フランス語を勉強している人が良くする質問に「リエゾンをするか、しないかってどのように見分ければよいの?」や「リエゾンって絶対にしなければいけないの?」というものがある。
そこでこの記事では、アカデミー・フランセーズのサイトに載っている情報を参考に、フランス語ではどのようなときにリエゾンを行い、どのようなときにはリエゾンをする必要がないのかを解説していくとしよう。
- フランス語のリエゾンの規則
- リエゾンとアンシェヌマンとの違い
まず、そもそも「リエゾン」とは一体何なのだろうか?
いきなり言葉で説明するよりも、例文を見たほうがわかりやすいと思うので、とりあえず、以下の二つの文を見てみよう:
A) Peggy et Pegiko sont des pingouins. (ぺぎぃとぺぎこはペンギンです。)
B) Peggy et Pegiko sont intelligents. (ぺぎぃとぺぎこは頭が良いです。)
この A) と B) の二つの文を一つの文にまとめると:
A) + B) Peggy et Pegiko sont des pingouins intelligents. (ぺぎぃとぺぎこは頭が良いペンギンです。)
となる。
「はぁ?頭が良いペンギンだから何なんだよ?ぺぎぃなんて知らねぇよ、ボケ!」とお考えのあなた。ちょっと待たれよ!まぁ、ぺぎぃの読者の皆様にはそのような品性のない方はいないと思うが…
実はなんと!
A) + B) の文では既にリエゾンが発生しているのである!
さて、では一体それはどこなのか?
実は「des pingouins intelligents」の部分では、カタカナ表記にすると普段は「デ・パングワン・アンテリジョン」となるところが、複数形の「s」のせいで「デ・パングワン・ザンテリジョン」となるのである。
つまり、
リエゾンとは、普段は発音されることのない「単語の語尾にある子音」が、次にくる「単語の語頭にある母音」(または無音の「h」)と一緒に発音される現象のことを指す。
ということである。
こう書いてみると、特に難しいことはなく、何てことないように聞こえるかもしれないが、チッチッチ、ここがフランス語!リエゾンをする場合やそうでない場合など、多数の規則や例外が存在する。
そこでこの記事では、フランス語でリエゾンをするときの規則のようなものを紹介していくとしよう。
最後まで読めば、あら不思議。今まで難解だったフランス語のリエゾンの法則が見えてくる…かもしれない。

目次
フランス語のリエゾンの規則

それではこの章では、フランス語でリエゾンをするべき単語の法則と、するべきではない単語の法則に分けて解説していくとしよう。
1-1.では「リエゾンをするべき単語」、1-2.では「リエゾンをするべきではない単語」について書いてあるので、興味がある記事から読んでいただければ幸いである。
ちなみに、参考にしたアカデミー・フランセーズのサイトはこちら:https://www.academie-francaise.fr
1-1. フランス語でリエゾンをするべき単語の規則
フランス語のリエゾンとは、語尾が子音の単語(A)と、語頭が母音(または無音の「h」)の単語(B)の間で行われるものである。
ここでは、リエゾンをするべき単語のリストを挙げていくとしよう。
① 冠詞/限定形容詞と名詞の間
語尾が子音の冠詞(A)または限定形容詞(A)の後に、語頭が母音(または無音の「h」)の名詞(B)が続くとき、二つの単語の間でリエゾンをする。
まずは、最もシンプルでわかりやすい例である。
語尾が子音の冠詞には不定冠詞の「un」、「des」や定冠詞の「les」、語尾が子音の限定形容詞には指定形容詞の「ces」や所有形容詞の「mes」や「tes」などを挙げることができる。
- un (n) ami (友達/単数形)
- des (z) amis (友達/複数形)
- les (z) enfants (子供たち)
- ces (z) hommes (あの男たち)
- tout (t) homme (全ての男/人)
- mes (z) oranges (私のオレンジ/複数形)
(※)カッコ内の子音は、リエゾンの時の発音を表す。
② 形容詞と名詞の間
語尾が子音の形容詞(A)の後に、語頭が母音(または無音の「h」)の名詞(B)が続くとき、二つの単語の間でリエゾンをする。
ここでも形容詞が登場する。
注意すべき点は、「形容詞→名詞」の順ならリエゾンを行うが、「名詞→形容詞」の順にならリエゾンは行われないという点である。
例えば、「un savant aveugle」と書くとき、
- 「savant」が形容詞で「aveugle」が名詞の場合には:un savant (t) aveugle
- 「savant」が名詞で「aveugle」が形容詞の場合には:un savant aveugle
と読むのである。
- un grand (t) ami (偉大な友人)
- un ancien (n) habitant (古い住居人)
- d’immenses (z) appartements (大きなアパート/複数形)
