9.413.25.217.812.3
結婚・同棲・恋人はいずれも、必ずしも必要ではない23.57.025.321.318.3
その他0.20.21.50.52.7
わからない0.61.52.31.20.7

資料:内閣府「少子化社会に関する国際意識調査報告書」より厚生労働省政策統括官付政策評価官室作成
(注)1.調査対象者:20~49歳までの男女、各国約1,000人
2.調査時期:2010年10~12月
引用元:http://www.data.go.jp/data/dataset/mhlw_20151014_0190/resource/f9d43a7b-0b35-4575-9979-99f7cf35edb0

上記のデータを見てもらえばわかる通り、日本とフランス、若しくはアジアの国と欧州の国での結婚に対する考え方は全く異なる。日本では、「結婚はした方がよい」=56.5%「結婚はしなくてもよいが、同棲はした方がよい」=1.9%に対し、フランスでは「結婚はした方がよい」=26.6%日本の半分であり、「結婚はしなくてもよいが、同棲はした方がよい」=25.6%と、日本の10倍以上の数値となっている。

また、日本の場合、同棲する・同棲しないにかかわらず、「恋人はいた方がよい」=1.9+9.4=11.3%に対し、フランスでは「恋人はいた方がよい」=25.6+17.8=43.4%と、日本の4倍ほどの数値となっている。

おわかりであろうか?

つまり、結婚をすることが社会的なステータスとなっている日本に対し、フランスでは、恋人がいることが既に社会的に大きな影響を与えることとなっていると捉えることができる。また、日本では、「結婚をせずに同棲する」考え方が1.9%ほとんど受け入れられないのに対し、フランスでは、アンケート調査に答えた人の4分の1以上の人が、「結婚をしていなくても、同棲をした方がよい」と回答している。

つまり、結婚がすべての始まりである日本の考え方に対し、フランスの考え方は恋人になった時点で、既にすべての始まりであることになる。

ここが2つの国の中で一番大きく異なる部分である。

フランス人は本当に結婚しないのか?

次に、フランス人は本当に結婚しないのか?この点の誤解についても、本章では話しておきたい。

結論から言うと、「フランス人だから結婚しない」というのは間違いである。フランス人にも当然、「結婚」という概念は存在するし、実際に結婚をしている夫婦も数多くいる

以下のINSEEのデータを見てもらいたい。

 24歳以下25~29歳30~34歳35~39歳40~44歳45~49歳50~54歳55~59歳60~64歳65歳以上平均
結婚13.829.047.959.068.674.980.585.790.094.172.5
PACS8.719.518.115.09.25.23.82.51.80.77.2
同棲のみ77.551.534.026.022.219.915.811.88.25.220.3

調査時期:2016年、Région Rhône-Alpes
引用元:https://www.insee.fr/fr/statistiques/3305904

見てわかるように、確かに、フランスの34歳以下のカップルの結婚率は5割を下回っていて低いのかもしれない。しかし、年齢とともにカップルの結婚率はどんどん上がっていき45歳以上のフランス人カップルは、4組に3組が結婚している

また、『それは、PACS(共同生活契約)が1999年に導入された制度だから、まだ認知度が低いんだよ。』という反論が聞こえそうだが、よく見ていただきたい

PACS(共同生活契約)を実際に用いている人は本当に多いのだろうか?全世代的に見ても、2割を上回っていることはないし、平均値を見ると、Union libre(同棲のみ)のカップルの数のたった3分の1結婚をしているカップルのたった10分の1のカップルしか、PACS(共同生活契約)を結んでいない。

つまり、「フランス人だから結婚しない」というのは、たわしからすれば大きな間違い。フランス人も、ちゃんと結婚をする人はするのである。

では、何故「フランス人=結婚しない」という誤解が生まれているのか?それをこれから考えていこうと思う。

スポンサーリンク


何故「フランス人=結婚しない」という誤解が生じているのか?

