フランス語で相手のからの提案や物を断る方法として「Non merci(結構です)」というフレーズが存在する。
しかし日本語でもそうだが、「結構です」という言い回しはかなり冷たい響きがある。
今回の記事では上のような心配事にこたえていく。
本記事の内容
・フランス語で「ありがとう」と丁寧に相手の提案を断るコツ
・おまけ:「Oui, merci」と相手の好意を受けとめる場合はどうするか
この記事を書いているぺぎぃはフランス生まれ、フランス育ちの日仏ハーフ。フランスで暮らしている中、今まで何100回と「Non merci(結構です)」を用いる機会に恵まれてきた。
今回の記事では、今までぺぎぃが体験してきた中で、これは使えるだろうという「ノン・メルシー(Non merci)」の上手な使い方について解説していこう。
ここで紹介する些細なコツを使えば、相手の気持ちを傷つけることなく、丁寧にやんわりと断ることができるようになるので、是非とも興味がある方は一度読んでみることをお勧めする。
目次
フランス語で「ありがとう」と丁寧に相手の提案を断る方法
1-1. 「Non merci(結構です)」というフレーズは曲者
通常、フランス語で相手の提案や贈り物を断るときには、「Non(いいえ)」ではなく、「Non merci(結構です)」を用いると皆さんは教わってきたと思う。
しかし、この「Non merci(結構です)」というフレーズは実は曲者である!
確かに、基本的に相手を断る方法としては、「Non merci(結構です)」と言うだけでも、そこまで心配はいらない。「Non(いいえ)」と突っぱねてしまうよりは幾分かマシである。
しかし、この「Non merci(結構です)」は日本語でもそうであるように、些か素っ気なかったり、冷たい態度として受け止められる可能性がある。
せっかくフランス語で話せているのに、素っ気ない態度をとって相手をがっかりさせたくはない。しかも、相手が好意でプレゼントやサービス(手助けや手伝いなど)を提案してきてくれた場合にはなおさらである。
そこで、ここでは「Non merci(結構です)」に簡単なアレンジを加えることで、より温かみのある断り文句として用いることができるコツを紹介していこう。
1-2. コツその①:「Non merci!」+一文加える
「Non merci(結構です)」のフレーズを丁寧にやわらげる方法の一つ目として、後に簡単な文を一つ追加するという方法がある。
・ 超初級:「C’est bon(大丈夫です)」を付け加える
初心者に一番簡単な方法として、「Non merci(結構です)」の後、若しくは「Non」と「merci」間に「C’est bon(大丈夫です)」というフレーズを追加することができる。
「セ・ボン(C’est bon)」というのは通常、「美味しい」という意味でお馴染みのフレーズであるが、今回の場合は「大丈夫です」という意味になる。
– Peggy, veux-tu du beurre sur ta tartine?(ぺぎぃ、パンにバターを塗ってあげようか?)
– Non merci. C’est bon!(いや、ありがとう。大丈夫!)
若しくは
– Non, c’est bon! Merci!(いや、大丈夫。ありがとう!)
– Pegiko, veux-tu que je t’aide à porter quelque chose?(ぺぎこ、何か運ぶのを手伝ってあげようか?)
– Non merci. C’est bon!(いいえ、ありがとう。大丈夫です!)
若しくは
– Non, c’est bon! Merci!(いいえ、大丈夫です。ありがとう!)
「セ・ボン(C’est bon)」のメリットとして、非常にシンプルで、どのような状況でも用いることができるため、初心者にも使いやすいということが挙げられる。
・ 初級:相手の文をオウム返しする
続いてもう一つ、初心者にも使える簡単な方法がある。それは、相手の文の末端をオウム返しするというものだ。
相手の文をそのまま返すことによって、素っ気ない「Non merci(結構です)」からより温かみのある表現にできることに加え、「ちゃんと相手の提案を聞いていますよ」という意思表明もできるのが特徴である。
ちなみにここでも、オウム返しの文は「Non merci」の後、若しくは「Non」と「merci」の間に入れることができる。
ぺぎぃのおすすめは、間に入れること。その方が自然で違和感がない文になりやすいからである。
– Peggy, veux-tu du beurre sur ta tartine?(ぺぎぃ、パンにバターを塗ってあげようか?)
– Non merci. Je ne veux pas de beurre/Je n’en veux pas.(いや、ありがとう。バターはいらない。)
若しくは
– Non, je ne veux pas de beurre/je n’en veux pas. Merci!(いや、バターはいらない。ありがとう!)
