フランス語で良く聞く「条件法(Conditionnel)」とは一体何なのか?
また、どのようなときに使えばよいのか?
この記事では、以上の点について例文を用いてわかりやすく説明していきたいと思う。
- フランス語で条件法の用法
- フランス語条件法の活用の仕方(現在形&過去形)
フランス人と会話をしているときに、「おや?この動詞の形はどういう活用だろうか?」と思ったり、「ここは条件法を用いるんだよ」と指摘されたことはないだろうか?
実はフランス語では、可能性や不確定な要素に対して表現するとき、例えば「もし○○なら、△△するのに」と表現したりする際に「△△」の部分の動詞に対して「条件法(Conditionnel)」を用いたりするのである。
英語を勉強した人なら多少は馴染みがあるかもしれないが、日本語ではこのような妙な活用は存在しないため、この記事ではフランス語で条件法を用いる場面やフレーズの紹介と、条件法現在と条件法過去の活用方法についてまとめることにする。
もし、「フランス語の授業で勉強したけれど、よくわからなかった」という方がいれば、とりあえずこの記事を読んでみてみることをおすすめする。また、質問などがあれば、遠慮なくコメント欄や問い合わせフォームからぺぎぃに直接お問い合わせください。
目次
フランス語の条件法の用法
早速この章では、フランス語の条件法の用法について解説していくとしよう。
簡単に言ってしまうと、考え方としては英語の条件法と全く同じで、「would」を用いるときと同じ場面でフランス語でも条件法を用いると考えるのが良いだろう。
まだ、条件法の活用の仕方に馴染みがなかったり、わからないという方は、2章目の「フランス語の条件法の活用の仕方」を参考にしてみるとよい。
1-1. 非現実的な仮定や願望に対して
基本ルール
「もし○○なら、△△するのに」と、非現実的な仮定や願望を表現する文章では、「もし○○なら」の部分で半過去、「△△するのに」の部分で条件法を用いる。
条件法が用いられる一番多くのケースは、「もし○○なら(Si …)~」と非現実的な空想や願望を表現したい場合である。これは英語の仮定法とよく似ている。
この場合、「もし○○なら」の部分では半過去(Imparfait)を用いる。
非現実的な空想や願望ではなく、現実的に起こり得ることを示す際には、「半過去+条件法」ではなく「直説法現在+単純未来(Futur simple)」が用いられる。
非現実的:
Si je gagnais au loto, je serais riche.(もし宝くじで当たることがありさえすれば、金持ちになるだろう)
現実的:
Si je gagne au loto, je serai riche.(もし宝くじで当たれば、金持ちになる)
非現実的な仮定や願望の例文
1. Si j’étais encore jeune, je l’aurais épousé.(まだ若ければ、彼女と結婚していただろう)
⇒ 残念ながらもう若くはないため、願望は叶わない非現実的なものである。
2. Si Peggy se levait tôt, il ne serait jamais en retard à l’école.(もしぺぎぃが早起なら、学校に遅刻することはないだろうに。)
⇒ ぺぎぃが早起きをすることは非現実的というニュアンス。
3. Si nous habitions à Paris, nous irions à l’Opéra tous les jours.(もし我々がパリに住んでいたなら、毎日オペラ座に行っていることだろう。)
⇒ 実際に「我々」はパリに住んでいないので、非現実的な願望を表す。

1-2. 推測や憶測に対して
基本ルール
不確定な憶測や推測に対して言い表すとき、条件法を用いる。
条件法を用いる代表的な用法の二つ目として、憶測や推測、疑惑が挙げられる。
例えば、人から聞いた話や、実際に起こったかどうかわからない不確定なできごとについて話すときには、「il serait …」や「il aurait …」と条件法を用いるのである。
例えば、日本のニュースで良く耳にする「○○をした疑いで逮捕されました」という文脈は、容疑者が実際に犯行を犯したのかどうかわからないため、フランス語では「il serait accusé de ○○(彼は○○の容疑で~)」と条件法を用いて言い表すことが多い。
推測や憶測の例文
1-1. Selon Pegiko, Peggy ne serait pas le coupable.(ぺぎこによると、ぺぎぃは犯人ではないようです。)
⇒ 飽くまで「ぺぎこによると」という意味で、自分はまだ疑惑を抱いている。
1-2. Selon Pegiko, Peggy n’est pas le coupable.(ぺぎこによると、ぺぎぃは犯人ではありません。)
⇒ ぺぎこが言っていることではあるが、自分もそれが正しいと信じている。
2-1. D’après la météo, il ferait beau demain.(天気予報によると、明日は晴れるらしいが。)
⇒ 天気予報は明日の天気が良いと言っているが、「本当かなぁ」と疑っている。
2-2. D’après la météo, il fera beau demain.(天気予報によると、明日は晴れです。)
⇒ 天気予報が言っているので、間違いないだろうという意味。
1-3. 過去における未来に対して
基本ルール
過去における未来に対して話す際、条件法を用いる。
少し特殊な条件法の使い方として、過去における未来に対して話したいときに用いることができる。
