その他、ぺぎぃの雑学

なぜ『ジョジョの奇妙な冒険』はまだフランスでは人気が少ないのか?

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今年の3月1日から、フランスのNetflixに(ようやく)『ジョジョの奇妙な冒険』の1部、2部、3部が登場し始めた。

日本では絶大な人気を誇るこのアニメ作品、略称「ジョジョ」は、日本の漫画家の荒木飛呂彦による漫画作品で、1986年からドラゴンボール』『聖闘士星矢』『キャプテン翼』と同じ雑誌である『週刊少年ジャンプ』にて連載されていた。

フランスでも、既にKazé のDVDやBlue-rayで販売はされていたものの、大手オンラインプラットフォームで登場するのは今回が初めてとなる。

では、日本で大人気の『ジョジョの奇妙な冒険』一体なぜ、今までフランスでは日の目を見ていなかったのだろうか?

今回の記事では、その点について深堀していこう。

ジブリ映画が海外で人気な理由【フランス編】ジブリ映画がなぜ海外でも爆発的な人気を誇っているのか、考えたことがある人はいないだろうか?この記事では、フランスの例を中心に、ジブリ作品が人気な理由を解説していく。また、フランスでの人気ランキングも搭載しましたので、興味がある方はご覧ください。...

フランスでアニメ化されるのが遅かった『ジョジョ』

フランスで漫画が人気になる秘訣は結構単純で、アニメ化されていることである。

例えば、有名なものでは『ドラゴンボール』『NARUTO』などがあるが、これらは実際にアニメとほぼ同時に漫画がフランスで有名になっていっている。

逆に、『銃夢』などは、最近映画化されたから少し話題になり始めたものの、短編アニメしか存在していないためフランスでは知名度が低いままである。

では、『ジョジョの奇妙な冒険』の場合はどうだろうか?

1. 遅いアニメ化

『ジョジョの奇妙な冒険』が正式にアニメ化されたのは2012年になってからである。日本でもその頃に、新たな「ジョジョブーム」が生まれていた。

実は1993年に、「ジョジョ」第3部である『スターダストクルセイダース』のOAV版が登場しているが、これは126巻もある漫画のごく一部のアニメ化でしかないため、フランスで人気を広げるには到底足りなかったと思われる。

2. Club Dorothéeの波に乗り遅れる

『ジョジョの奇妙な冒険』と同じ時代に『週刊少年ジャンプ』にて連載されていた漫画がフランスで有名になれたかどうかの鍵は、Club Dorothée を通じてフランスのテレビで放送されていたか否かで大きく左右されている

Club Dorothée とは:

TF1チャンネルで1987年から1997年まで放送されていたフランスのアニメチャンネルである。

例えば、フランスでも有名な『ドラゴンボール』『キャプテン翼』などは、早期からClub Dorothée でアニメ版が放送されており、まずはアニメ版から入って、その後に漫画版を購入するというフランス人のファンが多かった。

しかし、2012年になってようやく正式にアニメ化された『ジョジョの奇妙な冒険』では、完全にこのClub Dorothée の波から外れてしまった

これが、この作品が今までフランスで認知されていなかった大きな理由の一つである。

異例な漫画「ジョジョ」は人気が出にくい

1. 他に類を見ない独創性と奇妙さ

他にも、フランスでまだ人気がでなかった理由として、『ジョジョの奇妙な冒険』が他に類を見ない、長さと、複雑さと、豊かさ独創性奇妙さ全て兼ね備えた作品というものがある。

ぺぎぃも本当に初期のころは、ジョナサン・ジョースターとディオ・ブランドーのライバル関係が永遠と描かれている漫画だと思っていたが、話のテンポがものすごく早く、ほんの数話で二人は少年から青年に成長し、吸血鬼、波紋、子孫などどんどん話が盛り上がっていくので非常に驚かされた。

ぺぎぃ
ぺぎぃ
こんなにアップテンポで進むストーリーは初めてだったよ。

また、「ジョジョ」ならではの独特な絵柄や登場人物のあり得ないポーズなども初めはとっつきにくかったが、実際に数話見てしまうと、全く問題がなく、むしろもっと脳がそれを要求するのが不思議であった。

それゆえに、フランスで『ドラゴンボール』『聖闘士星矢』などに慣れ親しんでいる人が、急に『ジョジョの奇妙な冒険』の世界に飛び込むには結構ハイレベルな勇気好奇心がいるのかもしれない。最初の一歩を踏み出すまでは特に...

2. 「ジョジョ」という独立したジャンル

・ フランスで人気のジャンルはバトルアクション

ちなみに、『ジョジョの奇妙な冒険』とはどのジャンルに属する漫画なのか、考えてみた人はいるだろうか?