– Pegiko, veux-tu que je t’aide à porter quelque chose?(ぺぎこ、何か運ぶのを手伝ってあげようか?)
– Non merci. Je n’ai pas besoin d’aide/Je n’en ai pas besoin.(いいえ、ありがとう。手伝いは必要ありません。)
若しくは
– Non, je n’ai pas besoin d’aide/je n’en ai pas besoin. Merci!(いいえ、手伝いは必要ありません。ありがとう!)
メリットとしては、特に深く考える必要がなく、初心者でも使いやすいということが挙げられる。
また、「いらない」と言う際には、「Je ne veux pas(いりません)」を使うより、「Je n’ai pas besoin(必要ありません)」と言った方がより文を和らげることができるので、覚えておくとよい。
・ 中級:気持ちや感想を付け加える
更なる方法として、「Non merci(結構です)」を用いた後に、「C’est très gentil(とても優しいですね)」や「C’est très aimable(とても親切ですね)」を加えるというものが挙げられる。
タイトルでは「中級」と書いたが、おそらく一番フランスで定番なのがこの方法である。ぺぎぃも、ぺぎぃの知っているフランス人の同僚や友達もよく使う。
また、「C’est bon(大丈夫です)」やオウム返しの方法よりも、更に温かみが増すので、非常におすすめである。
– Peggy, veux-tu du beurre sur ta tartine?(ぺぎぃ、パンにバターを塗ってあげようか?)
– Non merci. C’est très gentil!(いや、ありがとう。優しいね!)
– Pegiko, veux-tu que je t’aide à porter quelque chose?(ぺぎこ、何か運ぶのを手伝ってあげようか?)
– Non merci. Ne vous inquiétez pas!(いいえ、ありがとう。ご心配なく!)
ちなみに、これらは フランス語で流暢に「ありがとう」を伝えるコツ でも紹介した方法でもあるので、興味がある方にはリンクから読んでみることをおすすめしたい。

・ 上級:断る理由を簡潔に述べる
最後に、相手の提案を上手に断る方法として、「断る理由を述べる」というものがある。
しかし、これは別に長々と弁明をしろと言っているわけではない。
相手の好意はありがたいが、自分には必要ないということを簡潔に伝え、安心させるのが目的である。
– Peggy, veux-tu du beurre sur ta tartine?(ぺぎぃ、パンにバターを塗ってあげようか?)
– Non merci. Je préfère juste mettre de la confiture.(いや、ありがとう。ジャムだけ塗るほうが好きなんだ。)
– Pegiko, veux-tu que je t’aide à porter quelque chose?(ぺぎこ、何か運ぶのを手伝ってあげようか?)
– Non merci. Cela me fait faire du sport.(いいえ、ありがとう。運動になりますので。)
基本的にフランス人は理屈や論理を好む性格の人が多いので、相手の好意が必要ないことを論理的に説明してあげれば、特に傷つけることなく断ることができるのである。まぁ、たまに論理を崩壊させて感情的になる人もいるが、今回はその心配をする必要はない。
コツその①:「Non merci!」+一文加える(まとめ)
・ 超初級:「Non merci」+「c’est bon(大丈夫です)」
・ 初級:「Non merci」+ 相手の文をオウム返し
・ 中級:「Non merci」+ 気持ちや感想を述べる
・ 上級:「Non merci」+ 断る理由を簡潔に述べる
追記:無論、これらの方法は組み合わせ自由である。例えば、「Non merci, ne vous inquiétez pas! Cela me fait faire du sport.(いいえ、ありがとう。運動になるので、ご心配なく。)」と言うことも可能である。
1-3. コツその②:「Merci」+「 Mais (non)」の順番にする
「Non merci(結構です)」のフレーズを和らげる二つ目のコツとして、そもそも「Non + merci」の順番で用いないというものがある。
これは実は英語などでも一緒で、例えば
Non merci. Je n’en ai pas besoin.(いいえ、ありがとう。必要ありません。)
と言った場合と、
Merci, mais je n’en ai pas besoin.(ありがとう、でも必要ありません。)
と言った場合、どちらの方がより自然でスムーズな言い方だろうか?
それは、後者の方である。
これが何故かというと、一つ目の文では「Non merci.(いらない)」と一旦断りの文句を入れているのに比べ、二つ目の文ではまず「Merci(ありがとう)」とお礼の言葉から入り、「Mais(でも)~」と続いているためである。
つまり、相手からの贈り物や提案をやんわりと断るためには、まず「Merci(ありがとう)」と感謝の気持ちを述べてから、「Mais(でも)~」と理由を説明するのが効果的なのである。
– Peggy, veux-tu du beurre sur ta tartine?(ぺぎぃ、パンにバターを塗ってあげようか?)