結婚に対する価値観の違い

「共同生活=夫婦=結婚」という観念が強い日本と比較すれば、「フランスで結婚をせずに共同生活を送っているカップルが多い」というのは当たり前の話である。何故なら、フランスでは、共同生活が必ずしもすぐに結婚に結びつくわけではないからである。

日本では、「結婚」自体が一種の社会的ステータスであり、結婚をせずにいつまでも独身で暮らしている人や、恋人がいながら、いつまでも結婚をせずに同棲をしているカップルに対する社会の目が非常に冷たい。そのため、「結婚」に対する価値観がフランスと大きく異なるように思える。

例えば、日本では、結婚をしていないのに子供を授かること基本的にNGとされている。そのため、出産に期限が限定されている日本人女性の多くは、20代後半になると、『早く相手を見つけて、結婚をしなければ。』という思いにせかされ、「婚活」というものを始める傾向にある。フランスでは、そのような考えは存在しない。「結婚」をしていなくても子供は産めるし、結婚をせずに子供を産んで、最終的に結婚すれば、結果は同じという考えである。

他にも、『親が結婚をしていないのに。。。子供がかわいそう。』という意見を日本人からよく聞くことがある。しかし、そもそもの考え方が異なるため、一概にその意見が正しいとは言えない

確かに、日本では、特に期限が設けられていない男性側が、「結婚をしていない」=「永遠の愛を誓う勇気がない、または金銭的に不安定」と見られてしまうため、『まずは親が一人前になってから、子供を産めよ。』という意見が出てくるのは当たり前の話である。

しかし、フランスではどうか?

フランスでは、「出産=結婚」という概念に縛られていないため、「結婚をしていない」というのは、「まだお互いに結婚が必要だとは感じていない」とされることが多く、『子供がかわいそう』と考える人は少ない。つまり、「結婚をしていなくても、カップルとして子供を授かり、二人で育てていく覚悟がある」ということになる。逆に言えば、『既にカップルとしてその境地に達しているため、何をいまさら結婚をする必要があるだろうか?』『金銭面でお互いをサポートするという契約が必要なら、PACS(共同生活契約)で十分だろう。』という考え方の人が多い。たわしの友人にも、そのような考え方をして、結婚をせずにPACS(共同生活契約)のみの取り交わしで、子供を育てている人がほとんどである。

つまり、『子供が欲しい』ために結婚をするというのは、フランスにはあまりない考えなのである。

結婚のまでの準備期間が長い

『では、フランス人はやはり結婚をしないのではないか。』という意見が聞こえてきそうだが、先ほどのデータ表を思い出していただきたい。45歳を超えるフランス人のカップルの74.9%は結婚しているのである。

つまり、フランスでは、「結婚をしない」のではなく、すぐには結婚をしない」と言い換える必要がある。その理由を一緒に見ていこう。

まず、傘の記事で書いたように、フランス人とは非常に合理的であり、且つロマンティストなのである。つまり、先ほど話したように『子供が欲しいために結婚する』というのは理由にならないし『カップルとしてのけじめをつけるために結婚をする』という日本人的な考え方もナンセンスなのである。飽くまで、結婚というのは、カップルとして永遠の愛を誓いあうための儀式であり、一種のお祝いなのである。つまり、一緒に暮らし始めてすぐは、まだ相手と永遠の愛を誓う準備ができていないため、結婚をせずに何年間は一緒に暮らしてみるカップルが多い

では、『いつでも別な相手を見つけられるように、結婚をしないのか』と言われれば、確かにそのように捉えることもできるかもしれない。しかし、それは別に悪いことではない。一夜の過ちのせいで、間違った相手といやいやながら、お互いに一生を共にするよりは、正しい相手を見つけて一緒に暮らした方がよいと、ぺぎぃも思う。つまりは、日本とは根本的な考え方が異なるのである。

離婚をしたくないため、結婚をすぐにはしない

まず、先ほど書いたように、フランス人は非常に合理的な考え方をする生き物なのである。つまり、『まだ、この相手と一生愛し合うことが可能かわからないのに、永遠の愛を誓うことはできない』という考え方が非常に有効になる。日本では考えられないかもしれない。それゆえに、一度永遠の愛を誓ってしまうと、離婚をするためには、膨大な手続きと費用がかかるのである。場合によっては2~3年間も、離婚を申請した相手と一緒に暮らさなければならないこともある。

