文法:冠詞

不定冠詞「un/une」と定冠詞「le/la」の使い分け方【フランス語の文法】

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はい、本日は「ぺぎぃのフランス語講座~その⑪」ということで、フランス語で用いられる Article indéfini(不定冠詞) un/une Article défini(定冠詞) le/la の使い分け方について解説していこう。

ちなみに、皆さんすでにご存じかと思うが、不定冠詞 unune、または定冠詞 lela の使い分けにいたっては、男性名詞女性名詞の違いからきているものである。男性名詞には不定冠詞 un定冠詞 le女性名詞には不定冠詞 une定冠詞 la を用いるのである。

男性名詞女性名詞の見分け方については、【フランス語】文法~その③:男性名詞と女性名詞の見分け方【フランス語】文法~その⑤:男性と女性、2つの性を持つ特殊な名詞一覧を読んでみることをお勧めする。過去にぺぎぃが書いた記事である。

https://onsenpeggy.com/grammaire-francaise-avec-peggy/

個体の場合の考え方

今回の難しいところは、話している内容が「個体」についてなのか、それとも「総称」であるのかによって、不定冠詞 un/une 定冠詞 le/la の意味合いが異なってくるところである。

説明が難しいので、いくつかの例を交えて説明していこうと思う。まずは「個体」の場合の考え方からみてみよう。

1. 個体の場合の不定冠詞 un/une

ここで指す「個体」というのは、一般的若しくは全体としてとらえられた物事ではなく、個々の独立した物事として扱われたもののことを指す。例えば、「猫」の場合は、「動物としての猫」ではなく、「そこを歩いている猫」または「特定されていない一匹/数匹の猫」というものを「個体」として扱うものとする。

基本的に、指している名詞が個体の場合は、特定されていない/することができないものに対して不定冠詞 un/une を用いる。英語に置き換えると、a/an の使い方に似ている。

Un pingouin se promène sur la glace. (ペンギン氷の上を散歩している。)

Une hirondelle chante sur le toit de la maison. (燕家の屋根の上で歌っている。)

上記で用いた例では、Un pingouin というのはどこのどのペンギンか特定されておらず、飽くまで氷の上を一羽のランダムなペンギンが歩いているという意味である。

また、燕の場合にも同様に、どこのどの燕というわけではなく、家の屋根の上で、一羽の燕が歌っているという状況である。

ぺぎこ
ぺぎこ
要は、「一人の~」「一匹の~」「一つの~」という場合には、不定冠詞を用いるということね。
ぺぎぃ
ぺぎぃ
そういうことだね!

2. 個体の場合の定冠詞 le/la 

不定冠詞とは対照的に、指す名詞が特定できる/されている場合には定冠詞 le/la を用いる。英語で言うと、the の使い方と同じである。

Le pingouin qui s’appelle Peggy marche sur la glace. (ぺぎぃというペンギン氷の上を歩いている。)

Le perroquet de Pegiko chante sur le toit de la maison. (ぺぎこのオウム家の屋根の上で歌っている。)

今回の例では、le pingouin は、不特定多数のペンギンの中の一羽というわけではなく、ちゃんと「ぺぎぃという名前のペンギン」特定されているため、定冠詞 le を用いている。

また、オウムの場合も先程の燕とは違い、「ぺぎこの飼っているオウム」特定されたオウムについて話しているため、定冠詞 le を用いている。La を持ちないのは、Perroquet が男性名詞だからであって、仮に燕を飼っていたのだとしたら、L’hirondelle (= l(a)’ hirondelle)となる。 

例外というわけではないが、文脈によっては以下のように不定冠詞を用いることも可能である。少し、凝ったフランス語のため、参考程度にお読みいただければ幸いである。

Un pingouin qui s’appelle Peggy marche sur la glace. (ぺぎぃというペンギンが氷の上を歩いている。)
=> ニュアンスとしては、「一羽のペンギンが氷の上を歩いていますが、彼の名前はぺぎぃみたいですよ」ということ。飽くまで話している方も、話し相手の方もぺぎぃのことを知らず、氷の上を歩いているペンギンを一羽発見したところ、何らかの拍子(例えば首輪など)で、そのペンギンの名前がぺぎぃだと発覚した場合に用いることができる。

Un perroquet de Pegiko chante sur le toit de la maison. (ぺぎこのオウムが家の屋根の上で歌っている。)
=> 意味としては、「ぺぎこのオウム」ということに変わりはないのだが、今回は「ぺぎこのオウム」というだけでは、屋根の上にいるオウムがどのオウムなのか特定できないということ。例えば、ぺぎこが何羽もオウムを飼っている場合には上のような文になる。

3. 通常、定冠詞を用いる単語例

2.で説明したように、特定された/することができるものを示す場合には、定冠詞 le/la を用いるのであるが、以下に通常定冠詞で表すことができる単語例を紹介しようと思う。覚えておいて損はない。

3-1. 世界に一つしか存在しないもの

誰が聞いても、何について話しているのかがはっきりしている、世界に一つしか存在しないものについては、定冠詞 le/la 必ず用いる。特に地理関係に多い。

la Terre(地球)、l’Univers(宇宙)、la France(フランス)、le Japon(日本)、l’hémisphère Sud(南半球)、l’Océan Pacifique(太平洋)、etc.

