フランス語の本や小説でおすすめはありますか?
本ブログやYoutubeで、この質問を受ける度に、ぺぎぃがいつもおすすめしている大好きな小説が一つある。
それはミシェル・ビュッシ(Michel Bussi)の『黒い睡蓮』(仏:Nymphéas Noirs)という推理小説である。
- 『黒い睡蓮』の概要(ネタばれなし)
- 『黒い睡蓮』の読みどころ(ぺぎぃの意見)
ミシェル・ビュッシの『黒い睡蓮』(ネタばれなし)
1. 概要(ネタばれなし)
『黒い睡蓮』(仏:Nymphéas Noirs)は2011年に発行されたミシェル・ビュッシ(Michel Bussi)の小説である。ジャンルは、ミステリーとサスペンスを混ぜたもの。
フランスの推理小説の中では、2011年に最も受賞した作品であり、同年に5つの文学賞を受賞している。
物語は、かの有名な画家クロード・モネ(Claude Monet)の住んでいた村ジヴェルニー(Giverny)を舞台とし、3人の女性に焦点を当てて広げられていく。
一人目の女性は、常に水車小屋から外の人々の様子を観察し続ける80歳の老婆。
二人目の女性は、若くて魅力的な36歳の学校の先生。
そして三人目の女性は、絵を描く才能のある11歳の少女。
全てがまったく異なるように思えるこの3人の女性には、実は「秘密」という一つの共通点があり、また彼女らは3人ともジヴェルニーの村から脱出することを夢見ている。
しかし、残酷なことに、実際に逃げることができるのは、彼女らのうちただ一人であり、残された二人は死ぬ運命にあると、冒頭で読者は告げられる。
そして原因不明の殺人が、彼女らの平和な生活を壊すところから物語は始まる。
“Trois femmes vivaient dans un village.
La troisième était la plus douée, la deuxième était la plus rusée, la première était la plus déterminée.
A votre avis, laquelle parvint à s’échapper ?La troisième, la plus jeune, s’appelait Fanette Morelle ; la deuxième s’appelait Stéphanie Dupain ; la première, la plus vieille, c’était moi. (Michel Bussi. (2013). Nymphéas noirs. Pocket.)”
和訳(ぺぎぃ):
3人の女性が村に住んでいました。
3人目は最も才能があり、2人目は最も狡猾で、1人目は最も覚悟を決めていました。
一体彼女ら誰が、逃げ出すことができたと思いますか?3人目、最年少の娘の名前はファネット・モレル、2人目の名前はステファニー・デュパン、そして1人目の最年長は、私でした。
2. 読みどころ(個人の感想)
また読みたい
まず、この作品を一度読んだ後のぺぎぃの率直な感想は「また読みたい」だった。
今までぺぎぃが読んできた推理小説は「ああ、なるほど!」と終わったり、「ああ、そういうことか!」と納得させられるものは多々あったものの、読み終わった瞬間から「また読みたい」と思えるような作品はかなり珍しい。
それだけ、この『黒い睡蓮』は不思議な小説なのである。
モネの『睡蓮』やジヴェルニー
『黒い睡蓮』は、モネの村を舞台に広げられる物語であるだけに、印象派やモネの『睡蓮』の描写が多々見受けられる。
ぺぎぃは特にこれと言って絵画の愛好家でもなかったし、むしろ無知といえるくらい知識がまるでなかったが、それでも実際に見たことがないジヴェルニーの睡蓮の光景がまるで目の前にあるかのように頭に浮かんでくるような、不思議な感覚になった。
また、そのせいで「ジヴェルニーに行ってみたい」、「この目でモネの『睡蓮』を見てみたい」という初動にかられ、ぺぎこを引き連れて車でジヴェルニーに日帰りで行ってきたのが良い思い出である。
ノルマンディー(Normandie)好きには是非
ちなみに、ぺぎぃがこの本を読み始めたきっかけは、父から勧められたからである。
このミシェル・ビュッシ(Michel Bussi)という作家は、ノルマンディー出身の地理学教授で、その他の作品もノルマンディーを舞台にしていることが多いのが特徴である。
ぺぎぃの場合は、父も祖母もノルマンディーの出身であるため、自ずと読む羽目になってしまったが、とても満足している。
モネやジヴェルニーだけでなく、フランスのノルマンディーが好きな人は、是非ともこのミシェル・ビュッシの作品を一度読んでみることをおすすめする。
芸術とサスペンスの絡みが良い