- de bons (z) hommes (良い男たち)
- six (z) heures (6時/6時間)
(※)カッコ内の子音は、リエゾンの時の発音を表す。
③ 代名詞と動詞の間
語尾が子音の代名詞(A)の後に、語頭が母音(または無音の「h」)の動詞(B)が続くとき、または語尾が子音の動詞(A)の後に、語頭が母音の代名詞(B)が続くとき、二つの単語の間でリエゾンをする。
これは割と簡単なルールである。おそらく、フランス語を勉強したての人でも、自然と身についている場合が多いだろう。
例えば、複数形の人称代名詞「nous」や「vous」や「ils/elles」に母音から始まる動詞が続くとき、間にリエゾンがされるため、「z」のような発音が差し込まれる。
また、動詞の後に「y」や「en」などの中性代名詞や、「ils/elles」などの人称代名詞が続く際にも、リエゾンを行うのである。
- nous (z) aimons (私たちは好きです)
- vous (z) aimez (あなたたちは好きです)
- ils/elles (z) aiment (彼ら/彼女らは好きです)
- vas-(z)y (行け/単数形)
- allez-(z)y(行け/複数形)
- donnez-(z)en ((少し)あげろ)
- je vous (z) en prie (どういたしまして)
- ils (z) y vont (彼らはそこに行きます)
(※)カッコ内の子音は、リエゾンの時の発音を表す。
④ 非人称の「est」と続く単語の間
非人称の「est」(A)の後に、語頭が母音(または無音の「h」)の単語(B)が続くとき、二つの単語の間でリエゾンをする。
これは少しわかりにくいかもしれないが、「est」とは「être」動詞の三人称の活用のことなので、主語となる代名詞「ce/c’」や「il」が非人称の時、そして「est」の後に続く言葉が母音から始まるとき、リエゾンを行うという意味である。
例えば、「彼はここです」と表現するときと、「ここです(非人称)」と表現するとき:
- il est ici (彼はここです)
- c’est (t) ici (ここです)
「il est ici」の場合にはリエゾンをしないのに対し、「c’est (t) ici」の場合には非人称なのでリエゾンをするのである。まぁ、これはぺぎぃも今回初めて知ったようなものなので、特にこだわりがなければ「il est ici」にリエゾンを加えてしまっても問題ないような気もする。
- c’est (t) ici (ここです)
- c’est (t) à voir (これは考えものだな)
- il est (t) évident qu’il viendra (彼が来ることは明白です)
- il est (t) impossible qu’il vienne (彼が来ることは不可能です)
(※)カッコ内の子音は、リエゾンの時の発音を表す。
⑤ 短い副詞と隣接する単語の間
語尾が子音の短い副詞(A)の後に、語頭が母音(または無音の「h」)の単語(B)が続くとき、二つの単語の間でリエゾンをする。
これは、実はアカデミー・フランセーズのサイトには、「副詞と、それに密着する単語間ではリエゾンがされる」と書かれている部分である。
しかし、「密着する」の定義が不可解なため、ぺぎぃなりに「短い副詞」と勝手にアレンジさせてもらった。
実際に、アカデミー・フランセーズのサイトに挙げられている例を見てみると:
- trop (p) étroit (とても狭い)
- bien (n) aise (気楽)
となっている。
これが、仮に「vraiment」などの長い副詞だった場合には「vraiment étroit」とぺぎぃはリエゾンをしないほうが自然と考えるため、今回は「短い副詞」と限定させていただく。
フランス語は基本フィーリングなのだ。
- trop (p) important (大事すぎる)
- très (z) avantageux (とても有利)
- bien (n) avancé (よく進行している)
(※)カッコ内の子音は、リエゾンの時の発音を表す。
⑥ 短い前置詞とそれに続く単語の間
語尾が子音の短い前置詞(A)の後に、語頭が母音(または無音の「h」)の単語(B)が続くとき、二つの単語の間でリエゾンをする。
ここで言う「短い」とは「音節が一つしかない」ということである。例えば「dans」や「chez」などの前置詞を考えてみればよい。
- dans (z) une heure (大事すぎる)
- dans (z) un bocal (瓶の中)
- chez (z) elle (彼女に家)
- chez (z) un ami (友達の家)
- dès (z) aujourd’hui (今日から)
(※)カッコ内の子音は、リエゾンの時の発音を表す。
⑦ 一部の複合語やフレーズ
これはもう、規則と言うよりは、「そういう発音の言葉」として覚えたほうが簡単な気がするが、アカデミー・フランセーズのサイトによると、「多くの複合語やいくつかの特殊なフレーズの中でもリエゾンがされることがある」と記されている。