– Ah merci! Mais je préfère juste mettre de la confiture.(おお、ありがとう。でも、ジャムだけ塗るほうが好きなんだ。)
– Pegiko, veux-tu que je t’aide à porter quelque chose?(ぺぎこ、何か運ぶのを手伝ってあげようか?)
– Merci, c’est gentil. Mais cela me fait faire du sport.(ご親切にありがとう!でも、運動になりますのでよいですよ。)
まとめ:フランス語で「ありがとう」と丁寧に相手の提案を断るコツ

以下に今回の記事のポイントをまとめる。
・ 基本的に、相手からの贈り物や提案を断る際には「Non merci(結構です)」というフレーズを用いていれば、「Non(いいえ)」と突っぱねてしまうよりは幾分かマシである。
・ しかし、もう少し丁寧でやわらかい表現が欲しい人は、「Non merci(結構です)+一文加える」構造を選ぶのがおすすめ。
・ また、「Non merci(結構です)」ではなく、「Merci(ありがとう)+Mais(でも)~」の順番にしても、やんわりと相手の提案を断ることができる。
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おまけ:では「Oui(はい)」の場合はどうか

というわけで、今までは「Non merci(結構です)」と、相手からの贈り物や提案を優しく断る方法について解説してきたが、逆に相手の提案を受け入れる場合はどうするのだろうか?
先程の、「Non merci(結構です)」と同じように、せっかく相手が好意で何かをしてくれているのに、「Oui merci(はい、ありがとう)」と言うだけでは、些か素っ気ない態度として取られてしまう可能性がある。
そこで、ここではおまけとして「Oui merci(はい、ありがとう)」では、どのように温かい表現にすればよいのかを紹介してみよう。
3-1. 「Oui merci!」+一文加えると、温かみが増す
基本は、先ほどの「Non merci(結構です)」の時と全く同じ方法を用いれば、素っ気ない返事から脱出できるのである。
・ 相手の文をオウム返し
Oui の場合のオウム返しのコツは、相手の使った文をそのまま返すするのではなく、間にbienを挟むことである。そうすることによって、ロボットのような受け答えにならず、自然な温かい回答として成立する。
また、相手から何かをもらったり、何かをしてもらっているので、文の後半に「S’il te plaît / S’il vous plaît(お願い/お願いします)」を忘れずに付け加えることにしよう。
– Peggy, veux-tu du beurre sur ta tartine?(ぺぎぃ、パンにバターを塗ってあげようか?)
– Oui, merci! Je veux bien s’il te plaît!(ああ、ありがとう!頼むよ。)
若しくは
– Oui, je veux bien s’il te plaît! Merci!(ああ、頼むよ。ありがとう!)
– Pegiko, veux-tu que je t’aide à porter quelque chose?(ぺぎこ、何か運ぶのを手伝ってあげようか?)
– Oui, merci! Je veux bien que tu m’aides s’il te plait.(ええ、ありがとう!では、お願いします。)
若しくは
– Oui, Je veux bien que tu m’aides s’il te plait. Merci! (ええ、では、お願いします。ありがとう!)
・ 感想や気持ちを述べる
もう一つ、「Oui merci(はい、ありがとう)」の返事に温かみを持たせる方法として、感想や気持ちを表現するフレーズを付け加えるというものがある。これも「Non merci(結構です)」の時と同じ。
ちなみに、ここでは特に「S’il te plaît / S’il vous plaît(お願い/お願いします)」を文の後半に入れる必要はない。感想や気持ちのフレーズだけで十分感謝の心は伝わっているのである。
– Peggy, veux-tu du beurre sur ta tartine?(ぺぎぃ、パンにバターを塗ってあげようか?)
– Oui, merci! C’est très gentil!(ああ、ありがとう!とても優しいね。)
– Pegiko, veux-tu que je t’aide à porter quelque chose?(ぺぎこ、何か運ぶのを手伝ってあげようか?)
– Oui, merci! Je n’en pouvais plus!(ええ、ありがとう。もう限界だったの!)
3-2. 「Merci」で感謝の気持ちをうまく表現する方法
他にも、過去にぺぎぃが書いた記事で、「ありがとう」を流暢に相手に伝える方法や、フランス語での様々な「ありがとう」の表現方法について紹介しているので、こちらもまとめて読んでみることをおすすめする。


それでは、今回も長々と最後まで読んでいただいてありがとうなのである!
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