その他、ぺぎぃの雑学

【日本人が知らない】フランスでの常識~その⑫:フランスのストライキは桁が違う【海外の反応】

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フランスでは、ストライキがものすごく多い。最近でも、2018年4月から6月末にかけて、フランス国有鉄道 SNCF(Société Nationale des Chemins de fer Français)の大規模なストライキが続いているため、もはや日本でも知らない人はいないのではないかというレベルまで来ているが、本当にフランスのストライキは規模が大きいのである。

例えば、考えてみてほしい。日本で、JR東日本が3か月間にわたってストライキを起こし国の電車の10分の9と新幹線の10分の7が運航休止となりしかも残った3割の新幹線が全て1~2時間遅延していたらどうなるだろうか?日本経済が完全に麻痺してしまい、まさに、カオスである。しかし、実際にフランスでは、似たようなことが頻繁に起きているのである。

本章では、日常的に起こり得る数々のフランスのストライキとその影響について、ぺぎぃの経験談も含め、紹介していきたいと思う。

ストライキについて

ストライキとは何か?

まず、ストライキとは何か?
ストライキの話をする以上、とりあえず定義を明確に説明しておく必要がある。

ぺぎぃが調べた情報によれば、ストライキとは「とある企業や公共団体の労働者全員若しくは一部により雇用側と雇用形態や給料について交渉するために行う争議行為と定義されている。

活動としては、主に被雇用者(つまり、労働者側)がある一定の期間、雇用側と約束している仕事を行わなかったり街中に繰り出して団結意思を見せることにより、雇用者に対する意見やメッセージを見せつけたりすることが多い。

また、「とある企業や公共団体」と書いたが、最近では「女性のストライキ」「学生のストライキ」など、国に対する国民のストライキが起こることもあり、更に、自分自身の会社に対するストライキではなく、「他の企業に共感する」という意味を含めてストライキを起こす人たちも存在するようである。

例えば、先ほど書いたフランス鉄道(SNCF)の大規模ストライキに伴い、『そうだそうだ!国の処置があんまりだ!』『我々も鉄道会社に賛同するぞ!』と感じた人たちも、看板を持って街中に繰り出し、SNCFの労働者とともに国に対する争議アピールを行っていたため、自分の会社に対する意思表明以外にもストライキを起こすことはできるみたいである。

権利は誰にでもあるのか?

では、ストライキの権利は誰にでもあるのだろうか?

これも、ぺぎぃが調べたところによると、とある一部の公務員を除けば、法律上、ストライキの権利は誰にでもあるようである。また、大きな事件を起こさない限り、「ストライキを起こしたから」という理由で被雇用者が会社をクビにさせられることはないし、同じ理由でストライキに参加した被雇用者の給料待遇や福利厚生が下げられることもない。これも、国の法律上、労働者たちが守られているからである。

また、フランスの労働法(Code du travail )、L1251-10条 第1章によれば、ストライキを起こしている被雇用者の労働力を補うために一時的に他人を雇うことは、ストライキ行動の効果を薄めてしまう可能性があるため、禁しされている。

ただし、ストライキを行うにあたり、被雇用側が注意すべき点は、「ストライキを行う理由争議内容について雇用側に伝える義務がある」ということである。つまり、ストライキの権利は誰にでもあるとはいえ、ストライキを行う理由を明確にしていなければ、ストライキは認められず、被雇用者は労働法にも守られないということである。

しかし、逆に言えば、上司や会社に公式な申告さえしてしまえば、特に前もって『○○日後からストライキのため、仕事をしません』事前に報告する必要はなく猶予期間なしに申告後即座にストライキに入ることが事実上可能であるようだ。

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フランスで起こり得るストライキの種類

それでは、ストライキの定義が明確になったところで、いよいよ、フランスで起こり得るストライキの紹介をしていこうと思う。

交通機関のストライキ

まず、最もフランスで目立っているであろうストライキは、先ほど書いた交通機関のストライキである。交通機関には、SNCFRATPなどの鉄道会社や、Air Franceなどの航空会社も含まれるが、中でも最近特に注目されているのがフランス国有鉄道 SNCFストライキである。

その影響は多大なるもので、一般のフランス人は勿論、学生観光客、観光スポット付近のホテル施設まで、電車の運休により被害を受けている。

「日本のすごいところ~その②:電車が常に時間通り!!」の記事で書いたように、日本の鉄道会社と比較して、ただでさえフランスの鉄道機関は遅延やダイヤルの乱れが目立っているのに、殊更にストライキも多いので手が付けられない。今年も、4月から6月末にかけて、SNCFはフランス全国で大規模なストライキを行っている。

ストライキの理由はさまざまであるが、今回の SNCFのストライキに関しては、現フランス大統領Emmanuel Macron が計画している大規模な「公共部門の改革」への抗議を行うことが一番の理由である。また、同時に数週間にわたりストライキを行っている航空会社 Air France 場合は、好業績に伴うパイロットや機上&地上係員の全給料の6%ベースアップがストライキの理由となっている。

ちなみに、「公共部門の改革」とは何かというと、SNCFのように年間30億ユーロの赤字を出し続け、累積で470ユーロの赤字となっている公共企業を立て直すのが目的となっており、SNCFの場合は、毎年の給料の自動引き上げや、年金の早期受給被雇用者の家族が無料で鉄道に乗りたい放題という優遇処置を廃止していく方向性を取っているのである。