- un pot (t)-au-feu (ポトフ)
- mot (t) à mot (一言一言)
- de temps (z) en temps (時々)
(※)カッコ内の子音は、リエゾンの時の発音を表す。
まとめ
それでは次に進む前に、一旦「リエゾンを行う単語」のリストを以下にまとめておくとしよう。
① 冠詞/限定形容詞と名詞の間
② 形容詞と名詞の間
③ 代名詞と動詞の間(どちらの順でもOK)
④ 非人称の「est」と続く単語の間
⑤ 短い副詞と隣接する単語の間
⑥ 短い前置詞とそれに続く単語の間
⑦ 一部の複合語やフレーズ
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1-2. フランス語でリエゾンをするべきではない単語の規則
フランス語のリエゾンとは、語尾が子音の単語(A)と、語頭が母音(または無音の「h」)の単語(B)の間で行われるものである。
が、しかし、フランス語にお馴染みの皆様ならお分かりだろうが、この言語にはいつもどおり、多数の例外が存在する。
そこで、ここでは、リエゾンをするべきではない単語のリストを挙げていくとしよう。
① 接続詞「et」の後
接続詞「et」の後は、仮に語頭が母音の単語が続いたとしてもリエゾンはしない。
まずは、比較的覚えやすいルール。
それは、接続詞の「et」の後に如何なる単語が続いたとしてもリエゾンで「et」の語尾の「t」を読むことはしない、と言うものである。
- un chat et un chien (猫と犬)
- une fourchette et un couteau (フォークとナイフ)
- un pingouin et une tulipe (ペンギンとチューリップ)
- un chat et (
t) un chien (友達/単数形) - une fourchette et (
t) un couteau (フォークとナイフ) - un pingouin et (
t) une tulipe (ペンギンとチューリップ)
(※)カッコ内の子音は、誤ったリエゾンの発音を表す。
② 単数形の名詞の後
単数形の名詞の後は、仮に語頭が母音の単語が続いたとしてもリエゾンはしない。
続いて、二つ目のルールは、単数形の名詞の語尾に子音があったとしても、続く単語とはリエゾンは行わないというもの。
これは少しわかりにくいが、例えば「une souris」や「un temps」のように、単数形でも語尾に「s」が付く言葉を想像してみれば理解しやすいと思う。
- une souris agile (機敏なネズミ)
- un temps idéal (理想の天気)
- un matelas orange (オレンジ色のマット)
- un vêtement artisanal (職人の服/手作りの服)
- un loup agressif (好戦的な狼)
- une souris (
z) agile (機敏なネズミ) - un temps (
z) idéal (理想の天気) - un matelas (
z) orange (オレンジ色のマット) - un vêtement (
t) artisanal (職人の服/手作りの服) - un loup (
p) agressif (好戦的な狼)
(※)カッコ内の子音は、誤ったリエゾンの発音を表す。
③ 複合語の中間にある複数形の「s」
複合語を複数形にしたときに生じる、中間にある複数形の「s」とはリエゾンをしない。
これもまた一筋縄ではいかないルールだが、特定の複合語は複数形にすると先頭の単語に「s」が付く。その際、続く単語が母音から始まっていてもリエゾンはしないということ。
例えば、「un moulin à vent」という複合語は、複数形にすると「des moulins à vent」となるが、「moulins」の「s」と「à vent」の「à」を繋げて「moulins (z) à vent」とは読まないということである。
- des moulins à vent (風車)
- des stylos à plume (万年筆)
- des clairs-obscurs (明暗・薄明かり)
- des arcs-en-ciel (虹)
- des moulins (
z) à vent (風車) - des stylos (
z) à plume (万年筆) - des clairs-(
z)obscurs (明暗・薄明かり) - des arcs-(
z)en-ciel (虹)
(※)カッコ内の子音は、誤ったリエゾンの発音を表す。

④ 単数形二人称「Tu」の動詞の活用の「s」の後
単数形二人称の「Tu」を主語に活用された動詞の、現在形直説法と接続法の語尾「-s/-es」とは、仮に語頭が母音の単語が続いたとしてもリエゾンはしない。
これもまたややこしいルールの一つで、ぺぎぃも本日初めて知るものである。
単数形二人称の「Tu」を主語に活用された動詞とは、例えば:
- Tu manges (君は食べる)