フランスや世界で人気の漫画を再び見てみると、『ドラゴンボール』や、『NARUTO』『ONE PIECE』など、バトルアクション漫画が非常に多いことが明らかである。『キャプテン翼』は少し異なるかもしれないが、対決という面では一緒なのかもしれない。

・ 独立したバトルアクションを繰り広げる「ジョジョ」

『ジョジョの奇妙な冒険』にも戦闘シーンは存在するが、ここでも他とは少し異なる戦闘法が用いられているのが特徴だ。

まずは、武術の一種である波紋。身体能力を十数倍に引き上げる呼吸法によって、1部と2部で主人公のジョジョたちは対吸血鬼戦を繰り広げることになる。

また、3部からは「スタンド」という実体化された超能力のようなもので、主人公のジョジョとその仲間は敵と戦うことになるのである。

ここで、最も特徴的かつ独創的なのは、この「スタンド」というものは他の漫画のように、必ずしも物理的な力で攻撃をするものではなく、装飾に影響を与えたり、ビデオゲームの形をとることができるということである。

つまり、少しマニアックな説明になってしまうが、『ジョジョの奇妙な冒険』のバトルアクションは必ずしも『ドラゴンボール』のような「パンチ対キック」や「かめはめ波対ギャリック砲」のような力の戦いになるわけではない。

むしろ『ジョジョの奇妙な冒険』では、力の戦いではなく、知性の戦いとなることがほとんどだ「ジョジョ」2部のジョゼフ・ジョースターの戦い方を見てみればわかるように、ほぼ毎回相手の戦力のほうが圧倒的に上なのにも関わらず、手品のネタやずる賢い知恵のようなもので抜け道を見つけているのである。(場合のよっては死んだふりをして逃げることも...

・ 「ジョジョ」には独自の世界観がある

新聞記者であり「Jojo’s Adventure Bizarre : Le diamant inclassable du manga」の著者であるFrederico Anzalone氏もこう語っている:

« L’horreur gothique à la Hammer pour la première, Phantom Blood, le pulp tendance Indiana Jones pour Battle Tendency, l’épopée pour Stardust Crusaders, le thriller pour Diamond Unbreakable, la mafia italienne pour Golden Wind, la prison de femmes pour Stone Ocean, la course de chevaux pour Steel Ball Run, et l’après séisme de 2011 pour JoJolion. » (Part 1「ファントムブラッド」ではHammerのような吸血鬼のホラー、Part 2「戦闘潮流」ではインディ・ジョーンズのような物語、Part 3「スターダストクルセイダース」では叙事詩のようなもの、Part 4「ダイヤモンドは砕けない」ではサスペンス、Part 5「黄金の風」ではイタリアンマフィア映画、Part 6「ストーン・オーシャン」では女性の刑務所話、Part 7「スティール・ボール・ラン」では競馬、そしてPart 8「ジョジョリオン」では東日本大震災の被災地〈を思わせるような世界観が広がっている〉。)(参考:https://www.20minutes.fr/arts-stars/serie/2728095-20200229-video-jojo-bizarre-adventure-netflix-quoi-manga-culte-japon-meconnu-france

つまり、ただのバトルアクション漫画とは異なり、各部で独特の世界観とジャンルが繰り広げられているのが『ジョジョの奇妙な冒険』の大きな特徴でもあるのだ。

ぺぎこ
ぺぎこ
「たしかに、フランス人も含め、いきなり大衆のハートを掴むためには、少し凝った漫画のようね。
ぺぎぃ
ぺぎぃ
そうなんだよ、でもそこが「ジョジョ」の魅力でもあるんだ。それに気づいたフランス人が最近どんどん増えていっているよ。

「ジョジョ」はこれからフランスで人気になっていく

1. 知っている人は知っている

とまぁ、これまで「フランスではまだ『ジョジョの奇妙な冒険』があまり知られていない」として記事を書いてきたが、実は既にコアなファンは存在している。だてにフランスは漫画の消費者が世界2位の国ではない。

例えば、フランスのYoutube界では割と有名な漫画評論家の LeChefOtaku 『ジョジョの奇妙な冒険』の非常に優れた世界観について絶賛しており、視聴者にお勧めしている。(参考:https://www.youtube.com/watch?v=XBG8q2EY1d8

また、2007年に文化庁が実施した世論調査でも、『ジョジョの奇妙な冒険』は1位の『スラムダンク』に続いて史上2番目に優れた漫画として選ばれていた。

これも「ジョジョ」がそれなりに世界に名を響かせていることを物語っているのではないだろうか?ちなみに、第3位は先ほどから例に挙げている『ドラゴンボール』である。

2. Netflix でこれから知名度が上がる

そして、まだ「ジョジョ」を知らないフランス人の大部分はこれからNetflixでその奇妙な物語を発見することができるとぺぎぃは期待している。

実際に、Netflix France の公式ツイッターでも、今年の3月1日から『ジョジョの奇妙な冒険』がフランスのNetflixで公開されることを宣伝していて、今では既にみられる状態になっている。

今のところは、1部から3部までしか公開されていないが、Frederico Anzalone氏が言う「90年代で最も華やかな少年漫画(青年漫画?)」である「ジョジョ」の世界観に浸るには十分すぎると思われる。

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