最後に、今まで話してきた内容と少し重複してしまうが、『黒い睡蓮』では芸術的な要素とサスペンスの絡みが結構印象的だった。
一応ネットの評価を確認してみたところ、ピュアな「推理小説マニア」の方からは些か「簡単すぎる」や「推理小説とは呼べない」などと賛否両論があるようだが、個人的にはストーリーもミステリー的な要素も、東野圭吾の作品に引けを取らないほど面白く感じた。(ぺぎぃは日本にいたころ、東野圭吾の小説を買いあさるほど大ファンだった)
また、ピュアリストの批判を逆手に取れば、推理要素はどうであれ、モネの睡蓮を中心に物語が進んでいくので、血生臭い推理小説が苦手な方も、一種の作品として読むことができて、とてもおすすめである。
3. 本としての難しさ(フランス語で読む場合)
DELF B2~C1向け
『黒い睡蓮』は、フランス語のレベル的に言うと、『星の王子様』よりは少し難しく、フランス人の著者が、大人のフランス人向けに書いている一般的な小説である。
従って、おそらくDELFのB2またはC1くらいの語学力がなければ、物語の細かい部分が良くわからず、退屈してしまうかもしれない。
しかし、逆にある程度のレベルのフランス語が理解できる方であれば、先ほど書いたモネの『睡蓮』や印象派などの芸術的な知識も身につくため、是非ともお勧めできる作品である。
また登場人物によって時折一人称と三人称が混雑していたりするため、フランス語を勉強中の方にも良い題材となるのではないだろうか?
日本語でまず読んでみるのもあり
一般的なフランス語の小説としてはかなりおすすめの本なので、フランス語でいきなり読む自信がないという方にも、日本語でも良いので是非読んでみることを推奨する。
また、一度読んでからも、もう一度読み返したくなるような話なので、まずは日本語で内容を理解してから、二回目以降はフランス語で読んでみるというのも結構面白いかもしれない。
アマゾンや楽天で集英社文庫版が千円少しで購入できるため、古本屋さんなどでも数百円で売っているはず。
一応下にリンクを貼っておくので、興味がある方は是非!(ただし、読者のレビューなどにはネタバレが書かれていることも多々あるので、注意)
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初めましてぺぎぃ先生。いつも楽しく勉強させていただいております。
推理小説は好きでよく読むのですが、フランスの推理小説は読んだことはありませんでした。ぺぎぃ先生お勧めということなので、さっそく図書館で借りて読んでます。もちろん日本語訳ですが。今半分くらいまで読んだのですが、なんとなく犯人がわかった気がします。あたってるかな?それは最後のお楽しみですね。
いつの日か、フランス語で読めるように勉強頑張ります。
「黒い睡蓮」面白いです。私好みの小説です。
これからもお勧めの小説や映画があれば、紹介していただけると嬉しいです。
Shizukさん、コメントありがとうございます!
返信が大変遅くなりました。
お?犯人がわかりましたか?
ぺぎぃは見事に作者の策略にはまってしまい、全てを当てることができませんでした。
他にもミシェル・ビュッシの小説は結構面白いです。今度またおすすめがあったら紹介しますね!(*^▽^*)
ぺぎぃ
ぺぎぃ先生、こんにちは。待っていました、本の紹介。でも実は待てなくて先に買ってただいま読んでいるところです。1週間の休みを利用して読み通すのが目標です。今のところわからない単語もありますが、ほとんどいちいち調べずに読んでいるので、詳細は掴んでいないのが正直なところです。でも挫折せずに3日読み続けています。ぺぎぃ先生のおすすめというのが原動力ともなっています。でも無理して読んでいる感じはしないので、このまま読み続ければ面白く感じられるかも、と淡い期待を抱いています。本の紹介、ありがとうございました。
Molisさん、早速のコメントありがとうございます!
少し予定より遅れてしまいました。(^▽^;)
既にご購入されて読み始めているとのこと、ものすごく勉強熱心で感動します!確かに初めの方は「??、どういうこと??」となるかもしれませんが、ぺぎぃの場合はだんだんと引き込まれて行って、どんどんと読む速度が速くなっていった記憶があります。
さすが、Molisさん!フランス語の一般向けの小説も読むことができるのは、相当レベルが高いです。
難しすぎる部分があったら、飛ばし飛ばし読んでみて、後からもう一度読んでみるというのも語学の勉強では割と有効な気がします。あとは日本語版で一旦、話の内容を掴んでみてから読み返すというのも良いですね。一回目の読書では気づかなかった文法や、言い回しなどが多々見つかるかもしれません。(*^▽^*)
一番は楽しく読むことですので、もし話の内容が合わなかったり、面白くないと感じ続けたら、無理はしないでくださいね!
ぺぎぃ