- Tu chantes (君は歌う)
- Tu marches (君は歩く)
などがある。
これらの動詞とは、仮に後ろに母音が続いたとしてもリエゾンをしないということである。
- Tu manges un Okonomiyaki. (君はお好み焼きを食べている。)
- Tu chantes avec moi. (君は僕と一緒に歌っている/歌うんだ。)
- Tu marches à côté de moi. (君は僕の横で歩いている/歩くんだ。)
- Tu cours avec moi. (君は僕と一緒に走っている/走るんだ。)
- Tu dors enfin! (ようやく寝たか!)
- Tu manges (
z) un Okonomiyaki. (君はお好み焼きを食べている。) - Tu chantes (
z) avec moi. (君は僕と一緒に歌っている/歌うんだ。) - Tu marches (
z) à côté de moi. (君は僕の横で歩いている/歩くんだ。) - Tu cours (
z) avec moi. (君は僕と一緒に走っている/走るんだ。) - Tu dors (
z) enfin! (ようやく寝たか!)
(※)カッコ内の子音は、誤ったリエゾンの発音を表す。
ただし、ぺぎぃの経験上、「être」の単数形二人称の活用「Tu es」の場合には、たまにリエゾンをしても響きがそんなにおかしくないこともある。
例えば:
- Tu es (z) ici. (君はここにいる。)
- Tu es (z) en forme. (君は調子がいい/健康だ。)
これは果たしてぺぎぃが間違っているのか、それとも単なる例外なのだろうか?答えはわからない… やはりフランス語はフィーリングなのだろう…
⑤ 「-rt」や「-rs」などで終わる単語の後
「-rt」や「-rs」など、「r」の音を発音した状態で終わる単語の後は、仮に語頭が母音の単語が続いたとしてもリエゾンはしない。
これもまたややこしいルール。
アカデミー・フランセーズのサイトには「「-rt」と「-rs」の付く単語」としか記されていないが、「nord(北)」などにも同じルールが適用できる気がしたので、「「r」の音を発音した状態で終わる単語」と勝手ながら書き換えさせてもらった。
これは、どういうことかというと、例えば:
- de part en part (端から端まで)
- nord ouest(北西)
などの言葉では、「de part (t) en part」や「nord (t) ouest」と発音するのではなく、あたかも「t」や「d」がなかったかのように、リエゾンを行わない。
更に付け加えると、どちらかというと「r」の発音の部分とリエゾンを行うような気がぺぎぃにはしている:「de part (r) en part」や「nord (r) ouest」のように。(飽くまでイメージの話だが)
- on perd un temps fou ((俺たちは)とんでもない時間をロスしているぞ)
- il part à huit heures (彼は8時に出発します)
- elle dort encore (彼女はまだ寝ています)
- nord est (北東)
- on perd (
t) un temps fou ((俺たちは)とんでもない時間をロスしているぞ) - il part (
t) à huit heures (彼は8時に出発します) - elle dort (
t) encore (彼女はまだ寝ています) - nord (
t) est (北東)
(※)カッコ内の子音は、誤ったリエゾンの発音を表す。
⑥ 「un」、「onze」、「oui」や「y」で始まる外国語の単語の前
「un」、「onze」、「oui」の言葉や、「y」から始まる外国語からくる名詞とはリエゾンをしないことが多い。
これも、「un」、「onze」、「oui」に関してはルールとして覚えてしまうしかないが、「「y」から始まる外国語からくる言葉」とは何を指すのかわからない人が多いだろう。それはそうである、そもそも日本人にとってはフランス語自体が外国語なのである。
例をいくつか挙げると:
- un yacht (ヨット/単数形)
- un yack (ヤク/単数形)
- un yaourt (ヨーグルト/単数形)
などのことである。
これらの言葉とは、仮に複数形にしたとしてもリエゾンは行わないのである。
逆に、外国語からきた言葉でなければ、「des (z) yeux」のように、ちゃんとリエゾンをすることになる。
- les numéros un et deux(1番と2番)
- les onze pingouins (11匹のペンギン)
- des yachts (ヨット/複数形)
- des yacks (ヤク/複数形)
- des yaourts (ヨーグルト/複数形)
- les numéros (
z) un et deux(1番と2番) - les (
z) onze pingouins (11匹のペンギン) - des (