「過去における未来」がどういうことかと言うと、例えば「昨日」の段階で「おそらく明日は雨だろう」と言っていた場合、過去の「昨日」から未来の「今日」に対して発言していたこととなり、「過去における未来」が成立する。
今の文をフランス語で表現すると、例えば以下のようになる:
A) Peggy a dit hier: “il pleuvra demain”.(ぺぎぃは昨日、「明日は雨だ」と言っていた)
B) Peggy a dit hier qu’il pleuvrait aujourd’hui.(ぺぎぃは昨日、今日は雨だろうと言っていた)
C) Peggy a dit hier qu’il allait pleuvoir aujourd’hui.(ぺぎぃは昨日、今日は雨だろうと言っていた)
A)の文では、ぺぎぃが昨日発言した内容をそっくりそのまま書いてあるので、単純未来を用いているが、B)やC)の文ではそれを同じ文内で表しているため、単純未来ではなく、条件法や近未来の半過去を用いて書くことになる。
意味合いはB)もC)も大体同じである。
つまり、条件法を用いれば、過去における未来について言い表すことができるようになる。これは、英語の「will」に対する「would」の使い方によく似ている。
過去における未来の例文
1. Jusqu’à hier, je pensais encore qu’on pourrait rentrer à temps.(昨日までは、まだ時間通りに帰宅できると思っていた)
⇒ 近未来の半過去を用いて:「qu’on allait pouvoir rentrer」とも言うことができる。
2. L’année dernière, personne ne s’imaginait que la Covid-19 viendrait envahir tous les pays.(去年までは、誰もコロナウィルスが全世界に広まると考えていなかった)
⇒ 近未来の半過去を用いて:「allait venir envahir」とも言うことができる。
3. Pegiko m’a envoyé une lettre la semaine dernière. Elle disait qu’elle arriverait sûrement en deux jours mais elle n’est toujours pas arrivée. (先週ぺぎこが手紙を送ってくれた。おそらく2、3日で届くだろうと言っていたが、まだ到達していない)
⇒近未来の半過去を用いて:「qu’elle allait arriver」とも言うことができる。
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1-4. 後悔・非難・助言に対して
基本ルール
「△△すればよかった」と後悔や非難を表現するときや、
「○○をすればどうだろうか?」と助言をする際に、
「devoir」や「pouvoir」などの条件法を用いる。
「1-3.」の過去における未来や「1-1.」の非現実的な願望にも少し紐づくが、「△△すればよかった」と自分の過去の後悔や、他人の過去に対する非難をするときや、「○○をしてみればどうだろうか?」と相手に対して助言をする際に、動詞「devoir」と「pouvoir」の条件法を用いることができる。
尚、後悔や非難の場合は、過去に対して発言することが多いため、動詞「avoir」の条件法現在と動詞「devoir」と「pouvoir」の過去分詞「dû」と「pu」で構成される条件法過去を用いるのに対し、
助言をするときには、現在や未来に対して言うことが多いため、条件法現在を用いることが多い。
条件法過去の活用についてより詳しく知りたい方は、第2章で説明しているので、読んでみることをおすすめする。
後悔や非難の例文
1. Oh non! Il n’y a plus de place! J’aurais dû aller acheter les billets plus tôt!(しまった!席がもうない!もっと早く切符を買いに行けばよかった!)
2. Pauvre Pegiko! Peggy aurait pu l’aider un peu à faire ses devoirs quand même!(可哀そうなぺぎこちゃん!ぺぎぃも彼女の宿題くらい手伝ってあげればよかったのに!
3. Tu aurais pu me le dire!(言ってくれてもよかっただろう!)
⇒ 「言ってくれてもよかったんじゃないの?」のようなニュアンス。
4. Tu aurais dû me le dire! (言ってくれよ!)
⇒ 「言わないとダメだろ!」のようなニュアンス。「pu」を用いた「3.」の文よりも強い。
助言の例文
1-1. Vous devriez aller voir un médecin.(医者に行くべきだと思います。)
⇒ 直訳すると、「医者に会いに行くことが義務でしょう」という意味。
1-2. Je vous conseillerais d’aller voir un médecin.(医者に行くべきだと思います。)
⇒ 直訳すると、「医者に会いに行くことを助言します」という意味。
2-1. Pour progresser en français, tu pourrais par exemple essayer de lire à haute voix.(フランス語で上達するには、例えば声を出して読んでみてはどうだろうか?)