これまた、先ほど書いたように、「子供」はフランスでは、離婚を取りやめる大きな理由にはならない。両親が別々に暮らしていては、『子供がかわいそう』という考えは勿論フランスにも存在するが、だからといって「子供のために、両親が我慢して一緒に暮らす」というのは、フランスではあまり見ることがない。どちらかというと、「毎日喧嘩をして、ピリピリしている両親のもとで育てるよりは、別れて育てた方が子供にとってもよい」という考え方である。

また、日本とは異なり、フランスでは男女の経済的バランスが取れていることが多く、女性もいつでも独立して別世帯を設けることができるため、結婚さえしていなければ、いつでも別れることが可能なのである。そのため、フランス人のカップルはすぐに結婚はせずに、ある程度相手を見極めるための準備期間を設けることが非常に多いのである。その準備期間の間は、特に永遠の愛を誓ってはいないため、いつ別れても、モラル面では特に問題ないのである。

相手を愛することと、神様の前で相手に永遠の愛を誓うことは別次元

他にも、フランスと日本で違うところは、宗教である。

最近の若い人たちの中では、多少薄れてきてはいるが、未だに「結婚」=「教会で行う」=「神様の前で誓いを交わす」という考えがフランスには存在するのではないか?とぺぎぃは考える。

そのため、「子供」や、「社会の目」「経済的な理由」が相手と別れる妨げにならないフランス人にとって、一番大きな問題は、「神様の前で誓いを交わした」の部分であるような気がする。まぁ、ぺぎぃはキリスト教信者ではないから、断言はできないが、飽くまでフランスで感じた考えである。

つまり、「結婚」とは、相手との契約だけにとどまらず、「神様との契約」にもなっているため、おいそれと行う儀式ではないということになる。相手と、お互いに経済的にサポートをしあうという契約だけが必要なのであれば、PACS(共同生活契約)を取り交わせば問題ないのである。何も、神様の前で誓いをする必要はない。

日本人からは『けじめがない』『覚悟がない』と言われるかもしれないが、その程度の自己満足的な理由で神様に誓いをするのは、むしろ軽はずみな行動なのではないか?もっと長年相手と話し合い、考えを成熟させて、『よし、死ぬまでお互いを愛し合うことを誓おう』と覚悟を決めてから、初めて神様の前に立つべきなのではないかと、ぺぎぃは思う。

また、そう考えれば、何歳になっても結婚をせずに、一緒に暮らしているカップルの存在も理解ができる。ある程度一緒に暮らす期間が過ぎてしまえば、『もう、お互いに愛し合っていることだ、いまさらわざわざ神様の前で誓いを行う必要もないだろう。』となる気がする。

それゆえに、「カップルなのに、結婚をしていない」という人たちに対して、世間の目は然程厳しくはない。『本当に結婚が必要な過程のか、ゆっくりと考えるとよい。』という考え方の方がむしろ多く、逆に離婚に対しては、神への冒涜にも値するため、ものすごく世間の目は厳しくなってくる。離婚の手続きに必要な期間が2~3年というのも、納得ができるのである。

スポンサーリンク


まとめ

色々とぐだぐだと書いてしまったので、少しまとめることにする。

フランスでは、結婚までに、ステップが2つ存在する
まずは、カップルになって、Union libre(同棲)をし、相手と一緒に暮らす覚悟や、子供を産む覚悟があるかどうかを見極める。これがステップ①である。
そして双方に長く一緒に暮らす意思があるなら、PACS(共同生活契約)お互いを金銭的にサポートするという契約を結ぶ。子供が欲しいカップルも、子供を産み、育てていく。この時点で既に、フランス人のカップルはお互いを夫婦として認め合うようになっている。これがステップ②
更に、ステップ②からある程度の年月が過ぎ、お互いに夫婦として成熟してきたら、神様の前で永遠の愛の誓いを交わし、結婚をするカップルが出てくる。これが、フランス人カップルにおける最終段階であり、夫婦としてのゴールである。

つまり、「フランスでは結婚をせずに共同生活を送っているカップルが多い」=「フランス人は結婚しない」という意味ではなく、「フランスでは結婚前の、相手を見極めるステップを大事にするカップルが多い」という意味である。

また、「結婚=夫婦としての生活の始まり」として捉えている日本とは異なり、フランスでは「結婚=夫婦としての生活の最終地点」と考えれば、よりフランス人の考え方が理解しやすいのではないかと、ぺぎぃは考えるのである。

スポンサーリンク

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です