z) yachts (ヨット/複数形) - des (
z) yacks (ヤク/複数形) - des (
z) yaourts (ヨーグルト/複数形)
(※)カッコ内の子音は、誤ったリエゾンの発音を表す。
⑦ アルファベットの文字を表す単語の前
「a」や「i」など、アルファベットの文字を表す単語とはリエゾンをしない。
これは意味がわからない方が多いと思うが、実は非常にシンプル。
アルファベットの「a」や「i」などをフランス語の文中で表現する際には、リエゾンをしないということである。
例えば、「白黒はっきりさせる」とフランス語で表現したいときには「mettre les points sur les “i”(「i」の上に点を付ける)」という表現を用いる。
これは「アルファベットの「i」の文字の上にはっきりと点を付ける」という意味なので、アルファベットの文字そのものが名詞として使われている。
この際には、ルールに従い「les points sur les (z) “i”」ではなく、リエゾンをせずに「les points sur les “i”」と読むのである。
まとめ
…というわけでまとめると、フランス語でリエゾンを行わない単語のリストは、以下の通りになる:
① 接続詞「et」の後
② 単数形の名詞の後
③ 複合語の中間にある複数形の「s」
④ 単数形二人称「Tu」の動詞の活用の「s」の後(現在形と接続法に限る)
⑤ 「-rt」や「-rs」などで終わる単語の後
⑥ 「un」、「onze」、「oui」や「y」で始まる外国語の単語の前
⑦ アルファベットの文字を表す単語の前
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リエゾンとアンシェヌマンとの違い

ちょっと「おまけ」のような感じだが、本章ではフランス語を勉強している人にありがちな「フランス語にはアンシェヌマンというものも存在すると聞いたけど、リエゾンとアンシェヌマンって何が違うの?」という質問に対して回答していくとしよう。
2-1. アンシェヌマンとは何か?
アンシェヌマンとは、普段も発音される「単語の語尾にある子音」(若しくは子音+「-e」)が、次にくる「単語の語頭にある母音」(または無音の「h」)と一緒に発音される現象のことを指す。
つまり、どういうことかというと、例えば「il」や「elle」などの人称代名詞を思い浮かべてほしい。
これらの言葉は、最後の「-l」と「-le」の部分を普段もしっかりと発音する言葉である。
従って、次にくる単語が「est」などのように母音から始まる場合:
- il est (読み方:「イル・エ」ではなく、「イレ」)
- elle est (読み方:「エル・エ」ではなく、「エレ」)
となる。
この現象をアンシェヌマンと呼ぶのだ。リエゾンと似ているちゃあ、似ているが、微妙に違うのだ。
2-2. リエゾンとアンシェヌマンの例文
1. Peggy et Pegiko sont allés se promener dans la forêt. (ぺぎぃとぺぎこは森に散歩に行きました。)
⇒ 「sont」と「allés」の間でリエゾンをして「sont (t) allés」と読む。
2. Ils ont dû partir avec un seul sac à dos. (彼らは、たった一つのリュックだけで出かける羽目になりました。)
⇒ 「Ils」と「ont」の間でリエゾンをして「Ils (z) ont」と読む。
⇒ 「partir」と「avec」の間でアンシェヌマンをして「partir (r) avec」と読む。
⇒ 「avec」と「un」の間でアンシェヌマンをして「avec (k) un」と読む。
⇒ 「sac」と「à dos」の間でアンシェヌマンをして「sac (k) à dos」と読む。
3. Le brouillard a disparu. (霧が消えました。)
⇒ ここでは「brouillard」と「a」の間でリエゾンをしない。(1-2.のルール②)
4. Peggy habite en bas de la montagne, dans une petite cabane en bois. (ぺぎぃは山の麓の、小さな木でできた小屋に住んでいます。)
⇒ 「habite」と「en bas」の間でアンシェヌマンをして「habit(e) (t) en bas」と読む。
⇒ 「dans」と「une」の間でリエゾンをして「dans (z) une」と読む。
⇒ 「cabane」と「en bois」の間でアンシェヌマンをして「caban(e) (n) en bois」と読む。
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【動画】フランス語のリエゾンの規則とアンシェヌマンとの違い
ここにはYoutubeにアップロードされた、本記事の動画版を載せておくとしよう。
3部構成になっているので、挙げた順番に随時公開しておく:
ただただ説明を読むだけではなく、耳でも理解してみたいという方には非常におすすめである!