⇒ 直訳すると「声を出して読んでみるのが可能なのではないか?」という意味。
2-2. Pour progresser en français, je te dirais par exemple d’essayer de lire à haute voix.(フランス語で上達するには、例えば声を出して読んでみてはどうだろうか?)
⇒ 直訳すると「声を出して読んでみるのがいいと私は言う」という意味。
1-5. 丁寧な言い回しや口調の緩和がしたいとき
基本ルール
丁寧な表現や、口調の緩和がしたいときに、
直説法の代わりに条件法を用いる。
基本的に、直説法を使った文よりも、条件法を用いた文の方が丁寧な意味合いになることが多い。
この理由は「1-1.」で説明したように、条件法は非現実的な仮定や願望に対して用いられる活用というのが大きく影響しているように思われる。
例えば、直説法では「Pouvez-vous ○○(○○できますか?)」と言うのに対し、条件法を用いることによって「Pourriez-vous ○○(○○していただけますか?)」と、より丁寧なニュアンスを伝えることが可能である。
つまり、
非現実的な要望であることは十分承知しておりますが、どうか○○をしていただくことは可能でしょうか?
のような意味合いになるのである。
これは英語の「Can you ○○?」をより丁寧に言う時に、「Could you ○○?」と表現するのと同じ原理である。
参考として、以下にフランス語で最もよく用いられる質問のフレーズをまとめておこう:
直説法 | 条件法 |
Peux-tu … ? / Pouvez-vous … ? (~できますか?) | Pourrais-tu … ? / Pourriez-vous … ? (~をしていただけますか?) |
Est-il possible de … ? (~は可能ですか?) | Serait-il possible de … ? (~は可能でしょうか?) |
Veux-tu …? / Voulez-vous … ? (~ほしいですか?) | Voudrais-tu … ? / Voudriez-vous … ? (~はいかがでしょうか?) |
Aimerais-tu … ? / Aimeriez-vous … ? (~をされたいですか?) | |
Es-tu … ? / Êtes-vous … ? (~ですか?) | Serais-tu … ? / Seriez-vous … ? (~でしょうか?) |
As-tu … ? / Avez-vous … ? (~ありますか?/~を持っていますか?) | Aurais-tu … ? / Auriez-vous … ? (~はおありですか?/~をお持ちでしょうか?) |

条件法を用いた語気緩和の例文
1-1. Il n’y a plus de pain. Peggy, est-ce que tu peux aller en acheter?(パンがもうない。ぺぎぃ、買いに行ける?)
⇒ 「買いに行って」と半強制的な質問。
1-2.Il n’y a plus de pain. Peggy, est-ce que tu pourrais aller en acheter?(パンがもうない。ぺぎぃ、買いに行ってくれるかな?)
⇒ 「申し訳ないけど、買いに行ってくれないかな」というニュアンス。
2-1. Est-il vraiment impossible de régler le problème aujourd’hui?(今日中にこの問題を解決することは本当に不可能ですか?)
⇒ 「本当にできないの?なんで?」という些か強い質問。
2-2. Serait-il vraiment impossible de régler le problème aujourd’hui?(今日中にこの問題を解決することは、本当に不可能なのでしょうか?)