3-2. 素材や色など

特別な場合(例えば、「濃い赤」「薄い赤」を判別して話すときなど)を除けば、通常素材や色などは定冠詞を用いることが非常に多い

la farine(小麦粉)、le sel(塩)、le pain(パン)、l’eau(水)、le bois(木材)、le métal(金属)、le noir(黒色)、le rouge(赤色)、etc.

ぺぎこ
ぺぎこ
じゃあ、食卓で「Tu peux me passer du sel?」というのは間違いなの?
ぺぎぃ
ぺぎぃ
細かい状況にもよるけど、通常は「Tu peux me passer le sel?」と言うほうが多いよ。

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総称の場合の考え方

では、次に、総称の場合の冠詞の使い分け方について述べていこう。ここでいう「総称」というのは例えば、一匹の犬」とかではなく、一般的な意味での「犬」「動物としての犬」について指すときのことである。

1. 単数形の名詞:un/une でも le/la でもよい

基本的に、総称で物事を表す際には、不定冠詞 un/une を用いても、定冠詞 le/la を用いても問題はない。どちらとも、文法的にもニュアンス的にもほとんど等しいのである。

Il y a beaucoup d’arbres dans une forêt.(森には木が多く存在する。)
または、Il y a beaucoup d’arbres dans la forêt.(森には木が多く存在する。文)⇒ 文法的にOK

Le chat est un animal qui miaule. (猫はニャーと鳴く動物である。)
または、Un chat est un animal qui miaule. (猫はニャーと鳴く動物である。)⇒ 文法的にOK

あとは好みの問題なのだが、ここで一つだけぺぎぃの感覚で言わせていただくと、一つ目の例文「森には木が多く存在する。」の場合には、不定冠詞 une を用いたほうがより一般論ということを強調することができる

なぜなら、定冠詞 la を用いた場合には、特定された森の話をしているということも考えられるため(例えば、話している現在、森の中を散歩している場合)、飽くまで一般論を述べたいのであれば、不定冠詞 une を用いることをお勧めする。

また、二つ目の例文の場合には、ほぼどちらの冠詞を用いても問題ないのだが、今回は「様々な動物が存在する中で、猫は~」という意味合いで、ある程度特定された動物について話しているため、定冠詞 le を用いた文章の方が響きはよい。

ぺぎぃ
ぺぎぃ
あとは感覚の問題だからね、説明が難しいよ。。。
ぺぎこ
ぺぎこ
基本的に「○○は皆~」という場合は、どちらを使ってもよいと覚えておけばよいのね。

2. 複数形の名詞:定冠詞 les

単数形の場合は、不定冠詞 un/une を用いても、定冠詞 le/la を用いても問題ないということを話してきたが、複数形の名詞の場合は、さらに簡単になる。なぜなら、総称を表す際には、不定冠詞複数形 des は用いず、定冠詞複数形 les しか用いないからである。

つまり、迷うのであれば、総称を表したいときには全て定冠詞の複数形 les を用いておけばとりあえず問題はなくなる

Un français aime bien se plaindre. (フランス人は文句を言うのが好きだ。)
または、Le français aime bien se plaindre.(フランス人は文句を言うのが好きだ。)
⇒ 複数形:Les français aiment bien se plaindre.(フランス人は文句を言うのが好きだ。) 

先程の例からも:
Il y a beaucoup d’arbres dans les forêts.(森には木が多く存在する。)
Les chats sont des animaux qui miaulent.(猫はニャーと鳴く動物である。)

ぺぎぃ
ぺぎぃ
これで簡単だね!

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練習問題

1. 冠詞を用いて穴を埋めよ

1. Viens vite manger! ___ soupe va refroidir!(早く来なさい!スープが冷めちゃうわよ!)

2. J’ai ___ oncle qui habite au Japon. C’est ___ frère de ma mère.(私には日本に住む叔父がいます。母の弟です。)

3. Ce n’est pas ___ Soleil qui tourne autour de la Terre mais ___ Terre qui tourne autour du Soleil.(太陽が地球の周りをまわっているのではなく、地球が太陽の周りをまわっているのだ。)

4. Ce matin, j’ai vu ___ facteur.(今朝、郵便屋さんを見かけたよ。)

5. Pourrais-tu me passer ___ poivre s’il te plaît?(胡椒を取っていただけますか?)

6. Cet orchestre joue drôlement bien. J’aime surtout ___ son du violon.(このオーケストラは非常にいい音楽を奏でているね。特にバイオリンの音色が好きだ。)

7. ___ voiture se conduit généralement à droite en France.(フランスでは、自動車は一般的に右側走行です。)

8. “Quel temps fait-il aujourd’hui?” “___ temps nuageux.”(『今日はどんな天気かい?』『曇っているよ。』)

2. 「個体」か「総称」か?