ストライキをやる以前に、まず、頻繁に起こる電車の遅延や、理由のない運休、最近では脱線事故時刻表掲示板の不具合による停止などを何とかしていかないと、いつまでたってもフランス政府やフランス国民の信頼を取り戻すことができず負債は出続けるのではないかとぺぎぃは心配している。ストライキを起こしても、電車が全て運行している日本をSNCFは少し見習った方が良いのかもしれない。

運送会社や郵便局のストライキ

次に、フランスで有名なのが、郵便局長距離トラックなどの運送会社によるストライキである。

こちらの影響も大きなもので、1月に出した郵便物が5月になっても相手先に届かなかったり、高速道路や環状道路上で「エスカルゴ作戦」というデモを繰り広げられることにより、交通機関が麻痺することがあげられる。

ちなみに、「エスカルゴ作戦」とはなにかというと、文字通り「Escargot(カタツムリ)」のように、タクシートラックなどの自動車がわざと徐行して他の一般の自動車の通行を妨げるというものである。まぁ、実際には「徐行」しているため、完全に通行が妨げられているわけではないが、通常速度が時速90~130km/hの高速道路や環状道路で、すべての列にまたがって時速10~30km/hで走行されると、そうとう苛立つことは間違いない

交通法的にOKなのだろうか?と、時たまぺぎぃは思う。確か、130km/hの高速道路での最低速度は時速80km/hだったはず。。。エスカルゴをやってもよいのかな?である。

学校や保育園のストライキ

また、最近、SNCFストライキと並行して行われた大規模なストライキが、学校保育園ストライキである。まぁ、これに関しては説明は不要だと思うが、要は学校や保育園を封鎖して、生徒や子供を受け入れなくするものである。

ぺぎぃも学生のころ、朝学校につくと、学校の門が太いチェーンによって閉ざされておりストライキに参加している先生やその他の従業員、若しくは近所の暇なおじさんたち門の前でバーベキューを行っていた光景が印象的であった。『あり?何で学校の前で人が群がっているの?』『あ?チェーンがしてある。』『あ!ソーセージを焼いている!!ぺぎぃにもくりろ!という反応である。

ちなみに、今年の4月~5月にかけては、またもや現フランス大統領Emmanuel Macron大学入学革命に反対する生徒たちが学校を封鎖し、他の学生たちが勉強できないようにしていた。Emmanuel Macron の政策とは、「大学の入学における生徒の選別」合法化するもの。つまり、成績の良い生徒から順に良い大学に入る権利を与えるものである。

日本人から見たら当たり前のようであるが、「自由・平等・博愛」をモットーとするフランス人国民から見たら、これは学生の「平等」の権利に反するというわけである。

とはいえ、ストライキデモ活動を行っている学生の大半は成績が不十分で、この制度が公式となったら大学へ進むことができないものばかり。。。その生徒らが、まじめに勉強をするために学校に来ている生徒たちを殴ったり、テストを阻害したり、図書館を占領したり、まさにカオスである。

ぺぎぃからしてみれば、このような危なっかしいデモ活動を行っている生徒たちから、『俺たちも大学に入れさせろ!』『平等の国だろう!成績順に並べているんじゃねぇ!』と言われても、いまいち説得力に欠ける気がするし、破壊工作を行っている時間があれば、テスト勉強をしていた方が良いと思うのだが。。。まぁ、あまり深くは考えていないのだろう。

その他、病院やゴミ収集屋のストライキ

今まで書いてきたストライキの他にも、病院ゴミ収集屋のストライキといった、もう少しマイナーなストライキも存在する。一応、最近でも、SNCF学校ストライキと並行して病院のストライキがあったそうだが、正直言ってぺぎぃはあまり影響を感じてはいない。その期間中に医者にかからなかったからであろうか?ぺぎぃは健康体だからな。

しかし、これらの影響力ははかり知れないのである。考えても見ただろうか?人生をかけた大手術の日に、『あ、今日はストライキなので先生がいません。また次の日に予約を取り直してください。』と言われたら、どうなるだろうか?ただでさえ、街中が日本よりも汚いのに、ゴミ収集車が1ヶ月間も来なかったら?しかも、イースタークリスマスの時期など、ゴミが増える時期と重なったら?

想像しただけで恐ろしいのである。しかし、実際にこのような事態がフランスでも起きているし、今後起こり得ると思われる。

いかがだっただろうか?

いくら、政府や会社に争議するためとはいえ、ストライキを起こすことによって顧客にまで大ダメージを与えるのでは、自分たちのイメージダウンにしかつながらない気がしてならない。特に、SNCFAir Franceフランスの郵便局などは海外や観光客から、「遅れて当たり前」のようにとられてしまっているため、国の機関として『このままでよいのか?』大統領企業のトップたちが考えるのは当たり前のことである。

それを、すこし改革を起こそうとするたびに、一々ストライキを起こされたのでは、たまったものではない。全くストライキを起こさない日本人や、ストライキを起こしまくるフランス人を扱っている企業トップや大統領尊敬、である。

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