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onsenpeggyさま
丁寧なご説明、ありがとうございます。よくわかりました。・・・私は滑舌がよくないので短い方が好きです。
前回一緒に伺えばよかったのですが、
リエゾンの規則としては「Tu」の命令形は直説法現在形と同じ、と考えてよいですか?例えば Fais attention! ではリエゾンしてはいけない?
まあくんさん、
返信が遅れてしまい申し訳ありません。
その通りです。「Tu」の命令形の時にも「Fais attention」などはリエゾンをしません。直説法現在形と同じと考えてよいと思います。(*^▽^*)
ぺぎぃ
初めまして、73歳のdébutantです。
私の使っているテキストに Vous êtes arrivé(ヴゼタリヴェ)と Faites attention(フェタタンスィオン)というのがありましたが、なぜ「tes」は「t」の音でリエゾン?/アンシェヌマン?するのですか?
教えていただけると嬉しく思います(仲間に自慢できそう!?)
まあくんさん、初めまして。
73歳でフランス語を始めるとはすごいです!よろしくお願いします。(*^▽^*)
基本的に、リエゾンは今回の記事に挙げた「リエゾンを必ず行う単語」と「リエゾンを行うべきではない単語」の二つの種類の単語に気を付けていれば、後は自由です。
ですので、動詞と形容詞(または過去分詞)間のリエゾンのルールを見てみますと:
・非人称の「Il」が主語の時の「est」は、続く母音とリエゾンを行う。
・2人称の「Tu」の場合、直説法現在形と接続法現在形で活用した動詞の最後の「-s」と、続く母音との間ではリエゾンを行わない。
この二つのルールのみが存在します。
つまり、言い換えれば、それ以外の場合(例えば複数形2人称の「vous」の場合)は、話し手の気分次第でリエゾンをしても、しなくても良いとなります。
簡単に言えば:
・「vous êtes」や「Faites」の後にリエゾンをしたいときには、「Vous êtes (z) arrivés」や「Faites (z) attention」の様に発音する。
・リエゾンをしない方が好きだ、と言う場合には、エンシェヌマンを用いて「Vous êt(es) arrivés」や「Fait(es) attention」の様に発音する。
となるかなと思います。
これは恐らくフランス人の間でも議論の対象となる部分で、ぺぎぃは個人的にまあくんさんのテキストに書かれているようにアンシェヌマンで発音する方が短くなって好きですが、人によっては「リエゾンをした方が正しいフランス語だ」という意見を持っている人もいます:
(参考: https://forum.wordreference.com/threads/liaison-with-%C3%AAtes.1299612/ )
まとめると、
・「Vous êtes」の後にリエゾンをするかどうかは個人の自由。
・ぺぎぃは個人的にアンシェヌマンの響きの方が好き。
となります。°˖☆◝(⁰▿⁰)◜☆˖°
ぺぎぃ
ぺぎぃ先生、
詳しい解説をありがとうございます。今までぼんやりしていた部分がよく理解できました。
アカデミックな視点とネイティブの感覚も交えて説明していただき、実際に話す場面でも自信が持てそうです!
まのさん、コメントありがとうございます!
リエゾンは中々感覚をつかむのが難しいですよね。
ぺぎぃも今回は、色々と調べていく中、大変勉強になりました。(*^▽^*)
ぺぎぃ