⇒「今日中に解決したいのですが…どうしても無理でしょうか?」というニュアンス。
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フランス語の条件法の活用の仕方

ここでは、フランス語の条件法(Conditionnel)の活用について解説していこう。
時制的には、「条件法現在(Conditionnel Présent)」と「条件法過去(Conditionnel Passé)」の二つの時制しか存在しないため、割と簡単に覚えることができるはずである。
2-1. 条件法現在(Conditionnel présent)
基本ルール
条件法現在の作り方
= 直説法単純未来の前半 + 直説法半過去の後半
フランス語の条件法現在はとても簡単で、基本的には、直説法の単純未来の前半部分に、直説法半過去の後半部分「-ais」、「-ais」、「-ait」、「-ions」、「-iez」、「-aient」を付け足すことによって、活用することができるのである。

動詞「Avoir」と「Être」条件法現在
例として、以下の表にフランス語で最も使われる動詞「Avoir」と「Être」の直説法単純未来と条件法現在の活用をまとめておこう。
Avoir | Être | ||
直説法(単純未来) | 条件法(現在) | 直説法(単純未来) | 条件法(現在) |
J’aurai | J’aurais | Je serai | Je serais |
Tu auras | Tu aurais | Tu seras | Tu serais |
Il/Elle aura | Il/Elle aurait | Il/Elle sera | Il/Elle serait |
Nous aurons | Nous aurions | Nous serons | Nous serions |
Vous aurez | Vous auriez | Vous serez | Vous seriez |
Ils/Elles auront | Ils/Elles auraient | Ils/Elles seront | Ils/Elles seraient |
このように、「Avoir」の場合は、単純未来「J’aurai, tu auras, …」の前半部分「aur-」に半過去の後半部分である「-ais」、「-ais」、「-ait」、「-ions」、「-iez」、「-aient」を付け足すことによって条件法現在の活用ができる。
また、「Être」の場合も、単純未来「Je serai, tu seras, …」の前半部分の「ser-」に半過去の後半部分「-ais」、「-ais」、「-ait」、「-ions」、「-iez」、「-aient」を付け足せばよいのである。
2-2. 条件法過去(Conditionnel passé)
基本ルール
条件法過去の作り方
= 条件法現在の「Avoir」か「Être」+ 過去分詞
条件法過去に関しては、更に簡単で、先ほど紹介した動詞「avoir」と「être」の条件法現在さえ覚えてしまえば、あとは複合過去のような感じで目的の動詞の過去分詞を後ろにくっつければよいだけである。
動詞「Pouvoir」と「Aller」の条件法過去
一例として、動詞「Pouvoir」と「Aller」の条件法現在と条件法過去を以下の表にまとめておこう。他の動詞も同じように、条件法過去の活用をすることができる。
Pouvoir | Aller | ||
条件法(現在) | 条件法(過去) | 条件法(現在) | 条件法(過去) |
Je pourrais | J’aurais pu | J’irais | Je serais allé |
Tu pourrais | Tu aurais pu | Tu irais | Tu serais allé |
Il/Elle pourrait | Il/Elle aurait pu | Il/Elle irait | Il serait allé Elle serait allée |
Nous pourrions | Nous aurions pu | Nous irions | Nous serions allés |
Vous pourriez | Vous auriez pu | Vous iriez | Vous seriez allés |
Ils/Elles pourraient | Ils/Elles auraient pu | Ils/Elles iraient | Ils seraient allés Elles seraient allées |

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ぺぎぃさん、こんにちは。今日も分からないところがあります! 3. Pegiko m’a envoyé une lettre la semaine dernière. Elle disait qu’elle arriverait sûrement en deux jours mais elle n’est toujours pas arrivée. (先週ぺぎこが手紙を送ってくれた。おそらく2、3日で届くだろうと言っていたが、まだ到達していない) この文章で最後、elle n’est toujous pas arrivèe. となぜ、複合加工機
ごめんなさい!誤送信!
複合加工機(爆)!!
複合過去(受動態?) になるのでしょうか。。。
elle n’arrive toujous pas と思ったのですが。
また教えてください! お願いします。
Angieさん、こんにちは!コメントありがとうございます!
良いところを突いてきますね。しばらく考えてみましたが、結論から申し上げると、どちらも正しいと思います。伝えたい内容によります。
①「La lettre n’est toujours pas arrivée」は「手紙はまだ到達していない」、
②「La lettre n’arrive toujours pas」は「手紙はまだ到達しない」、
日本語の文にしてみるとニュアンスが伝わりやすいかと思いますが、①の文は「本来はとっくに到達していてもよかったのに、まだ到達していない」と過去目線で話しています。しかし、②の文では、「もうそろそろ到着しても良いはずなのに、まだ到着しない」と現在/未来目線で話しています。
肯定文にして考えることもできます。
①は「La lettre de Pegiko est (déjà) arrivée」=「ぺぎこの手紙は(もう)届きました」、
②は「La lettre de Pegiko arrive」=「ぺぎこの手紙が届きます」
となります。
複合加工機(爆)は受けました!(≧▽≦)