 「個体」「総称」
1. Les enfants qui courent dehors sont les fils de mon frère aîné.  
2. Une couette ne s’utilise qu’en hiver.  
3. Le vent souffle très fort ici.  
4. La bibliothèque est fermée aujourd’hui.  
5. L’école est obligatoire pour tous.  
6. Les fantômes n’existent pas.  

解答&解説

1. 冠詞を用いて穴を埋めよ

1. Viens vite manger! La soupe va refroidir!(早く来なさい!スープが冷めちゃうわよ!)

2. J’ai un oncle qui habite au Japon. C’est le frère de ma mère.(私には日本に住む叔父がいます。母の弟です。)

3. Ce n’est pas le Soleil qui tourne autour de la Terre mais la Terre qui tourne autour du Soleil.(太陽が地球の周りをまわっているのではなく、地球が太陽の周りをまわっているのだ。)

4. Ce matin, j’ai vu le facteur.(今朝、郵便屋さんを見かけたよ。)

5. Pourrais-tu me passer le poivre s’il te plaît?(胡椒を取っていただけますか?)

6. Cet orchestre joue drôlement bien. J’aime surtout le son du violon.(このオーケストラは非常にいい音楽を奏でているね。特にバイオリンの音色が好きだ。)

7. Une/La voiture se conduit généralement à droite en France.(フランスでは、自動車は一般的に右側走行です。)

8. “Quel temps fait-il aujourd’hui?” “Un temps nuageux.”(『今日はどんな天気かい?』『曇っているよ。』)

1. La soupe va refroidir!
=> 文脈から、発言している方も会話相手も、どの「スープ」について話しているのか知っていることが推測できる。つまり、特定されたものなので、定冠詞 la を用いる。

2. J’ai un oncle qui habite au Japon.
=> 「一人の叔父さんは~」という意味であるため、不定冠詞 un を用いる。叔父さんが一人しかいなかったり、会話相手が知っている相手だったとしたら、J’ai l’oncle qui habite au Japon ではなくMon oncle habite au Japon となる。

C’est le frère de ma mère.
=> 既に誰について話しているのかわかっているので、定冠詞 le を用いる。 仮に、叔父さんが複数人いたとして、「そのうちの一人」という意味合いであった場合は C’est un frère de ma mère. と文法的に言えなくもないが、onclefrère de ma mère であることは当たり前なので、発言自体が無意味なことになる。

3. Le Soleil, La Terre
=> 世界に一つしか存在しないものであるため、定冠詞を用いる。

4. J’ai vu le facteur.
=> 文法的には、J’ai vu un facteur でも別によいのだが、通常郵便屋さんについて話すときには、「郵便屋さんを一人見た」というよりは「(いつもの)郵便屋さんを見た」という意味であるため、定冠詞 le を用いるのが正解。

5. Pourrais-tu me passer le poivre?
=> 文脈にもよるが、料理をしている場合には胡椒は材料という扱いになるので、通常定冠詞 le を用いる。また、食卓の話であるならば、通常胡椒のビンが目に入っていて、『とってくれる?』と尋ねる場合が多いので、ここでも定冠詞 le がしっくりとくる。
もし本当に胡椒があるのかわからず、『あったらちょうだい』という意味なのであれば、部分冠詞 du (de + le) を用いて Pourrais-tu me passer du poivre? と言ってもよいが、本日の主題ではない。

6. J’aime surtout le son du violon.
=> 「バイオリンの」音と特定しているので、定冠詞 le を用いる。

7. Une/la voiture se conduit généralement à droite en France.
=> 総称として、一般論を述べているので、不定冠詞 une を用いても、定冠詞 la を用いてもよい。

8. Un temps nuageux.
=> 様々な天気の可能性がある中で、特に特定されていない「一つの天気」として今日は曇っているという意味なので、不定冠詞 un を用いる。

2. 「個体」か「総称」か?

 「個体」「総称」
1. Les enfants qui courent dehors sont les fils de mon frère aîné. 
2. Une couette ne s’utilise qu’en hiver. 
3. Le vent souffle très fort ici. 
4. La bibliothèque est fermée aujourd’hui. 
5. L’école est obligatoire pour tous. 
6. Les fantômes n’existent pas. 

1. Les enfants qui courent dehors sont les fils de mon frère aîné. (外を走っている子供たちは、私の兄の子供たちです。)
=> 明らかに総称ではなく、特定された個人の話である。

2. Une couette ne s’utilise qu’en hiver.(掛け布団は冬にしか使いません。)
=> 一般的な掛け布団すべてのことである。(=総称

3. Le vent souffle très fort ici.(ここでは風がとても強い。)
=> 世の中すべての風ではなく、「ここ」での特定された風の話である。

4. La bibliothèque est fermée aujourd’hui.(図書館は今日しまっているよ。)
=> 総称ではなく、特定の図書館について話している。

5. L’école est obligatoire pour tous.(学校は全員の義務である。)
=> 総称である。特定の学校について話しているわけではない。

6. Les fantômes n’existent pas.(お化けは存在しない。)
=> 一般論である。(=総称)単数形で、Un fantôme n’existe pas と言うことも可能。意味は同じである。

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